アナログツールでライフハック:Hipster PDA時々モレスキン、のちトラベラーズノート

第1回イントロダクションライフハックの原点

ライフハックという言葉、最近食傷気味ではありませんか? ライフハックと出会って2年を過ぎた筆者が、ちょっと飽きたなぁとライフハック特集雑誌をブックオフに持ち込んだ頃、今回の連載の話をいただきました。それを契機に改めて自分のライフハックやGTDというものを見直すことになりました。その過程で私のライフハックの原点らしきものを発見しましたので、まずはその話をしてみたいと思います。

私のライフハックの原点

私は熊本県立大学というところに通っていました。学部3つと規模が小さく地味ですが、気に入っていました。そこではよく図書館を利用していました。文学部の学生だったので当然の習慣です。

図書を借りる際には、カウンターで紙の貸出票を1冊1枚ずつプリントアウトして渡されていました。B6サイズのピンクの貸出票は普通のコピー用紙に比べ若干紙の厚みがあり、裏には何も印刷されてはいませんでした。捨てるにはもったいないように思えたので、それを半分のB7サイズに切ってまとめてダブルクリップで留めてメモ用紙として使っていました。B7サイズは128mm×91mmで横幅はモレスキンとほぼ同じ、ちょうど手におさまりがよいサイズです。薄いピンクという色も目立ってわかりやすく、なかなかよいアイデアでした。

メモには、文学部に所属していた私の日々の様々なメモ、思い、買い物リスト、バイトのシフトなどなんでも書き込んで常に持ち歩いていました。そこから、自分のブログにつけている「シリアル・ポップ」という造語も生まれたりしています。なお、当時は文房具への興味はなく、筆記具はなんでも手近なものを使っていたように思います。

ここまで書けば、気づく方もいると思います。そうです、私は1990年代の後半に既にHipster PDAを使いユビキタス・キャプチャーをやっていたわけです。これが私のライフハックの一つの原点です。既にそこにある誰も目をつけないものを利用して、無料でシンプルにやってしまうという意味では、情報カードやペンポッド、モレスキンといった既製の文房具を使っている今よりハックしていたと思います。

とはいえ、フルタイムで働くようになった現在、小遣い程度でまかなえる文房具などのアナログツールを使ったライフハックやGTDは便利であり、それ自体楽しいものです。この連載では、筆者が現在使っているアナログツールを紹介しつつ、それでどのようにライフハックやGTDを実践しているのかを語っていきたいと思います。

初回の今回は、イントロダクションということで連載の概要を説明しておきます。

Hipster PDA、モレスキン、トラベラーズノート~連載の概要

この連載ではアナログツールをメインに語っていきます。主なツールは3つです。Hipster PDA、モレスキン、そしてトラベラーズノートです。またそれぞれのツールの活用にからめてGTDやZTD、ユビキタス・キャプチャーなどの考え方についても説明をしていきます。一般的な説明は各方面で出尽くしている感がありますので、筆者なりの視点を提示していく予定です。

上からトラベラーズノート、モレスキン、Hipster PDA
上からトラベラーズノート、モレスキン、Hipster PDA

連載ではあくまでアナログツールをメインに扱いますが、私のシステムはアナログだけで構成されているわけではありません。そのため、ザウルスSL-C1000などのデジタルツールについてもちょくちょくコメントするつもりです[1]⁠。

先程挙げた3つのツールをそれぞれ1~2回にわたって取り上げる予定です。

  • 「Hipster PDAとZen To Done~GTDをシンプルにする」
  • 「モレスキンでユビキタス・キャプチャーをする」
  • 「モレスキンからトラベラーズノートへ」

まずHipster PDAを紹介し、その実践にからめてGTDおよびその発展形(?)のZTDについて触れます。次にモレスキンを取り上げ、ユビキタス・キャプチャーの実践、そしてモレスキン・メモポケッツを利用したGTDの方法についても述べます。最後に現在筆者が愛用しているトラベラーズノートについてその活用例を紹介しようと計画しています。

また、この連載のフィードバックも自分のブログであるシリアル・ポップな日々へ反映させていきたいと思っておりますのでそちらも覗いていただければ幸いです(ブログの方が自由気ままに書いています⁠⁠。

アナログだけではなくデジタルも使う

今回の連載は「アナログツールでライフハック」ですが、実際の原稿は、いつでもどこでも書くことができるというモバイル性を重視してシャープのザウルスというPDAで作成しています。

今回、一つの試みとして全ての原稿および参考にするウェブのリンクなどをザウルスSL-C1000で一元管理しています。原稿をPDAで作成し、Gmailで編集部へ送ります。担当者の方とは面識はなく全てメールでやりとりしています。これは不思議な感覚です。

原稿はZEditorというテキストエディタで作成し、参考WebページはNetFrontというブラウザのページメモという機能で画面保存し、NetFrontで表示できないサイトはOperaで補完し、やらねばならないタスクはToDoというソフトで管理するといった具合です。簡易な電子辞書もあるので語句の意味もすぐ調べられます。ザウルス1台でできるのですからこれは便利です。しかし、アナログな手帳やペンも使いたい。

デジタルかアナログかという問いではなく、やはりデジタルもアナログもという使い分けの問題だと思います。ふと思いついたアイデアなどはHipster PDAにメモし、モレスキンであれこれふくらませるのがいい具合です。執筆のために訪れたスターバックスコーヒーのテーブルにはトラベラーズノートも含めこれらのツールがずらりと並びます。

体調不良の時こそ威力を発揮するGTD

ここのところ筆者は風邪をひいてしまい、それに連動して副鼻腔炎を発症させてしまっています。微熱が続き、顔面が疼くという体調です。それでもなんとか日々働いて子育てをししつつこの連載を手掛けることができるのは、シンプルなGTDシステムがうまく機能してくれているからだと思います。病気のような非日常時こそ日頃の反復によって習慣化されたGTDが威力を発揮するのでしょう。頭が働かなくても習慣の力である程度の作業はこなせるわけです。

先に触れました「シリアル・ポップ」という言葉は筆者のモットーでもあります。人生をシリアスになり過ぎずに、軽くポップにやっていきたいところですね。たとえ顔面が疼いていてもです。そのためにライフハックやGTDは機能するでしょうし、様々なアナログツールは使うことそれ自体で楽しみを与えてくれます。

では次回から早速、偏愛するアナログツールたちを具体的に見ていきましょう。

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