今回は、Androidのはじまりの端末「HTC Dream」を振りかえりながら、いまのAndroidと比較して、どこが変化したのかを見ていきます。
はじまりの端末「HTC Dream」
2008年9月に登場した「HTC Dream」は、HTCが開発した世界初のAndroid端末でした。
T-Mobileから「T-Mobile G1」として発売されたので、この名前で記憶している人もいるかもしれません。
Get the T-Mobile G1 Phone Here
HTC Dreamは、ディスプレイを上にスライドすると、キーボードが現れるギミックを持つ端末でした。今はキーボード搭載の端末を見かけませんが、当時はBlackBerryが全盛期で携帯端末と言えば、親指入力のキーボードを搭載しているのが当然でした。もう1つ、トラックボールも搭載していました。Android 1.0を搭載して出荷されたHTC Dreamは、Android 1.6までバージョンアップされました。
国内販売はなかった
HTC Dreamは国内販売されませんでした。
Androidの国内展開は、NTTドコモが発売したHTC Magic(HT-03A)からです。筆者は、Androidが動作する端末をいちはやく触ってみたくて、ツテを通じて端末を入手して、初めてのAndroidをワクワクしながら体験した記憶が残っています。
HTC Dreamに搭載されていたのはAndroid 1.0でした。
まだ、荒削りな部分が多く残されており足りない物だらけでした。たとえば、日本語表示はできましたが、日本語入力ができない状況(当時は当たり前)でした。こんな状態でもアプリを開発したくて、詳しくなかったJavaの勉強を始めたのは良い思い出です。
12年で変わったものと変わらないもの
HTC Dreamが発売されて12年近くが経過します。この間もAndroidは変化しているので、HTC Dreamを例に変化のあった部分を取り上げてみます。
トラックボール搭載の端末は、HTC DreamとHTC Magicだけのはずで、今となっては貴重な端末です。UIは、トラックボールを操作すると入力のフォーカスが移動する簡単なものです。
トラックボールを搭載した理由は、当時のHTCがタッチパネルでの操作に懐疑的だったためという話もありますが、真偽のほどはわかりません。全盛だったBlackBerryがトラックボールを搭載して、これで操作するUIだったので真似ただけの可能性も考えられます。
HTC Dreamの下部には、左から通話、ホーム、戻る、終話のハードボタンが並びます。
これらは、ユーザのタッチパネル操作に対する習熟度に合わせて、ソフトボタンに置き代わっていきました。Android 9では、一部にジェスチャ操作が取り入れられて、Android 10からはジェスチャ操作に置き換わりました。操作方法は変わりましたが、10年以上が経過した現在も機能は変わりがなく同じ考えが受け継がれています。
このころの端末には、メニューボタンがありました。それを押すと、画面下からメニューがポップアップしてコマンドを実行できます。これは、画面サイズの小ささ補うためか、当時はメニューが当然だったので踏襲しただけなのかもしれません。
ハードのメニューボタンは廃止され、アプリのタイトルバーにあるメニューアイコンをタップして表示する方法に変更されました。現在もメニューは残されていますが、使うアプリは少なく、使われてえいると古くさい印象を受けます。
通知は大きな変化はなく、画面上部にあるステータスバーにアプリの通知アイコンが表示されて、下にスワイプするとその内容が表示されます。時間の経過と供に、通知の頻度を下げる工夫やまとめて表示する工夫はされていますが、動きが考え方は現在も変わりません。他、小さなツールチップがポップアップ表示されて、時間が経過すると消える「Toast」も大きな変化はありません。これは、Android特有のUIで他にはなく、上手く使えば効果的に意図を伝えられます。
端末は大きく変化、操作方法の変化は少ない
12年の間に端末は何度か大きな変化がありました。たとえば、操作系は時間と供に可動部分がなくなりソフト制御に切り替わりました。これは、故障の要因を取り除くためと見ることもできますが、役割り以上に実装面積を必要とするハードボタンは排除されて、このスペースが画面の拡大やバッテリ容量増加に割り当てられたとも考えられます。
操作方法で新しく取り入れられたのは、ジェスチャ操作くらいで余り変化はありません。操作は人の理解が必要となるので、大胆な変化は受け入れなかったのかもしれません。ただ、多くの人がタッチパネルに馴れ、ジェスチャ操作を受け入れているので、これらをベースにして新たな操作が出てきても良いころかもしれません。
今週は、このあたりで、また来週。