Gmail以来の新しいメールサービス「Hey」(後編)
今回は、Basecampの新たな有料電子メールサービス「Hey」の後編です。前編は、こちらをご覧ください。
後編では、Heyの機能に触れていくのでGmailと比較しながら紹介します。
あとで返事する専用のUI
あとで返事をするメールは、Gmailでは未読にしたり返信メールを草稿に保存しておくなど、人によってさまざまな使い方ができます。
Heyでは、メールを表示したときにある画面下の「Reply Later」ボタンを選択します(ショートカットキーは「L」)。すると、Imbox画面にmacOSのドックのようなバーが表示されて、ここに返信をするメールが長方形のカードで表示されます。返信メールが複数ある場合は、長方形のカードがスタック表示されて、クリックするとすべて表示されます。
草稿で保存しておく使い方もできます。
この場合は、メールを表示して画面下にある「Reply Now」ボタンを選択します(ショートカットキーは「R」)。さらに、メール編集画面の下にある「Save draft」ボタンを選択して草稿として保存します。
草稿を編集するには、Imbox画面の右上にある「+ Write」を選択して「99 darfts」ボタンを選択(99の部分は保存している草稿の数)するか、アカウントアイコンを選択して表示されるメニューの「Drafts」を選択します。
Reply Laterと比較すると、この方法は手順が多いのでReply Laterを使うのがHeyの流儀です。
メールを使っていると、すぐにはできないけど、忘れることなく返信したいことはよくあります。このユースケースに対して、過去には「ユーザが設定をして、もう一度通知して気づきを与える」方法を提示したメーラがありました。自身で定めたルールを計画的に進めることには心地良さを感じますが、この方法は、やりたいことに対して直接的な回答ではありません。また、多くの人にとって、その都度でルールを決めるのは面倒です。
Reply Laterは凝った仕組みではありませんが、目の付きやすいところに、返信が必要なメールが表示されており、この数も含めて視覚的に把握できるので分かりやすいです。この絶妙なさじ加減のUXには感心するばかりです。
マークしたメールの扱い
Gmailでいうところのスターは「Set Aside」を使います。
これは、メールを表示して画面下の「Set Aside」を選択します(ショートカットキーは「A」)。すると、Imbox画面の下にあるバーにメールが長方形のカードで表示されます。メールが複数ある場合は、長方形のカードがスタック表示されて、クリックするとすべて表示されます。
マークしたメールをフォルダに仕分ける作りにすると、仕分けたあとに目に付かなくなり、マークしたことを忘れてしまったり、マークしたメールが埋もれてしまいます。Heyでは、マークしたメールを目に付きやすい場所におくことで、そうした問題を回避しています。このUXにも感心させられます。
通知はこれまでと逆
これまでの常識では、自分のメールボックスにメールが到着すれば、この旨が通知されます。Gmailも同様です。ただ、メールの受信通知は頻度が高くなると、集中や作業の妨げになります。
Heyでは、Imboxにメールが到着しても通知はされません。通知機能がないのではなく、標準では通知が無効で設定すれば通知されます。前編で紹介した迷惑メールの扱いしかり、通知も自分自身でコントロールする仕組みになっています。
サブスクリプションに登録!
Heyは、いまどきの電子メールの使われ方をよく研究してワークフローにしており、筆者のユースケースには、うまく決まるので心地良く使えます。しかし、Heyは大量のメール処理には向かない印象で、未読メールが50件を超えてくると、何をするにも手数がかかります。この特性を理解して、まめにメール処理をしていればHeyは気持ち良く使えます。
まだユーザ側で工夫して使う必要な側面も残っていますが、14日間試用してみて、電子メールとの接し方が変わる印象を持ったのと、微妙なさじ加減でまとめられたUXが気に入ったので、1年間のサブスクリプションに登録しました。もちろん、今後の発展に期待を込めた部分もあります。
新たなサービスがはじまると、あたりまえのように機械学習やAIのキーワードが使われ、もはや陳腐な印象を覚えます。こうしたキーワードを使わないHeyには清々しさを感じます。
今週は、このあたりで、また来週。