AndroidユーザもAppleのスペシャルイベントは注目かも
Appleは9月10日に、Apple ParkのSteve Jobs Theaterでスペシャルイベントを開催します。
Androidユーザにとっては、翌月開催されるだろうイベント「Made by Google」の方が注目ですが、Appleのスペシャルイベントも注目すべきものになる可能性があります。
Watch OS 6に注目
その理由は、Apple Watchに搭載されるWatch OSです。今秋リリース予定のWatch OS 6からは、端末で単独動作する「App Store for Apple Watch」が搭載されます。
同じ取り組みはWear OS by Googleのほうが先行しており、単独動作のストアと単独動作のアプリに対応したことで、iOSとの組み合わせで使ってもAndroidと遜色なく使えるようになりました。これと同じことが、Watch OS 6を搭載するApple Watchでも起こる可能性が考えられます。
かつて、iPodがWindowsに対応したことで爆発的に普及し、Appleが一時期、音楽の会社として見えたように、Androidに対応することで携帯電話の会社から腕時計の会社に変貌する可能性も考えられます。また、販売台数が増えればアクセサリメーカの開発にも拍車がかかるはずです。
7月30日に行ったAppleの第3四半期の決算発表では、Apple WatchやAirPodsなどを含むウェアラブルホームアクセサリ事業の売上げが55億3,000万ドルで48%増の好調です。さらに拍車をかける意味でも、Apple WatchをAndroidへ対応させる可能性は考えられます。
Android対応の効果は売上げ増だけではなく、Apple Musicのようなサービスクライアントとしての波及も考えられます。クライアントは、Androidアプリではなく自前のOSで動作するアプリになるので、これまで以上に密なコントロールとユーザ体験が提供できるのは、Appleにとって望ましいはずです。
国内ではApple Watchが唯一無二の存在
Wear OS by Google搭載の端末は、Fossilやカシオ、TAG Heuerなどのブランドが国内向けに展開しています。これらがApple Watchと決定的に違うのは決済機能のあり・なしです。Wear OS by Google搭載の端末は、Google Payに準ずる決済機能が使える予定と言われ続けていますが、いまだ使えず予定は未定で終わりそうな雰囲気すらあります。
国内では、スマートウォッチで決済できる端末は限られており、決済機能付きのスマートウォッチが欲しいと考えるAndroidユーザにとっても、Apple Watchが唯一無二の選択です。
となれば、Wear OS by Google搭載端末の存在が薄まる可能はありますが、腕時計は趣味性の高いもので、Apple Watchのスクエアケースに魅力を感じない人も大勢います。また、皆と同じ時計を着けたくないと考える人や、Apple Watchは使える文字盤が限られているので、ここに魅力を感じない人もおり、Apple Watch一色にはならないかもしれません。
Wear OS by Googleの状況は?
8月5日、FossilからWear OS by Googleを搭載する第5世代目のスマートウォッチが発表されました。
Fossil Gen 5と呼ばれる新しい端末には、Qualcomm Snapdragon 3100が搭載されています。スピーカがあるので、通話やGoogleアシスタントを使った操作、音楽再生も可能性なりました。また、NFCを搭載しており決済にも対応しますが、先でも書いたように国内では対応していません。
Fossil傘下のMisfitからもWear OS by Google搭載のスマートウォッチ「Misfit Vapor X」が同じタイミングで発表されました。デザインやスペックはFossilの腕時計と似ていますが、Misfitは価格が安く軽いのが特徴です。
Wear OS by Googleは、周期的に新製品がリリースされますが、目新しさの欠けており停滞している印象を受けます。
Googleは、Fossilが持つスマートウォッチに関わる知財を4000万ドルで2019年のはじめに買収しています。何らかの成果が出るのは、2020年のはじめ頃かもしれませんが、Googleの動きには期待です。
今週は、このあたりで、また来週。