チャレンジメニューや大(デカ)盛りメニューといったうたい文句を掲げているお店をあちこちで見かけるようになった。
大盛り・特盛りメニューは、昔からあるのだけれど、大食いブームで取り上げられる機会が増え目につくようになった、といいかえたほうがいいかもしれない。
我が家の近くにも―といっても2駅先だけど―特大のかき揚げをタワーのように積み上げて提供している天ぷら屋がある。
店の近所のある大学の学生たちへのサービスで始めたメニューなのでボリュームから考えたら金額も驚くほど安い。
大盛りかき揚げ丼を一人で食べきる人間が出ると負けず嫌いの親父さんがかき揚げの量を増やしていくので、ついには今のような姿になった。
この間、もはや限界の域に達しているその丼を大食い女子が食べきったため、さらなるかさ上げを考えているらしい。すでにどんぶりから30センチくらい(もっとか?)立ち上がっているため、いままでの調理法というか盛りつけ法ではこれ以上かき揚げを積み上げるのは難しく、親父さんの悩みの種になっているらしい。
大盛りメニューを下品だ、といって嫌う人がいる。食べ物で遊んでいるだけだ、と切って捨てる人がいる。
いやいや大盛りメニューは健康なのだ、といいたい。訳の分からないダイエットメニューや代用食のサプリメントの方がよほど、食べ物を、人間の体を冒涜しているのではないか、といいたい。
特異体質の大食いの方はともかく、食べても食べても消費に追いつかず、いつも腹が減っていた10代、20代の頃、大盛りメニューはいつだって味方だった。
大盛りメニューに白い目を向けるようになるのは、自分の体にガタがきた証拠なのだろう。
かくゆう僕も、大盛りメニューは健康だ、といいつつ、あのタワーかき揚げ天丼を一人で食べたら速攻で不健康になることだろう。
自分自身で平らげることはできなくなっても、大盛りのご飯に、肉に、スイーツにかぶりついている姿を見ると、いいなあ、と思う。うらやましいなあ、と思う。
大盛りのメニューが無駄だというなら頼まなければいい。食べきれないと思うならチャレンジしなければいい。チャレンジして食べきれなかったときは、ギブアップした後、皆で分けあって食べればすむことだ(それすらだめだ、という店では食べるべきではないですね)。
一日中自転車に乗って、いつもより盛りのよいご飯にかぶりつく。うん、やっぱり大盛りは健康の味方なのだよ、パクパク。
福生周辺・ハンバーガー&市立動物園ポタリング
地図:多摩ら・び 2009年10月号『福生特集』多摩らいふ倶楽部事務局発行
参考:福生市観光協会
多摩川立日橋~福生南公園~福生せせらぎ通り~ほたる公園~田村酒造~福生かに坂公園~加美上水公園~福生市街(蔵の街)~熊川駅~福生院~文化の森(図書館)日時計~デモデダイナー~16号沿い~東福生駅入口~羽村市立動物公園~羽村駅~羽村の堰~多摩川中央公園~立日橋
今回は多摩川から福生周辺をポタリングです。
ポタリングの機会が増えました~。峠に行くのも大好きなのですが、翌日も休みじゃないとしんどくて……大盛りメニューをガツガツと平らげていた頃が懐かしいです。
懐古趣味ではないけれど、福生名物の大盛りメニューを目指して走り出します。
私たちのスタートは多摩川にかかる立日橋・南詰め。立川市と日野市にかかっているから立日橋というのです。天気の良い休日、多摩川堤は人も自転車もいっぱいです。ゆっくりいきましょう。
