Android ThingsがIoT向けから方向転換
Googleは、IoTプラットホーム向けのOSとしていた「Android Things」の応用分野を、スマートスピーカやスマートディスプレイ向けにフォーカスすると発表しています。
Android Thingsは、IoT向けとして開発が進められていた汎用OSで、2016年12月に発表されたあと開発が続けられて、2018年5月には正式版がリリースされました。Android Thingsの名前からも想像できるように、Androidのサブセットとして位置づけられて、Androidアプリを開発したことのある開発者は、導入の敷居が低いのが特徴です。プレビュー期間中は、10万件以上ダウンロードされており、1万人以上の開発者からフィードバックを受けたと注目度の高さをアピールしていました。
Android Thingsを搭載する製品として、Lenovoが発売するスマートディスプレイが挙げられ。また、Android Thingsの搭載は不明ですが、Googleも同様のGoogle Home Hubを販売していますし、CES 2019ではKitchen Aid Smart DisplayやSmart Clockが発表されています。スマートディスプレイの分野では、Android Thingsの応用製品がリリースされていますが、他の分野では芽が出なかったとみることもできます。
Google Assistant Connectが登場
Android Thingsの状況を複雑にしているのが、Google Assistant Connectの存在です。CES 2019で公開された時は、プレビュー版の位置付で詳細な技術情報は明らかになっていませんが、これは、Amazonが2018年9月に公開した「Alexa Connect Kit」のGoogle Assistant版と言えるものです。
AmazonのAlexa Connect Kitは、Alexaを使うために必要な仕組みをチップセットで供給するもので、Alexa対応デバイスを開発するメーカはクラウドとのやりとりを意識する必要がなく、チップセットを組み込むことで自社製品をAlexa対応にできます。
同様にGoogle Assistant Connectもチップセットで供給されます。これを組み込むことで、Google HomeやGoogle Assistant搭載製品とのリンクが可能になります。この試作品として「スマートボタン」と「E-Inkディスプレイ」が公開されました。
スマートボタンは、押すとGoogle Assistantで設定している任意のルーチンが実行できるもので、Echo ButtonのGoogle Assistant版と言えます。
E-Inkディスプレイは、手のひらサイズの小さなディスプレイでスケジュールや天気、交通情報を表示しておくことが想定されています。これの背面にもボタンがあり、スマートボタンと同じことができます。
急がば回れですかね……
同じことができても、用途が明確なほうがわかりやすくなり伝わりやすくなります。
普及段階のものであればなおさらです。Google Assistant Connectは、これの典型でチップを組み込むことで、Google Homeとリンクができるようになるので、素人目にも分かりやすいソリューションです。しかし、Google Assistant Connectでは、スマートディスプレイを開発できないので、Android Thingsの置き換えにはなりません。
Google Home Hubが99USドルで売られているのを見ると、Googleが期待したほど売れていないのかもしれません。よって、これに注力するよりもGoogle Assistant Connectに注力して「Ok, Google」が使える機器を増やす方が、スマートディスプレイが普及した時にも連携できるデバイスがたくさんあって、結果的には活用の幅が広がると考えているかもしれません。こう考えると、スマートディスプレイはスマートスピーカのようには普及しないと見ている可能性もあります。
今回、Android Thingsへのコミットを一時的に弱めたのは、急がば回れと考えたいるのかもしれませんが、Wear OSしかり、Googleは手のひらよりも小さなデバイスが苦手なように見えますね。
今週は、このあたりで、また来週。