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2017年9月第4週GoogleがHTCのスマホ事業の一部を11億ドルで買収

GoogleがHTCのスマホ事業の一部を11億ドルで買収

GoogleとHTCは、HTCでGoogle Pixelシリーズを開発しているチームをGoogleが11億ドル(おおよそ1,235億円)で買収することに合意したと発表しました。

今回の買収には、HTCの知的財産権の譲渡なども含まれていますが、おおよそ2,000人と言われているHTC社内でPixelシリーズの開発にあたっているチーム売却で、HTCが売却されたワケではありません。HTCの自社ブランド製品を開発しているチームは会社に残っており、スマートフォン事業は引き続き継続されています。よって、朝起きると老舗のHTCのブランドが綺麗に消えて無くなっていることはありません。

HTCは、ここ数年ヒット作品に恵まれていませんが、11億ドルもの資金を手に入れることとなり、自社ブランド製品を強化する絶好のチャンスを得ました。すでに、次期フラッグシップ端末の開発も進めていると明らかにされているので、これを機会に老舗ブランドが復活すると考えることもでき、今後の動きに注目が集まります。

買収完了は2018年に入ってからとされています。Pixel開発チームだけの買収は、このプロセスを短縮するためと言われていますが、モトローラ・モビリティ買収の苦い経験も少なからず関係しているはずです。この買収ではモトローラを活かしきれず、ソフトとハードが有機的に結びついた端末の登場は2016年のPixelまで待つことになりました。

このモトローラの悲劇をふり返ると、2012年に125億ドルで買収して、2014年には29.1億ドルでレノボへ売却しています。Googleは、モトローラが持つ特許を手に入れて訴訟に巻き込まれるリスクを避けるためで、ハード部門には興味がないとの見方がおおかたです。これは間違いではなく、レノボへ売却した時も製品部門と一部特許のみで主要な特許は手元に残しています。

しかし、売却のタイミングで「Googleは他のAndroidのOEMパートナーとは競合しない」と発言しているので、モトローラを買収したときは、Pixelのような端末の開発を視野に入れていたはずです。同じタイミングで、Firefox OSやTizen OSなどの他のモバイルOSが台頭して来ており、OEMパートナー側も選択肢が増えて、忠誠心が揺らぎはじめた時期でもあったので、あらためて関係を強固にするための結論だった可能性も考えられます。

本当の成果が出るのは数年先かも

HTCの部門買収で、Googleはソフトだけではなくハードも単独で開発できる能力を手に入れました。来年発売されるPixelシリーズが魅力的なものになることは間違いないと思いますが、外部から招き入れた部門だけに、カルチャーを理解し、なじんで成果が出始めるまでには、数年単位で時間がかかる可能性はあります。

ソフトとハードを自社で開発するAppleは、多くのエンジニアがiOS登場以降の入社で、現在のAppleとそのカルチャーをよく理解しています。こうした部分は、結果として表面に表れませんが、製品のクオリティやバランスに違いとして現れてくるはずです。とすれば、Googleは、ようやく追いかけられる立場になったとも言えます。

Pixelbookで再挑戦

10月4日に開催されるGoogleの発表会で、Chrome Pixelの後継機も発表される見通しになっています。

Chrome OSを搭載したChromebook Pixelは、2015年を最後に後継機が投入されていませんが、Pixelbookの投入で復活します。これもMade by Googleが付く自社設計の製品で、価格は1,199(128GB⁠⁠~1,749USドル(512GB)までです。

Chromebookだけではなく、Androidタブレットのテコ入れも期待したいところです。

現状のタブレット市場はiPadの独占と言っても過言ではありません。最近リリースされたiOS 11で、この地位をさらに強固なものとしています。Androidがタブレットに向かないことはなく、ソフトとハードが有機的に融合した端末がなかっただけです。今回のHTCのPixelチーム買収をキッカケに、Pixel Cの後継機の登場も期待したいところです。

今週は、このあたりで、また来週。

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