「ゆる繋がり」が職場を強くする! 実践Yammer活用術

第4回Yammerとの相性のよい組織とは

Yammerのつまづきポイント

ここまで社内共有ツールとしてのYammerの良いところについて紹介してきましたが、実際に使っていく中でいくつか今のバージョンでは使いづらいところもあります。海外発の無料ツールと考えればスル―できるものが大半ですし、バージョンアップの中で改善される内容もあるかと思いますが、知っておいて損はないポイントとして紹介したいと思います。

  1. 携帯電話からの閲覧や投稿時に文字化け
  2. YammerFOX(FireFoxアドオン)が日本語文字化け
  3. デスクトップアプリが若干重い
  4. 新規メンバー招待時に注意点あり
1.携帯電話からの閲覧や投稿時に文字化け

iPhoneアプリやAndroidにはしっかり対応してくれているのですが、スマートフォン以外の携帯電話では文字化けてしまいます。文字化けない方法を探してみたものの、今のところこれといった回避策がなく、この点がとても惜しいです。弊社では出先でYammerに投稿する必要がある場合はメールや電話等で誰かに代わりに投稿を依頼するようにしてカバーするようにしています。

2.YammerFox(Firefoxアドオン)が日本語文字化け

Firefoxの魅力として「豊富なアドオン機能」が挙げられますが、Yammer用のアドオン「YammerFox」では日本語での投稿で文字化けてしまう欠点があります。これについても回避策はなく、弊社ではほとんど使用されなくなりました。

図1 YammerFoxから投稿すると日本語が文字化けてしまう
図1 YammerFoxから投稿すると日本語が文字化けてしまう
3.デスクトップアプリが若干重い

YammerFoxが使えない分デスクトップアプリがとても重宝されています。それぞれのPCスペックに依存する部分も多いですが、アプリを入れる分PCの動作が若干重くなる感は否めません。PC起動時にアプリが固まってしまうことも稀にあります。しかしながらそれもPOPUPでの表示設定を調整するなどで軽減することは可能です。

4.新規メンバー招待時に注意点あり

同じドメインのメンバーで管理されるサービスなので、メンバーの招待は以下のようなページで行います。

図2 メンバーの招待ページ
図2 メンバーの招待ページ

このときに「Invite Them」という一括招待ボタンをクリックするのは注意しましょう。この一括メンバーの中には同一ドメインで作成したメーリングリストのアドレスも含まれるので、そのメーリングリストのメンバー全員に招待メールが送信されます。仮に何かのプロジェクト等で社外の方もメーリングリストに入っていた場合、その方にも招待が送られてしまうのです。慎重を期すため、なるべく一人ずつ招待したほうがよいでしょう。

Yammerとの相性がよい組織のポイント

どのツールにも言えることですが,ツールによって導入する組織との相性の善し悪しはあるものです。Yammerと相性のよい組織はどのような組織になるでしょうか? 私が考えるYammer導入に向いている組織の特徴は以下の通りです。

  1. 適度な距離感で構成されている組織
  2. ツール使用の柔軟性がある組織
  3. スマートフォンユーザーが多い組織
  4. 楽しむ姿勢を持っている組織
  5. 意思決定者がツール活用に積極的な組織
1.適度な距離感で構成されている組織

100人までなのか200人までなのかは言いきれませんが、⁠会話」によるコミュニケーションがベースとなるツールなので、組織の構成上、物理的に接触する機会がない人が多いと興味共感がわきづらく、なかなか活性しづらいと思います。フロアが離れていても問題はないのですが、話そうと思えば話せるくらいの距離感を持った組織が向いていると思います。そうでない場合は事業部単位での運用などで考えるのがよいかもしれません。

2.ツール使用の柔軟性がある組織

Yammerは,社外からもモバイルデバイスで接続し、気軽に情報共有できる点が大きな魅力です。ですが、社内ツールの社外からのアクセスに関して、情報統制上NGなルールを敷いている企業も少なくありません。また、デスクデスクトップアプリが使いやすいと紹介しましたが、企業によってはアプリのインストールが許可されていないこともあります。

