新型コロナウィルスのワクチン接種を証明する「ワクチンパスポート」は、ワクチン接種が進む国内でも導入が検討されており、7月下旬から発行がはじまる見通しと言われています。
ワクチン接種が進む米国では、ワクチン接種の証明を紙の配布しています。
紙なので、なくしたり破れたりするのを嫌い、それをスマホカメラで撮影してスマホに保存しているといった話を聞きます。こうした流れに対して、Googleが6月30日にワクチン接種証明をAndroid端末上に保存して表示可能になったと発表しました。まずは、米国からの開始で他国でも提供予定です。
現在は、ワクチン接種を条件にしてマスクの非着用などの規制緩和が行われています。
ワクチン接種が進めば、現状よりは安全に交流できるようになる可能性がありますが、ワクチン接種の証明書を常に持ち歩くことが必須となります。これが紙であれば、常時携帯の運用は面倒です。しかし、スマホに保存できれば運用は楽になります。
管理はGoogle Payでパスとして
ワクチンパスポートは、Passes APIを拡張する実現します。
これはパスやチケットの管理で使われます。筆者が頻繁に利用しているものとして、飛行機の搭乗券があります。移動で飛行機を使う時は、チケットの予約と同時にモバイル搭乗券を登録しています。これで保安検査場から搭乗までが、スマホだけを持っていればよいので気に入っています。
これでの搭乗券を登録方法は、チケット購入ページで「Google Payへの登録はこちら」を選択して「スマートフォンに保存」を選択します。保存したチケットを提示する時は、Google Payアプリを起動して「パス」タブで選択します。
ワクチンパスポートも同じように扱われるはずです。
たとえば、医療機関や公的機関のホームページにアクセスして、ワクチン接種を証明したと認証されれば、ワクチンパスポートが発行されてスマートフォンに保存となるはずです。提示も同じでGoogle Payのはずです。
Passes APIは、クラウドに情報が転送されたり保存されず、端末内のみに保存されます。よって複数デバイスを所有していても同期がされず、それぞれで保存が必要ですが、ネットを使わないので、この情報を元にしてなんらかのアクション(たとえば広告)に利用される心配はありません。
いくつかの課題が残る
これを使うには、ワクチン接種証明書を発行する側でPasses APIへの対応が必要になります。また、端末側はAndroid 5.0以上で、Playプロテクトの認証を受けている必要があります。端末側は問題ないと思いますが、Passes APIへの対応はWebサイトの改修が必要となるので課題となりそうです。
ワクチンパスポートはiOSでも使えないと意味がありません。
iOSにもPassbookと呼ばれる似た仕組みがあり、パスやチケットの管理をWalletアプリで行います。これへの登録もWebページから行い、パスやチケットを提示はWalletアプリを使います。実現方法は違っても仕組みは似ているので、Googleのワクチンパスポートと同じことがiOSでも実現できそうです。
しかし、今のところのAppleは、ワクチン接種を証明するアプリへの対応のみで、これは公的な機関に認められた組織かその組織と提携する開発者からに限り、App Storeに対して提出を許可するとしています。Walletを使ったワクチンパスポートの運用に関してはアナウンスがありません。
これは、今秋配信されるiOS 15に答えがありそうです。
iOS 15のWalletは、運転免許書や身分証明書をiPhoneでスキャンすることで登録できるようになります。これは、運輸保安局のチェックポイントで使っても通過できるほど信頼性の高いものです。当面は、米国の一部の州に限られた提供になりますが、ワクチンパスポートもこの運用に乗せる検討をしている可能性はあります。米国では、ワクチン接種の証明を紙で配布しているので、こうした形の方が現状に馴染みやすいかもしれません。
どのような方法にしても、アプリが乱立したりプラットホームごとで異なる手段でワクチンパスポートを取得するのは、ユーザー側からすれば迷惑なだけなので接触アプリの時のように、両者で歩調を合わせて早期に実現に向けて動きことを期待します。
今週は、このあたりで、また来週。