11月7日から8日まで、米国のマウンテンビューで開催された「Android Dev Summit」ではさまざまな発表が行われたので、気になるものをピックアップします。
アプリの新しいアップデート方法「In-app Updates API」
アプリのアップデートに関して、あらたに2つの方法が発表されました。
1つ目は「Flexible in-app update」と呼ばれる方法で、ユーザがアプリを使い続けられるように、アップデート用のデータをバッググラウンドでダウンロードして、完了したらユーザに知らせて、その後アップデートを行います。
2つ目は「Immediate in-app update」と呼ばれる方法で、アップデートの準備が完了したらフルスクリーンで通知を行い強制的アップデートを行います。ユーザは、アップデートをしないとアプリが使えませんが、アプリに重大な欠陥が発生した場合や全てのユーザに使ってほしい新機能をリリースしたときに使います。
Flexible in-app updateは、アプリのアップデート待ち時間からユーザを解放し、Immediate in-app updateは、アプリがアップデートされない問題を解決するので開発者にとっては喜ばしい仕組みです。
ダークモードはバッテリの持ちにも貢献する
スマートフォンのバッテリの持ちを改善するために、OSだけではなくアプリにもできることとしてダークモードの活用が説明されました。
スマートフォンのバッテリ消費の最大要因は、ディスプレイの明るさにあり、これには配色も大きく関わっていると説明されて、この証拠としてOLEDを搭載する初代Pixelで、Googleマップを開いてスクリーンショットを録るタスクをノーマルモードとダークモードで比較すると、バッテリ消費量が250mAと92mAになり、配色を変更するだけで63%も減ると報告されました。また、YouTubeでは最大で43%も節約できたと報告されています。
他にも画面に単色を表示してバッテリ消費量を計測したところ、白が最もバッテリを消費すると報告されています。これらは、OLEDを搭載する端末での結果で、同時に行われた液晶ディスプレイを搭載するiPhone 7では変化は見られなかったとされています。
この結果を受けて、説明を行ったAndroid Developer Relationsのクリス・ヘインズ氏は、白を基調としているマテリアルデザインは、バッテリ消費という点では墓穴を掘ったとGoogleらしい技術目線の見解を語りました。
2019年はChromebookでアプリ開発ができる
2019年のはじめには、Chrome OS向けのAndroid Studioが登場すると発表されました。すでにPreview版が公開されているので試せます。
Chrome OSで、Android Studioが動作するようになったと書けば大袈裟に感じますが、Chrome OSがLinuxアプリをサポートしたことで、Linux版のAndroid Studioが使えるようになったのがカラクリです。Chrome OSは、Androidアプリの実行もサポートするので、アプリ開発からテストまで完結できるようになりました。
ここ数年のChrome OSは、Androidアプリ実行のサポート、Linux環境のサポートと迷走しているようにも見えました。これは、JavaなどのAndroidを取り巻くゴタゴタを受けて、自社でコントロール可能な開発環境の提供を目的に行われていたことが、ようやく明らかになりました。
Googleは、自社でコントロール可能なアプリ開発環境を手にしたので、アプリ開発者には安定した状況を提供でき、安心してAndroidアプリを開発して欲しいとアピールできます。また、Kotlinの評価も高く、ここ数年かけて取り組んでいた環境整備が花開いた感があります。
これを受けて、Chrome OS向けAndroid Studioの正式版が登場するころには、Pixel 3に続いて、Chromebook Pixelも国内販売されるかもしれないと考えたのは筆者だけではないはずです。
今週は、このあたりで、また来週。