拝島橋を越え、水鳥公園から福生南公園へ。公園沿いの用水路の脇に昔の取水口跡が残っていました。いつも通っているのに気づいていませんでした。このあたりをぶらつくのが目的で来ているので視点が変わっているのでしょうね。すぐ近くの橋は「どうどう橋」といいます。水がドウドウと多摩川に流れ落ちていたからどうどう橋……なのかな。この上に石川酒造がありますが、あそこに行くと、必然的に生地ビールがテーブルに並ぶことになり、結果的に一日が終わってしまう可能性があるので、今は通過します。
福生南公園の新芽が出そろった芝生では家族連れが遊んでいました。ここにはアスレチックもあります。多摩川河口までのサイクリングコースを案内した『たまリバー50キロ』の案内板も建っています。
睦橋をくぐってすぐに右折。福生市街へと入ります。せせらぎ遊歩道はきれいに整備されています。水芭蕉も咲いていましたよ。
このあたりは古い町並みが残されています。新奥多摩街道にのぼっていくこの道。石垣をといい、坂の曲がり具合といい、玄人をうならせるとは思いませんか?なんの玄人かはわかりませんが。
ほたる公園のほたるドームです。ドーム内に清流が再現されていて、ほたるの幼虫が飼われていました。もうすぐ幻想的なほたるの舞を見ることのできる季節がやってきます。
福生市内には9カ所の湧水があります。これはそのひとつ『縞屋の滝』。
せせらぎ通りが尽きたところから一度多摩川土手に戻ります。多摩橋のほとりに面白い形の風見(?)をのせた建物が建っていました。
多摩橋南詰めから柳山公園へ。新緑がまぶしい、とはまさにこのこと。
永田橋のたもと、土手上にある堰上明神社は、お祭り時になるとお神楽の音が絶えなくなります。社のすぐ向こうが多摩川です。
玉川上水に向かうようにペダルを進めていくと、すぐに煉瓦煙突が見えてきます。ここは「嘉泉」で有名な田村酒造。残念ながらここでは味わうことが出来ません。だから自転車でも安心して立ち寄ることが出来ますね。
玉川上水と多摩川にはさまれた道を、かに坂公園、福生加美上水公園とつないで走っていきます。加美上水公園は日本野鳥の会の創始者・中西悟堂が研究所を建てようとしていた場所です。戦争がなければ、ここにサンクチュアリが出来ていたはずなのです。日本野鳥の会の聖地ですね。今でも定期的に野鳥の観察会が開かれています。詳しくは日本野鳥の会多摩支部へ問い合わせてください。
玉川上水沿いの奥多摩街道を再び市街へと向かいます。宮本橋を越えると沈下橋があります。その先には立派な黒塗りの門が。これは先ほどの田村酒造が田川上水の水を汲み上げている田村分水の取水口です。江戸時代に田村酒造が幕府の許可を得て以来、生活用水として活用しているそうです。
福生は知る人ぞ知る川越や倉敷にも負けない蔵の街。旧街道沿いには大小80棟もの蔵が建ち並んでいます。蔵巡りをするだけでも一日楽しめます。
観光用ではないので、どの蔵も現役で活躍しています。珍しい三階建ての蔵は母屋とつながっていました。
JR五日市線の熊川駅です。JR八高線、JR青梅線がくっついて走っていますから、このあたりは踏切だらけです。玉川上水にかかる陸橋などもあって絵になることこの上なし。撮鉄にはたまらないような隠れた撮影ポイントがいっぱいあるのではないでしょうか。
熊川駅から福正院へ向かいます。福正院の入口にとってもすてきな看板が。地元の小学生の手によるものだそうです。逆さに読むと「人生福」!
