いまさらですが、電話同様に電子メールは主要な連絡手段となっており、仕事にもプライベートにも欠かすことができないという方がほとんどのはずです。中には、一日何百通のメールを裁いているという強者もいるはず。何百通は極端としても、移動中の時間など空いた時間を使って、メールを裁きたいと考える方も多いはずなので、今回から数回にわたり、個人所有のAndroidケータイを使って、仕事のメールを送受信しようと思った場合、どのような準備が必要で、どのようなアプリが使えるのかをご紹介していきます。
毎回ですが、リスクに備える
毎回、同じ書き出しですが、Androidケータイで、仕事のメールを送受信する場合、そうしたことを許容しているか社内規定を確認する必要があります。社外からメールの送受信を禁じている場合は、個人所有のAndroidケータイでメールを送受信するのは無理なので素直に諦めて下さい。社外からのメールの送受信を許容している場合、端末の紛失や盗難をキッカケにして、重要情報が流出する可能性があるので、リスクに対する備えを行う必要があります。
電子メールだからといって、特別なことをするワケではありません。これまでと同様に、Android OSに搭載されている画面ロック機能を有効にしたり、遠隔地から端末が操作できるアプリ「Cerberus for Android」を導入して、端末を紛失した場合に備えて、リモートで内部データを消去できる手段を持っておく等の対策を行います。度々触れているように、リスクに対する備えを怠るのは問題ですが、やり過ぎで不自由な思いをするのも本末転倒なので、自身の使い方をよく見極めて、最適な方法を選択して下さい。また、この機会に、自身の使い方では、どのようなリスクが存在して、どのような対策が取れるのか検討するだけでも、今後の運用に役立つはずです。
通信方法を確認して準備する
仕事のメールをAndroidケータイで送受信する場合、暗号化された通信方法を使って、インターネット経由で社内のメールサーバにアクセスすることになるはずです。
VPNの設定画面。VPNを使うと画面ロックを有効にする必要がある
この場合の通信方法は、IPsecやPPTPのプロトコルを用いたVPNかSSHになるはずです。どの方法で通信するのかは、社内の情報システム部門など、ネットワークを管理している部門に問い合わせて頂くとして、VPNであれば、Android OSに搭載されている機能が使えますし、SSHであれば、アプリを導入する必要があります。それぞれの設定方法は、次回以降で詳しくご紹介します。
通信方法ではありませんが、私物のメールアカウントに、メールを転送する方法もあります。メール転送は、簡単な設定で、手軽に始められるのが一番のメリットです。ただし、仕事のメールを私物のメールアカウントから返信するワケにもいかないので、受信だけと割り切って使う必要があるなど、様々な制約が出てきます。先の方法が使えない場合の選択肢と考えてください。
メールアプリを何にするか
下準備が整ったら、次はメールアプリの準備です。
多くは、標準搭載されている『メール』を使うことになるはずです。社内メールの送受信なので、Gmailクライアントを使うことはないと思いますが、Android 4.0に搭載されているGMailクライアントでは、ZIP形式で圧縮された添付ファイルを開こうとすると「この形式の点ファイルには不正なソフトウェアが含まれている可能性があるため、開いたり保存したいりすることはできません。」と表示されて、添付ファイルを開くことをブロックするので注意が必要です。どうしてもという場合は、ウェブ版のGMailクライアントを使うなど、運用での工夫が必要になります。
Android 4.0のGMailでは、ZIP形式で圧縮されたファイルは扱えない
使い勝手を向上させるアプリもインストールしておく
複数のファイルを相手に送る場合、ZIP形式で圧縮してから添付で送信することがあるはずです。また、機密情報などの受け渡しをする場合は、パスワード付きのZIPファイルを送受信することもあるはずです。Androidケータイには、ZIP形式で圧縮されたファイルを取り扱う機能がないので、ZIPファイルのやり取りが多い場合は、別途アプリをインストールしておきます。もうひとつ、フィリック入力や予測変換機能のお陰で、日本語入力が楽になったといえど、タッチパネルでの文字入力には時間がかかります。よく使う単語や文章、定型文を登録しておき、その中から選択するだけで入力できる、定型文入力アプリをインストールすると、メールのやり取りが格段に楽になるので、こうしたアプリもご紹介していきます。
定型文入力アプリの操作画面。ひとつ入れておくと便利に使うことができる
次回からは、具体的な活用例
今回は、概論だけになりましたが、次回以降から具体的な活用方法をご紹介していきます。