Googleは、10月27日に開催したAndroid Dev Summitで、タブレットや折りたたみスマートフォンなど、大画面デバイス向けの「Android 12L」を発表しました。提供開始時期は、2022年の初頭の予定です。
Android 12Lで変わるところ
Android 12は、UIコントロールのサイズが大きくなりパディングが増えています。
この答えは、Android 12Lにありました。アプリをAndroid 12とAndroid 12Lで作り分けしなくて良いように、それぞれの環境で許容できるサイズに調整した結果とみれます。
そのAndroid 12Lでは、通知、クイック設定、ロック画面、ホーム画面などが大画面を想定した作りになります。システムワイドで、画面を遷移しなくても情報が確認できる作りになったり、1画面で表示できる情報量が増えます。
また、複数のアプリ起動や画面分割が使いやすくなるように、画面下にタスクバーが追加されます。タスクバーにあるアプリアイコンを画面にドラッグ&ドロップすると、画面分割の状態でアプリが起動します。このタスクバーは、長押しで表示・非表示ができます。
アプリは、レスポンシブレイアウト、マルチウィンドウ、画面の向きの変更に対応することで、Android 12Lの特色を活かすことができます。これらは、多くのアプリが既に対応していますが、対応していないアプリは互換モードで動作します。たとえば、デバイスを横向きで使っているときに、縦画面対応のみのアプリを起動すると、レターボックスのように画面左右に黒帯が入ります。
また、Playストアのアプリ説明画面にも、Android 12Lに最適化されているか確認できるようになり、大画面デバイスのユーザは対応状況を確認した上でアプリをインストールできます。
上質なユーザ体験のために
すでに大画面に対応できるアプリがあり、画面分割機能も使えるので、Android 12Lには目新しさはありません。Android 12Lの本質は、より上質なユーザ体験を提供することだと考えます。
たとえばスマホで使える画面分割は、タスクスイッチの画面を表示、ここでアプリアイコンを長押しで表示されるメニューの「分割画面」を選択して、画面分割モードに入った後にアプリを選択すると2分割されます。これは文章で表現するのも難しいですが、実際使ってみても操作は煩雑で、操作方法を知らないと使えない機能です。タスクバーが導入されることで、よく知る操作方法の組み合わせと少ない手数で使えるようになるならば、多くの人が使うキッカケになるはずです。
タスクバーは、名前からWindowsのそれと同じ動きをすると想像しますが、ホーム画面のドックのようなものです。ここにはよく使うアプリが登録できて、アプリ起動中も画面下に表示できます。これは、ユーザ操作で非表示も可能です。
意地悪な見方をすれば、Android 12Lは初期のiPadOSに追いついたと見ることもできます。
最新のiPadOS 15では、画面上にある「...」を押すとメニューが表示されて、アプリを全画面表示するか、画面分割するか、フローティングウィンドウで表示するかを選択できます。この機能が追加されたことで、大袈裟な操作方法のドラッグ&ドロップをせずとも、アプリ分割が使えるようになり利用頻度が格段に上がりました。
SamsungのOne UIは、マルチウィンドウや画面分割機能のユーザビリティは、Androidの中でも秀でています。One UIでは、画面分割した後に必要と思われる操作(フローティングウィンドウで表示、全画面表示、閉じる)を画面上部にある「-」をタップして表示されるメニューから選択できます。
先行する2つの環境の実装をみると、Android 12Lの実装だけでは不十分で煮詰める余地はありそうです。また、AppleがiOSからiPad用のiPadOSを分割したように、GoogleはAndroidも分割する選択をするのかも注目です。もしかすると大画面対応をキッカケにして、AndroidがデスクトップOSの一角を占めることになる可能性もあります。
果報は寝て待て
繰り返しになりますが、Android 12Lのリリースは、2022年の初頭とされています。
Lenovoは、P12 Pro向けに開発者向けプレビューを提供するとしているので、年明けいは、他のタブレットにも搭載されるのは間違いなさそうです。
今週は、このあたりで、また来週。