結局、南極、Androidなのか?
iPhone派の経済評論家がAndroid派に転身したことが話題となって盛り上がっています。著名人のAndroid押しは、積極的な理由なしにiPhoneを選んだユーザにとってはセンセーショナルかもしれませんが、見識あるユーザにとっては、それぞれで良いところ・悪いところがあり、いまや差は少なく、どちらを使うのも好み次第と考えている人が多いのではないでしょうか。
こうして締めくくると、ここで原稿が終わるので、今回はこの話題をきっかけに、AndroidとiOSの遍歴を振り返ってみます。
iOSを横目にしながらの進化
登場したころのAndroidは、iOSと比較すると見た目や使い勝手が洗練されていませんでした。その後、Matias Duarte氏が2010年にGoogle入りしてから状況は変わりました。
少し古い記事ですが、TechCrunchには、Matias Duarte氏がGoogle入りした当時の記事があります。この記事のライターも筆者同様にMatias Duarte氏のファンのようです。
Android 5.0でMaterial Designが導入されてから、これまで垢抜けなかった見た目に加えて、使い勝手もイッキに洗練されました。Material Designが導入されるまでは、iOSにはあるもののAndroidには、UIに係わる作法が存在していませんでしたが、ここでようやく作法が導入されることになりました。Material Designが浸透したAndroid 7あたりからは、サードベンダのアプリも含めて洗練度が高くなりました。
また、iOSと比較してAndroidはバッテリに対する負荷が高く、バッテリが持たないと評価されていました。これに対してAndroid 6からDozeモードを導入して、Android 7でさらに改良を加えて、バッテリに対する負荷が軽減されるようになりました。また、この頃から3000mAhを超えるバッテリを搭載する端末も増えてきて、バッテリが持たないという評価がなくなりました。
故ジョブズ氏が「AndroidはiOSの盗作」と評価していたのは過激な気もしますが、振りかえるとiOSを強く意識しているのは間違いありません。
Androidがトレンドの機能
先で取り上げた内容はどれもiOSの後追いですが、Androidから始まりiPhoneがフォローしたトレンドもあります。たとえば、2015年ごろからのディスプレイの大型化、続いて、2017年ごろにはリアカメラの多眼化です。
画面の大型化は、狭額縁がトレンドになり筐体に対するディスプレイ占有率が90%を超えるようになり、6.5インチ越えるディスプレイを搭載する端末があたりまえです。カメラの多眼化の同様で、リアカメラは広角、望遠、超広角といった具合で用途ごとに搭載するのが当たり前です。
他、コストパフォーマンス重視の端末もAndroidから始まったもので、これに習う形で、Appleもコスパを重視のiPhone SEを登場させることになりました。ハードウェアデザインもAndroidがトレンドになることが多いかもしれません。
Androidの場合、Googleがソフトウェア開発をリードしているので、発端となるトレンドはハードウェアがほとんどですが、ソフトウェアも少しだけあります。最近リリースされたiOS14では、ホーム画面にウィジェットが配置できるようになっています。Androidユーザにとっては「今ごろ……」という印象です。
タブレットはiPadの1人勝ち
Androidには、iPadのライバルとなるタブレットがありません。
古くはGoogleもタブレットを手掛けており、Nexus 7というヒット作がありますが、これは一発屋で終わってしまい、その後のNexus 9やPixel Cは国内販売されることもなく、いまやGoogle自身がAndroidタブレットを開発していません。
ただ、Androidタブレットがまったく存在しないわけではなく、SamsungやHuaweiが販売しています。それでも、Samsungの最新「Galaxy Tab S7シリーズ」は、国内販売されていないのと、HuaweiのMataPad Proは、iPad Proの対抗馬となりそうな仕上がりですがGMS非搭載です。タブレットはiPadが一強の状況です。
今の時代に合うのがAndroid
iPhoneは、かつて知見を持たない我々を導く存在だったかもしれませんが、スマートフォンを使い始めて10年以上が経過し、多くの人にとって当然になりました。また、この10年で自身の用途にマッチするものを選べる経験値も得ています。
この下地がAndroidの多様性を支えることになり、冒頭で触れた経済評論家がAndroid派に鞍替えする流れにつながったのかもしれません。一方のAppleは、新たな道筋を示さないと先細りしそうです。
今週は、このあたりで、また来週。