GoogleがAndroidベースのフィーチャーフォンOSを開発中か?
7月18日、Nokiaの携帯電話によく似た端末で、Androidベースのフィーチャーフォン向けOSが動作する画像を9to5Googleが公開しています。
サイトに掲載されている画像は、Nokia 220用のシリコンケースを被せた携帯電話で、Androidベースと思われるフィーチャーフォン向けOSを操作する様子が写っています。
画像には、ホーム画面のようなものが表示されており、下にはカメラ、Google Chrome、YouTubeと思われるアイコンが並んでいます。これらの中央には、Google Chromeと同じ配色のアイコンも並んでいます。また、Googleアシスタントが動作するのか、画面中央にはマイクアイコンが表示されています。
画面上のステータスバーには、時間や電波強度、バッテリ残量のアイコンが表示されています。画面下のメニューバーには、Alerts、Select、Settingsのメニューが並んでおり、その下にあるキーパッドに対応して操作できると思われます。
アイコンは、いま風でMaterial Designに従ってデザインされていますが、これ以外は突拍子もないところはなくて、よく知るフィーチャーフォンらしいUIに仕上がっているように見えます。
KaiOSとの関係は?
フィーチャーフォン向けOSと言えば「KaiOS」があります。
昨年、Googleが2200万ドルの出資を行い、多くのメディアでも取り上げられたので記憶に新しい方も多いはずです。そのKaiOSは、いまはなきFirefox OSをベースにして開発されています。これのコア部分で動作するLinuxはAndroidから流用しているので、技術的にはAndroidと共通点を持っています。
また、2019年のMWC(World Mobile Conference)では、Orangeと共同開発で20USドルの端末をカメルーン、コートジボワール、ブルキナファソ、マリで販売中で、今後、他国にも拡大していく予定と発表しています。2014年のMWCでは、MozillaがFirefox OSを搭載する25USドルのスマートフォンを発表しています。KaiOSでも似たアプローチの端末を発売しているので、技術面だけではなくマーケティング面でも共通部分を多く持っています。
KaiOSのアプリは、HTMLやCSS、JavaScriptなどのウェブ技術で開発します。
AndroidベースのフィーチャーフォンOS向けアプリをKotlinやJavaで開発できれば、開発者はAndroidで得た経験やノウハウが活かせるのでAndroidをベースにする理由になります。しかし、ウェブ技術も多くのノウハウの蓄積があり、エンジニアも多いので、これだけの理由では説得力がありません。
となれば、Android Goができなかった市場にアプローチする手段として、フィーチャーフォン向けのOSで参入をもくろむならば理屈は通ります。しかし、これではAndroidをベースにする大きな理由になりませんし、GoogleはKaiOS向けに自社サービスのクライアントアプリを開発しているので、これとの関係が今後どうなるのかも気になります。
歴史は繰り返される
フィーチャーフォンであってもモダンなOSが必要で、これでモダンなサービスを利用することに意味や価値があることをKaiOSが自ら証明しました。
KaiOSを搭載する端末は、2019年には1億5,000万台の出荷を目指しているとしています。また、フィーチャーフォン全体では4億台の市場にもとなる言われており、2021年には10億台に到達するとも予想されています。スマートフォンの出荷台数は、年々少しずつ減少していますが、フィーチャーフォンの出荷台数は伸びる傾向です。ここにも広告ビジネスはありうるので、Googleがアプローチするのは当然とも言えます。
余談ですがKaiOSを見ていると、電話機をベースにアプリ機能を追加していたドコモのiアプリやiモードを思い出します。今後、これが復活するのは考えられませんが、いまの技術で同じようなことをしているのは、何とも言えない気分です。
日用品になれなかったPCでは、短いサイクルで歴史が繰り返されることはありませんが、日用品の携帯電話では、10年前後のサイクルで歴史が繰り返される印象を受けます。となれば、次の節目は2029年ごろでしょうか。
今週は、このあたりで、また来週。