ツール使用に関する規制がゆるやかだと、よりYammerのよさを感じられるものと思います。

3.スマートフォンユーザーが多い組織

社外からのアクセスがOKだとしても、前述の通り携帯電話からの閲覧で文字化けしてしまうので、そこがカバーされているiPhoneアプリやAndroidアプリが利用できるユーザーが多いほうが活用されやすいと思います。また、一概には言えませんが、スマートフォンユーザーが多いと新しいツールに対する許容度の高いアーリーアダプターが多いと想像されるので、Yammerのようなツールも導入しやすいのではないでしょうか。

4.楽しむ姿勢を持っている組織

楽しむ姿勢があれば少々使いづらい点があったとしても特に問題にはなりません。繰り返しますが、Yammerは有能ですが万能ではありません。弊社ロフトワークではより楽しんでYammerを利用するために、社員一人ひとりのアイコンをロフトワーク登録のクリエイターに発注し作成してもらいました。似顔絵がベースとなっているアイコンなので、より親近感を持ってコミュニケーションできるようになったと感じています。

5.意思決定者がツール活用に積極的な組織

ツールを導入する際に社内の意思決定者にいかにしてツールの価値について理解してもらうかが難しいものです。新しいツールの選定やその際のトライ&エラーについての理解がある人の場合、メンバーへの働きかけもしやすく成功しやすいと思います。

Yammer導入の発起人、社長インタビュー

ロフトワークでのYammer導入の発起人は社長の諏訪でした。社内随一のツールオタクであり、コミュニケーションツールの選定に関してトライ&エラーを繰り返す中でYammer導入に踏み切った本人の意見を聞いてみたいと思います。

図3 社長の諏訪。⁠右が本人のアイコン)
図3 社長の諏訪。(右が本人のアイコン)
Q.Yammer導入の感触は?
予想以上に早く浸透しました。通常、新しいツールを導入する際には、定着するには試用期間が4~5ヶ月ほど必要ですが、1ヶ月で浸透し、正式導入が決まったことには驚きました。
Q.リアルタイムの情報を見逃してしまう等、情報の受け取り漏れがあるのが不便という意見はどう考えている…?
ネガティブな声に配慮し過ぎると、企業が陥りやすい効率の悪さが出ます。それよりも、社内アンケートの結果、面倒と思っている人がきわめて少ないというポジティブな面を見ていきたいですね。また、iPhoneアプリの使用率が高いことに注目しています。プライベートでもチェックしているということが分かりました。
Q.さらにどんな用途を考えている?
長期プロジェクトのクライアントに入ってもらったり、クリエイターとの連絡にも活用すると面白いかもしれません。電話やメールではなかなか聞き出せない、小さな悩みなどを共有できそうですし、同時に別の場所にいる何人かで作業をする際の報告ツールとしても便利でしょうね。今までとは違ったコミュニケーションをますます楽しめそうです。
Q.最後に一言!
会社の規模がさらに大きくなって、交流が薄くなったときにディビジョン(各部署)間で溝が深まる危険をYammerで乗り越えられたらと思っています。組織が大きくなったときに失われるダイナミズムや楽しさやコミュニケーションの溝を埋めていけるのではないでしょうか。

最後に

全4回にわたり、Yammerの良いとろや使いづらいところ、導入にあたってのポイントや相性のよい企業の特徴について紹介してきましたが、あくまでも1つの企業の中での活用事例を元に感じた内容で構成されていますので、ほかにもっと違った形で良さを見出している企業も多いと思います。Yammer自体、バージョンアップされるたびに機能も追加され、それによってYammerの価値やコンセプトも変わっていくものと思いますので、今後どんなメリットが得られるのか、それに伴いどんなところをケアしていく必要が出てくるのか、これからもウォッチしていく価値のあるサービスだと思います。

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