Android P Beta 2リリース、新機能と新しい絵文字を追加
6月6日に、Googleは次期OSであるAndroid PのBeta 2をリリースしました。
Android P Beta 2には、Google I/Oで公表されたバッテリ使用率を効率化する「Adaptive Battery」や「App Actions」、そして、157の新しい絵文字が追加されました。
集大成のAdaptive Battery
Adaptive Batteryは、Googleが2014年に買収したDeepMindの技術を活用した新機能です。これは、アプリの利用状況を機械学習した結果をもとに、利用頻度の高いアプリに優先的に端末の処理リソースの割り当てを行い、利用頻度の低いアプリには、端末の処理リソースの割り当てを抑えることで、バッテリへの負荷を軽減して駆動時間を延ばします。
アプリは、Active、Working set、Frequent、Rareに分類されます。
たとえば、Activeはフロントで動作しているアプリで、Rareは頻繁に使用されないアプリに分類されます。これらは、App Standby Bucketsと呼び、分類ごとに動作制約を受けます。
これまでのDozeモードやApp Standby、Background Limitsも併用されます。
Adaptive Batteryは、機械学習の結果を元に動作するバッテリ管理技術の集大成とも言える機能です。
より便利になる「App Actions」
もうひとつのApp Actionsも機械学習を活用した機能です。
これは、テキスト選択時に表示されるコンテキストメニューに対して、デベロッパーが自身のアプリが持つ機能を登録できます。これだけ見れば、Android Oreoで搭載されたスマートテキストに似ていますが、デベロッパが用意したアクションが登録できるところが違い、より便利に使える枠組みです。
また、ユーザ操作に基づいて関連性が高いアプリを提示する機能も備えています。この機能のおかげで、新たなユーザが獲得できる機会だけではなく、既存のユーザのリピート率を高めるキッカケが作れます。
App Actionsは、ユーザが能動的にならなければ便利になりません。
楽ができるならば、とことん楽したいのが人の常なので、これまでの操作を類推して次の操作やアプリを自然な流れで提示するようになれば、スマホが便利な道具から、なくてはならないパートナーになるはずです。
オーディオへのテコ入れも行われている
多く語られていませんが、Android Pでは、オーディオフレームワークにDynamic Processingと呼ばれるAPIが追加されています。これを使えば、音を特定の周波数に分離して、大きくしたり小さくして、人の声だけを強調するといったことが可能になります。
また、音楽を聴いている時も周辺ノイズを計測して、ボリュームを上げることなく心地良く聴ける音作りをすることも可能です。Dynamic Processingが凄いところは、分離する周波数は自由に設定できて、ゲインなどのパラメータをリアルタイムに制御できるところです。使い方次第ですが、より良いオーディオ環境得るためではなく、VRやゲームなど、演出された音場作りの活用が考えられるのかもしれません。
端末の処理速度が向上して、先のような信号処理がバッテリ駆動でも難なくこなせるようになったと言え、スマートフォンでは宝の持ち腐れになりそうな機能です。もしかすると、Android TVやスマートスピーカで蓄積されたノウハウが、Android Pへフィードバックされてきたのかもしれません。
アプローチの違い
Appleは、WWDCでiOS 12での動作速度と安定性の向上に力を入れる発表を行いました。
この発表で素晴らしかったのは、iOS 11が動作するすべての端末で、iOS 12が動作して速度向上の恩恵が受けられることです。これは、新しい端末が売れなくなる可能性がり勇気ある決断だと言えますが、ブランドをより深く生活に浸透させる意味も持っているのかもしれません。
Android Pにも、生活に深く浸透させる機能が実装されています。iOSと似たような機能もありますが、技術を全面的に押しだしているGoogleは、Appleとは異なる生活像を描いているように感じます。
今週は、このあたりで、また来週。