次期Android OSとなるAndroid 13は、ベータリリースの段階ですがAPIなどが最終版になった安定化バージョン「Android 13 Beta 3」が公開されました。
Android Developers Blog: Android 13 Beta 3 and Platform Stability
Beta 3のリリース2日後には、マイナーアップデート版のAndroid 13 Beta 3.1がリリースされる珍事が発生しました。これでは、Android Beta Feedbackアプリが使えないバグのみ修正されているので、リリース時のチェックミスだったのかもしれません。
ベータ版ですが安定化バージョンがリリースされて、今後は大きな変更が加わることはないはずなので、今回は、Android 13の気になる機能をピックアップしてみます。
通知送信には許可が必須
アプリが通知を送信する場合、これまではユーザの許可を得る必要はありませんでした。Android 13では、カメラや位置情報にアプリがアクセスする際にユーザに許可を得るのと同じ要領で、通知の送信を許可をアプリがユーザに求めるようになります。この確認はアプリの初回起動時に行われます。
スマホを半日放置すると通知の雨霰となり、これを確認するのが億劫になるほどの数になることがあります。これでは重要な通知が埋もれるかもしれないので、現状を変えるキッカケとして、ユーザに通知の許可を求める仕組みが追加されたのは喜ばしいことです。
ただし、すぐには有効にならない可能性が高いです。
通知の許可機能は、Android 13のAPIレベル33以降で使えます。APIレベル32のアプリでは、これまで通りユーザの許可を得ることなく通知が送信できます。
これでは、せっかくの仕組みが意味を成しませんが、PlayストアでAPIレベルの最低要件が設定して、これを満たさないアプリは新規公開やアップデートを不可として、足切りすることで対応アプリを広げる考えのようです。
2021年11月よりAPIレベルの最低要件は、レベル30(Android 11)です。
これは、Android 13がリリースされた後に引き上げられるはずですが、OSのアップデートは浸透に時間がかかるのが常なので、通知の許可をアプリがユーザに得るようになるには、あと数年はかかるはずです。
プライバシが強化されたフォトピッカー
Android 13では、フォトピッカーのプライバシが強化されます。
これまで、アプリが写真や動画にアクセスする時は、デバイス内のすべてのメディアファイルに対してアクセス可能な権限を与える必要がありました。これでは、悪意を持ったアプリであれば、写真や動画を勝手にアップロードできます。
Android 13からは、アプリが写真や動画にアクセスしようとしても、フォトピッカーでユーザが選択した写真や動画しかアクセスできなくなります。これで、アプリはユーザが意図した写真や動画にしかアクセスできないので、意図しない操作は発生せずプライバシが強化されます。
これで影響を受けそうなのは、写真や動画をバッググラウンドでアップロードする系のアプリです。たとえば、標準のフォトアプリは、Googleフォトにバックグラウンドで写真や動画をアップロードする仕組みがあります。これが、いままでと同じ感覚で使えるようになるのか、それとも何らかの追加操作が必要になるのか気になるところです。
クリップボードの内容を自動で削除
たとえばパスワード入力の時に、クリップボードを経由することがあります。
このように、クリップボードには重要な情報が保管されることがありますが、これまでセキュリティに関しては目を向けられていませんでした。現状は、他のアプリがクリップボードから情報を読みとり悪用できるので安全ではありません。
Android 12には、アプリがクリップボードへアクセスするとトーストでユーザに通知する機能があります。これに加えて、Android 13には設定時間が経過すると、クリップボードの内容をクリアする機能が搭載されます。クリアまでの時間は、設定で変更できるオプションが用意されるので好みの設定ができます。
通知からの画面分割が可能に
通知を受信した時にパネルを長押しして画面下にドラックすると、画面分割でアプリが起動できる機能が搭載されます。
いまの画面分割は悪い機能ではありませんが、タスク一覧から目的のアプリを選んで分割する操作の流れが使いやすいとは言えません。これが使いづらいと感じる理由は、ユースケースを想定した操作の流れではなく、機能を使うがために操作する必要があるためです。
Android 13で実装される通知からの画面分割は、マルチタスクでのユースケースにはぴったりハマっており、うまく動作すれば操作感が大きく改善しそうなので楽しみです。
今週は、このあたりで、また来週。