福生には由緒ある神社仏閣がいっぱいあるのです。その中でもここは本堂の佇まいがじつに堂々としていておすすめです。しかし、この日は法事か納骨があるらしく、境内は重厚黒服フォーマルな方々がいっぱい。軽薄軽装なポタリンギストは早々に立ち去りました。
横田基地が近くなると、まだまだ現役でがんばっているハウスに出会うことが出来ます。出来た時代や建築主によって、いろんなタイプがあって面白いです。普通に使われているお家ですので、室内をじろじろとのぞき込んだりしないようにしましょう。
JR五日市線、青梅線を渡り返して、玉川上水沿いの水喰土公園へ。玉川上水の掘削工事中、ここでは水が地面にしみ込んでいってしまい、どうにもならなくて掘る場所を変えなくてはならなくなりました。水を喰らった土地、ということで「水喰土」と呼ばれるようになりました。測量ミスでこの先どうしても旨く水が流れてくれなくて掘りなおしたのだ、という説もあるとのこと。掘り起こした跡がはっきりと残っています。
水喰土公園から青梅線沿いを牛浜へと向かいます。校庭の真ん中に森がある福生一中を通り越したらすぐに右へ、渋いバイク屋の前にアーチ型のゲートがあります。その先が文化の森。落ち着いた雰囲気に包まれた茶室・福庵はいつでも見学できます。中央図書館の前には、世界一正確な日時計作者としてギネスブックにも載っている小原銀之助の手による日時計が設置されています。しかし、木陰に設置されているのでこの季節は時計の役を果たしていないのが残念。モニュメント扱いなんだろうけど実用的な時計なんだから、設置場所をもっと考えて欲しかったなあ。
文化の森を出て、JR八高線を渡れば国道16号線。目の前が横田基地の第五ゲートです。この先は日本ではありません。
16号を少し拝島方向へ。すぐに福生バーガー認定店、デモデダイナーの看板が見えてきます。ここが本日お目当て、デカ盛りメニューのお店です。16号沿いにはハンバーガーを食べさせる店がたくさんありマシが、ここが一番人気。やはり少し待たされることになりました。
その間に、お隣のアンティークショップ・デモデ福中を冷やかしました。
待つこと数十分。ついに登場。本日のメインイベント、VS・タワーバーガーのお時間です。となりのテーブルの人も口をあんぐりのボリューム。運んできたお姉さんの顔も誇らしげです。
どうです。このお姿。分厚いフライドオニオン、3つのバンズの間にでかい4枚のパティ、たっぷりのレタスと厚切りベーコン、チーズとトマト。隠れてしまっていますがポテトフライもてんこ盛りです。4種類のソースのおかげで食べ飽きることはありませんでした。
もう、おなかいっぱい、だといっているのに、同行者が追加注文した、これまたすごいクレージーパンケーキのパフェ。お国柄の違いを感じさせる盛りつけです。
腹ごなしには16号沿いのお店でウィンドウショッピングなどいかがでしょうか。アパレルやアンティークショップ、輸入雑貨、塩の専門店、スタジャンの刺繍屋にタトゥー屋までありました。
ここは忌野清志郎はじめ著名なアーティスト御用達のオーダーメイドの洋品店です。
沖縄でしか食べられなかったブルーシールアイスクリームの関東地区1号店の前は行列です。今日はもう、甘いものはいいです。
横田基地の正面玄関第2ゲートを通過して、東福生駅入口信号を左折。八高線を渡り返し、動物公園通りを右折します。そのまま道沿いに走っていけば、市立羽村動物公園です。駐輪場は正門の手前、動物公園通り沿いの斎場の前にあります。
一番の人気者はレッサーパンダ。元気に敷地内を運動しておりました。
私のお気に入りは、標本展示室にあった爆笑中のウシ君。生前の陽気な姿が偲ばれます。
今日の主役はこのフンボルトペンギン。何をしているのかわかりますか?この個体だけは、地面に写る指の影をひたすら追いかけてくるのです。そのチョコチョコチョコチョコした仕草がとってもキュート。遊びを止めようとすると、じーっとこっちを見つめて催促してきます。近いうちに全国的な人気者になるかも知れません。
ともかくこの動物園は、どの動物も近い!オオカミだって、指が無くなる覚悟があればさわれます。シロテナガザルは子供を抱えたまま、ハラハラするような空中アクロバットを見せてくれました。呼んだら、猛ダッシュでこちらへくるところもすごい。是非とも再訪したい動物園です。とってもお得な年間パスポートがあるので、毎日動物顔を見ることができる近所の人はうらやましいなあ。
正門の前から伸びる道をまっすぐ行けば青梅線・羽村駅に突き当たります。東京への直通電車も出ていますから、ここから輪行するのも良いでしょう。
私たちは自走で帰るので、そのまま線路を越えて羽村堰堤へと出ました。すっかり日が西に傾いています。
光線がオレンジに変わっていく多摩川堤を立日橋へと急ぎました。