自社製のタブレット開発終了、今後はPixelbookに注力
6月20日、Googleは、Pixel Slateを最後に自社ブランドのタブレットから撤退すると『Computerworld』が報じています。
これは、『Computerworld』がGoogleの広報担当者に確認したもので、今後はクラムシェル型のChrombookやPixelbookに注力するとしています。
そのPixel Slateですが、登場当初から価格の高さが指摘されていました。
たとえば、CPUにCore m3を搭載するモデルが799USドルの設定です。キーボード(199USドル)とペン(99USドル)は別売りなので、すべてそろえると1,097USドルです。テコ入れのためか期間限定で200USドルの値下げが行われていましたが、これも良い手応えが得られなかったのかもしれません。
Googleは、来年発売に向けて「Nocturne(コードネーム)」と呼ばれる、2 in 1の新型タブレットの開発を進めていましたが開発を中止しています。これに関わっていたメンバーは、Chromebookチームに編入されることになり、Pixelbookの開発にあたります。
Chrome OSはLinuxアプリが動作するので、Android StudioでAndroidアプリ開発ができます。しかし、純正にもかかわらずPixelbookとPixel Slateは、Android Studioの動作要件を満たしておらず、Pixelbookの開発に集中して早々に仕切り直したいという気持ちがあるのかもしれません。
そのPixelbookには「Atlas(コードネーム)」と呼ばれる新型のうわさがあります。
毎年開催する10月のイベントで発表して、年内発売の可能性があります。現行のPixelbookは、コンバーチブルスタイルでタブレットとしても使えるので、これと同じならば、タブレットもまかなえると考えている可能性はあります。
タブレットはどこへ行く……
Google製のタブレットと言えば、Nexus 7(2012年発売)、Pixel C(2015年発売)、Pixel Slate(2018年発売)があります。
Nexus 7は、2012年と2013年モデルが販売されましたが、スマホの大型化によって居場所をなくしました。Pixel Cは、10.2インチのタブレットでしたが、OSが大画面に最適化されていないことが難点でした。また、Android 9 Pieが提供されておらず、Android 8.1 Oreoで止まっています。これの3年後に登場したPixel Slateには、AndroidではなくChrome OSが搭載されました。アプリの互換性は、Chrome OSにAndroidアプリの実行環境を載せることで担保します。
タブレットは、スマホとPCの中間に位置する端末として登場しましたが、スマホはディスプレイの大型化とCPUの高性能化が止まりません。また、PCはタッチ操作やコンバーチブルスタイルなどタブレットの要素を取り込んでいます。タブレットは、スマホとPCの両方から持ち場が浸食されています。
Appleのように、スマホからPCまで自社で持っていれば、スマホ、タブレット、PCの位置付けを明確にして棲み分けができます。Googleには、スマホはあってもPCはないので立場の弱いタブレットが割を喰いました。
Googleは、タブレットにスマートフォンのOSを使わない決断を、AppleのiPadOSよりも1年早くしました。しかし、1年後にはタブレットを自社開発しない決断を行いましたが、Chrome OSからタブレット向けの機能がなくなることはなく、今後もハードウェアメーカと協力して開発を続けていくとしています。
Chrome OSは、Androidとは関係のないOSでしたが、Androidアプリの実行環境を組み込みスマホ側に寄ったかと思えば、Linuxアプリの実行も可能になり、Androidアプリの開発環境としても使えます。WebアプリからAndroidやLinuxアプリの実行まで、Chrome OSは、求められるものを貪欲に取り込みながら進化しています。これを使い方が限られるタブレットで使ったのが間違いだったかもしれません。
Chrome OS搭載のタブレットは、Chromebookが得意な教育機関向けの要請で開発されました。Pixel Slateは、サードベンダーとバッティングしないように教育市場以外を狙っているように見えましたが、ここはローエンドからハイエンドまでiPadが市場を席巻していたということかもしれません。
今週は、このあたりで、また来週。