ゲイツ氏が取締役を辞任すると発表しました。
この話題は、Androidとは直接の関係はありませんが、ゲイツ氏はAndroidにも触れることがあるので取り上げます。
取締役を辞任しても、サティア・ナデラCEOらへのテクノロジーアドバイザーの役割は継続されるので、Microsoftとの関係がなくなることはありません。
ビル・ゲイツ氏は、2000年にCEOの座を譲り、2006年にはMicrosoftのCEOを辞任、2014年には会長職を退き取締役およびテクノロジーアドバイザーとして同社に関わってきました。
64歳のゲイツ氏ですが、共同創業者のポール・アレン氏は、2018年10月15日、非ホジキンリンパ腫のため65歳で死去しています。近い年齢なので、本人は思うところがあったのかもしれません。
BASICのMicrosoft
テンポの速いIT業界の中では、Microsoftは永く続く歴史ある企業です。
現在は、ソフトウェアのライセンスを販売する企業のイメージは薄まっていますが、ゲイツ氏とアレン氏によって設立された1975年当時は、BASICのライセンス販売で成功した会社でした。とは言っても、このときはゲイツ氏とアレン氏のチーム名程度の扱いで、名称の綴りも「Micro-soft」とハイフンでつないで記述しており、現在とは異なっていました。
Microsoft BASICは同社の基盤を作りあげた製品です。また、多くの派生製品が販売されており、以下のように国内のPCにも独自名が付けられて搭載されていました。
- F-BASIC:富士通 FMシリーズ
- N60-BASIC:NEC PC-6000シリーズ/PC-6600シリーズ
- N82-BASIC:NEC PC-8200シリーズ
- N88−BASIC:NEC PC-8800シリーズ
- MSX-BASIC:MSX
※公開時、Hu-BASICをMicrosoftが開発したと書いておりましたが、ハドソンが開発したものでした。お詫びして訂正いたします(2020年4月30日修正)。
筆者がなじみがあるのは、MSX-BASICとN88-BASICでしょうか。
1980年代は、MSXが最も入手しやすいコンピュータで入門機だったので、筆者も入手して理屈もわからないような状況で、テレビに接続したMSXに向かいBASICでプログラムを作っていたことを思い出します。当時のBASICは開発言語だけでなく、OSのような位置付けを持っており、パソコンの電源を入れるとBASICが起動しました。
1990年代はAppleとのいざこざ
1980年の後半から1990年代は、MS-DOSの後を引き継ぐWindowsが立ち上がりました。AppleとのGUIにかかわるいざこざは始まったのもこのころからです。Windowsは、Windows 95のリリースをキッカケに爆発的に普及しますが、Appleは、この少し前から徐々に勢いがなくなりました。1997年には、Microsoftから1億5千万ドルもの投資とソフトウェア開発で広範囲の協力関係を得ます。Appleのいざこざは、このときにクロスライセンス契約を結ぶ形で決着しています。
ゲイツ氏は、スティーブ・ジョブズ氏と若いころから交流があり、奇妙な憎愛関係でした。こうした様子は、映画「バトル・オブ・シリコンバレー」で描かれているので、まだ、観ていない人は観ることをオススメします。ゲイツ氏が登場する数少ない映画です。
2000年には表舞台から身を引く
2000年以降、机のうえで動作するデバイスのOSは、Microsoftが主導権を持ちましたが、手のひらで動作するモバイル関連は、打つ手すべてに結果が出ていません。
たとえば、2014年4月にNokiaの携帯電話デバイス事業を54億ユーロで買収して、自社ブランドのLimiaシリーズは、AppleのiPhoneやGoogleのAndroidには対向できず、2019年12月にはサポート終了となっています。この結果、Microsoftはモバイル分野での主導権を持っていません。
ゲイツ氏はこの結果に対して、米司法省が起こした独占禁止訴訟に気をとられ、Windows Mobileの開発に集中できなかったのが原因と語っています。開発に集中していれば、適切なタイミングでリリースができ、多くの端末に採用されることになり、現在のAndroidに取って変わる存在になっていたと語っています。
ゲイツ氏は、2000年にCEO職をスティーブ・パルマー氏に譲っています。自身が早期に引退するキッカケとなったのは、この独占禁止法であるとも語っています。
Microsoftはホリデーシーズンまでに、Androidを搭載する「Surface Duo」をリリース予定です。これに対してゲイツ氏はどう思うか語って欲しいですが、もう難しいかもしれませんね。
今週は、このあたりで、また来週。