Wi-Fi Allianceが「WPA3」を発表
6月25日、Wi-Fi AllianceがWi-Fi接続の新しいセキュリティ規格「Wi-Fi CERTIFIED WPA3」(以下、WPA3)を発表しました。
現在のWi-Fiルータは、WPA2と呼ばれるセキュリティ規格が採用されています。
これには「KRACK」と呼ばれる脆弱性が存在することが2017年10月に明らかになっています。KRACKを用いれば、保護されたWi-Fiネットワークからでも情報を盗み出せます。
KRACKは、端末とWi-Fiネットワークが接続を確立する際に用いられる手順に問題があり、ここを突くことでネットワークに流れている暗号化されたデータを復号できるようになります。この手法が明らかになってから根本的な解決策がない状態でしたが、WPA3ではWi-Fi接続が確立する際の手順が見直されて、KRACKのような手法を用いて情報を盗み出すといったことができないようになっています。ようやく解決策が講じられました。
もうひとつ、WPA3の発表に合わせて「Wi-Fi Easy Connect」と呼ぶ新機能も発表されました。これは、WPSの代わりになる物として期待されています。Wi-Fi Easy Connectでは、QRコードをスキャンすることで簡単に接続できるとされています。WPSは、ブルートフォースアタックに対して脆弱なので、これの解決策になると考えられています。
脆弱性があるWPA2を早く卒業して、早々にWPA3を導入したいところですが、2018年後半から2019年をかけて、すべてのWi-Fiルータに実装されるとみられています。新しいハードウェアが必要なのか、それともファームウェアのアップデートで対応できるのか分かりませんが、とあるWi-Fiルータメーカーは、新製品に対して、チップセットメーカーからの提供を待っており、新しいファームウェアで対応できるとコメントしています。また、端末側の対応も必要ですが、Androidの対応方針はいまのところ発表されていません。
Wi-Fiのメッシュネットワークと合わせて、年末に向けてWPA3がWi-Fiルータの買い替え需要を生み出す要因となりそうです。
Flutter、Preview 1をリリース
Googleが開発するモバイルアプリケーションフレームワークの「Flutter」のPreview 1がリリースされました。
Flutterは、Googleが開発するモバイルアプリケーションフレームワークで、Dart言語を使って記述します。特徴は、単一のソースコードでiOSとAndroidのUIやネイティブ機能にアクセスできるところですが、やはり、Dart言語を使うところが一番の特徴と言えます。
Dart言語は、JavaScriptの代替として登場して、Google ChromeへのDartVM搭載を検討したり、ECMAで標準化を開始するなどの動きをしていました。しかし、2017年にTypeScriptがGoogle社内での標準言語の地位を獲得してからは、日陰に身を置く存在となっていました。しかし、モバイルのクライアントサイドに独自に最適化された言語として、再始動を果たし2月23日にはDart 2を発表しています。
このDart 2の最大の武器はFlutterです。クライアントサイドの開発は、UIに関わるコードが多くを占めます。ましてやiOSとAndroidの両プラットホームをカバーすることになれば、効率よく開発できる環境が求められます。Flutterは、こうした事情をよく反映していますし、ウェブペースのUIデザインツール「Flutter Studio」が登場したのも注目です。これが登場したことで、Flutterがプログラマーだけの物ではなくなり、デザイナーも直接的に関われるようになりました。
また、Flutterの開発チームによるVisual Studio Code用の拡張「Flutter extension for Visual Studio Code」の開発も精力的に行われており、環境整備には余念ありません。
Dart 2とFlutterがスタンダートとしての地位を獲得するかは、まだ分かりませんが勢いが増しているのは事実です。クライアントエンジニアやUIエンジニアの人は、いちど勉強してみるのはいかがでしょうか。
今週は、このあたりで、また来週。