Samsung DeXはテレワークに活用できるか?
本連載4月第3週目の記事で、「AndroidをノートPCに変える周辺機器「Mirabook」」を取り上げました。Mirabookは、ディスプレイとキーボード、トラックパッドがセットになっていて、ノートPCのような形をしていますが、CPUとメモリ、ストレージは接続したスマホのものを使います。
Mirabookは、どのスマホでも接続できるわけではなく、GalaxyシリーズであればDeXをサポートする端末が接続できます。となれば、DeXもMirabookの使い勝手の一部を担っていると言えるので、今回は、このDeXの使い勝手を取り上げます。これの使い勝手が良ければ、テレワークにも使えるので、この点も着目しながら紹介していきます。
Samsung DeXとは?
Samsungの独自拡張で、AndroidでWindowsのようなマルチウィンドウ、マルチタスクを実現します。先でも触れましたが、Galaxy S8以降のSシリーズに搭載されています。これ以外では、Galaxy FoldがDeXを搭載しています。最近でたGalaxy Z FlipはDeXを搭載していません。
DeXを使うには、外部ディスプレイとキーボード、マウスが必要です。これらすべてとの接続を一手に引き受ける、ドックやアダプタが発売されています。Samsung純正であれば、「DeX Pad」がこれにあたります。
他、PCと接続して、これのディスプレイとキーボード、マウスを使う「DeX for PC」もあります。PCが手元にあるので、DeXを使うのは本末転倒な感はありますが、USB-Cケーブル一本あれば使えるので、どういったものか試してみるのには良いかもしれません。
DeXは、端末をドックに置くと自動起動します。DeX for PCは、PC側のアプリを起動した状態でケーブルを接続すれば起動します。
操作は? 日本語表は? 入力は?
DeXの操作は、キーボードとマウスを使います。操作方法はWindowsと似ているので、特別に学習する必要はありません。DeXには、端末のタッチパネルをトラックパッドとして活用する機能が搭載されているので、これを使えばマウスは必要ありません。
今どき当然ですが、日本語化されており日本語表示もできます。
日本語入力も可能ですが、まともに使えるのはSamsung純正の日本語入力アプリのみです。Google日本語入力やATOKなど、端末にインストールした日本語入力アプリが使えなくもありませんが、日本語変換候補の表示を端末側のディスプレイに設定をする必要があるナゾ仕様で実際には使えません。
Samsung純正の日本語入力アプリは、予測変換機能があり今どきの実装ですが、たとえば、変換候補がPCの日本語入力アプリのように、入力中のカーソル近くに表示されず、ウィンドウになっています。これは、任意の場所へ移動できますが、文字入力時には常に目線の移動が発生します。また、入力し始めにキーの取りこぼしをすることもあります。
アプリが使えるのか?
端末で動くアプリはDeXでも動きます。動作速度は、スマホで使っているときと遜色ありません。
動くアプリもつくりによっては、ウィンドウのリサイズができない、最大化の時にアプリの再起動が必要になる制限が付きます。たとえば、InstagramやTikTokは、ウィンドウのリサイズができず縦長のウインドで起動します。DeXで使われることが想定されているアプリは、環境に合わせて動きを変えたり、UIを変更するアプリがあるので紹介します。
Samsung純正のWebウラウザは、DeXで起動するとUser-Agentをデスクトップに変更するので、Webページがデスクトップ向けのレイアウトで表示されます。おかげて、広い画面とマウスを活かすことができ、PCと同じ感覚でWebサイトが使えます。
これもSamsung純正ですが、メールクライアントは、DeXで起動するとフォルダ一覧、メール一覧、メール本文の3パネル構成のUIで起動します。これも広い画面や入力装置が活かせる造りになっており、メールを裁く効率が段違いで良くなります。
Office 365は、DeXで起動するとPCに似たリボンUIになります。とは言え、PC版とは機能差があるので同じようには使えません。また、ドキュメントをPCとの間で往き来する場合は、使うフォントにも注意が必要です。とは言え、Excelが広い画面で使えるのは効率的です。
テレワークで使えるか
DeXであれば、通信回線はスマホのそれが使えますし、データの同期を気にする必要もありません。テレワークで使えるかは、PCをどんな使い方をしているかによりますが、効率良くメールが裁けてSlackも使えるので、コミュニケーション用途ならばこと足りると手応えを感じています。普段はこれで済ませて、腰を据えて作業の時はPCを使う方法が考えられるそうです。
今週は、このあたりで、また来週。