既成概念を壊すか?「Apple Watchレビュー」

第3回Apple WatchとLG G Watchの比較してみる

最終回は、Apple WatchとAndroid Wearを搭載するLG G Watchを比較してみます。

両方ともiPhoneかAndroidのどちらかでしか使えないので、スマートウォッチが欲しい場合は、使っているケータイでどちらかを選ぶことになり、比較対象にならないかもしれません。しかし、Apple WatchのWatch OSと、LG G WatchのAndroid Wearは、同じ用途ながらも考え方やアプローチが違い面白いので比較結果をご紹介していきます。

Apple Watchは通知を見返せる

まずは、利用用途の多くを占めるだろう通知から見ていきます。

ケータイの通知を受信して腕時計のディスプレイに表示するのは、Watch OSもAndroid Wearも変わりませんが、通知に対する考え方で成り立ちの違いが見られます。

Android Wearの通知は、未読だと画面下にカードが重なるように蓄積されていき、常に意識させるつくりになっています。一方のWatch OSは、通知された時に表示される「了解」を押さない限りは、通知エリアであとから確認できます。未読の通知がある場合は、ディスプレイオンのタイミングで画面の上部に赤い点が2秒ほど表示されます。

ここだけ見れば、両方でもそれ程変わりがありませんが、Android Wearの方は、確認した通知を見返す手段がありません。たとえば、先ほどのメッセージ通知をもう一度確認したいと思った時は、ケータイを出す必要があります。

一方のWatch OSは、インストールしたアプリを使って見返すことができます。ここは、考え方が違う部分で、Android Wearの通知は一時的なもので確認すれば消えてなくなりますが、Watch OSの通知はiOSと似た扱いです。

Android Wearは、通知が文字盤を隠してしまう
Android Wearは、通知が文字盤を隠してしまう

Android Wearは、通知を受信する端末を腕に着けているという印象です。常に身に着けるには、腕時計にするのがわかりやすいとの判断で、いまの形になった印象です。一方のApple Watchは、未読通知が文字盤を隠さないところを見ても、腕時計として成立することを前提に考えてつくられている印象です。

これまでの経験が活かせるつくり

Android Wearは、アプリの存在を意識させない考えなのか起動すら面倒です。アプリを起動するには、文字盤をタップして、表示されるメニューの一番下までスクロールしたあと「開始」をタップして、起動するアプリをタップと書くのも面倒なくらいです。Androidを使って得た経験や考え方を活かせる部分は、ほとんどありません。

しかし、現在実施されている大幅アップデートで、ランチャーが付くといった対応がされているので今後は変わる可能性があります。

Android Wearのアプリは起動が面倒
Android Wearのアプリは起動が面倒

Apple Watchのアプリは、iPhoneと同様でランチャーになるホーム画面に表示されます。また、メールアプリを起動すると、通知を受けたメールが確認できるなど、iOSを使って得た経験や考え方をWatch OSでも活かせるつくりになってのは、Android Wearとの違いです。

Apple Watchのホーム画面。アイコンは小さくても間違いなくタップできる
Apple Watchのホーム画面。アイコンは小さくても間違いなくタップできる

よりどりみどりの文字盤

1年のアドバンテージを持つAndroid Wearには、工夫を凝らしたさまざまな文字盤がPlayストアに公開されています。Android Wearも当初は、公式にはサードベンダの文字盤を認めていませんでした。しかし、APIが追加されてからは、公式に文字盤を開発することができ、目移りするほど多くの文字盤があります。

Android Wearは、Playストアに多くの文字盤が公開されている
Android Wearは、Playストアに多くの文字盤が公開されている

一方のApple Watchは、10種類の文字盤が標準搭載されています。

表示は、デジタルとアナログ表示が半分ずつで、各文字盤で、気温や天気、予定などを表示する・しない、文字盤の数字を表示する・しないなどがカスタマイズできますが、文字盤の追加はできません。今後は、サードベンダが文字盤を提供可能になると考えられますが、現状は、バリエーションがなく飽きてしまいます。

で、Apple Watchは使えるのか?

Apple Watchを使い始めるとiPhoneを使う機会が減り、これに取られていた時間を取り戻すことができます。しかし、これはAndroid Wearでも言えることで、Apple Watchに限ったことではありません。Android Wearのユーザは、1年も前に体験したことで新鮮味のない話です。

Apple Watchを使っている様子
Apple Watchを使っている様子

用途は、Apple WatchやAndroid Wearでないとできないことはありません。冷静に見れば、スマホでも済むことがほとんどです。使い勝手は、Apple WatchのほうがiOSで得た経験を活かせる分だけ、とっかかりは掴みやすくなっていますが、どちらもどんぐりの背比べというのが正直なところです。

では、Apple Watchを使う理由は何か? と聞かれれば、いまのスマートウォッチで体験できることを、Appleらしく体験させてくれるというところでしょうか。このらしさがどれだけ好きになれるかで、Apple Watchの価値が決まるでしょうし、使い続ける理由になるはずです。

冷ややかなスタンスの筆者ですが、いまのところ物珍しさが先行して毎日着けています。iPhoneもiPhone 3GSから長い期間使い続けているので、Apple Watchも四の五の言いながら生活の一部となり、使い続けることになるのかもしれません。

おすすめ記事

記事・ニュース一覧