いま、この瞬間にも私のデスクトップの隅では小さなクライアントアプリのなかで、リアルタイムに何百という人たちが互いに自分の近況を通信し合ったり、最新のニュースを共有したり、たんに思いついた事をつぶやいています。140字制限の「つぶやき」をリアルタイムで共有するサービス、それがTwitterです。
Twitterは昨年嵐のようにネット界を席巻し、この春には日本語化もされ、すっかり定着した感がありますが、一方でこうしたサービスがいったい何の役に立つのがわからないという人もおおぜいいることと思います。
というのも、一見しただけではTwitterは「おなかがすいた」「疲れた」といった雑音が多いだけの意味の無い場所のように思えるからです。馴染んでみると、こうした他愛もない話題でつながることができることこそがTwitterの魅力なのですが、ただ受動的に使っているだけでは、たしかに貴重な時間と集中力を吸い込むブラックホールになってしまうと言われるのにも一理あります。情報ダイエットという考え方に従うなら、Twitterは削ぎ落とすべきツールに他なりません。
しかしこの一年でTwitterの「短いテキストをリアルタイムで送受信する」という特徴を利用して、Twitterをさまざまなウェブアプリケーションのフロントエンドとして利用できる環境が整ってきました。気が散るだけのサービスではなく、Twitterはウェブの潤滑油のような機能を果たし始めているのです。
今回はこうした、仕事や日常で使う事のできるTwitterのサービスについていくつか紹介してみたいと思います。なお、今回はTwitterを使う上で知っていなければいけない「フォロー」「ダイレクトメッセージ」といった言葉が頻出しますが、よくご存じでないという方は、こちらをご参照ください。
Twitterでメモを取る
Twitterに送る短いメッセージは「他人に読んでもらう事」が本来の目的ですが、他人に加えて自分が読むためにもメモを送信して、一カ所にまとめておきたいという場合もあると思います。そんなにときに使えるのがTwitterNotesです。
TwitterNotesを使うには、ユーザーtnotesを追加して、あとは「+」を前に置いた書き方でメッセージを送るだけです。たとえば:
と入力すれば、booksというタグのもとでメモを保存してくれます。日本語も問題なく、記憶したメモはTwitterNotesのホームページからタグで選り分けをしながら閲覧する事ができます。
TwitterNotesには他人に見られなくないメモを送る「プライベートメモ」の機能もありましたが、現在は残念ながら利用できないようです。今後この機能が復活することに期待したいと思います。
Twitterをタイマー代わりに使う
Twitterの魅力の一つはブラウザだけではなく、専用のデスクトップのクライアント、携帯電話、IMクライアントなどさまざまなツールで閲覧できるところですが、ツールによってはダイレクトメッセージが来た場合に音を鳴らしたり、ポップアップウィンドウを開くなどの特別な挙動を設定することができます。
この機能を利用して、Twitterをタイマーのように使うことを実現してくれるのが、Timerというボット(人間ではなく、プログラム)です。
timerに対して、普通に人に対して行なうようにしてTwitterのダイレクトメッセージを:
と行なうと、10分後に「もう一度Aさんに電話する」というメッセージが送り返されてきます。このメッセージをポップアップウィンドウなり、注意を引くような形で表示されるようにしておけば、簡易なタイマー機能が実現します。
分の数は指定しない5分となり、5分以下は設定できないようになっています。また、Twitterの情報が更新されるタイミング、携帯電話やIM次第で、正確な時間でメッセージを送ってくれるとは限りませんので、あくまで目安として使ってください。
パスタをゆでるのには向きませんが、時計をいらいらと気にすることなしにちょっとした時間差を生み出したいときに便利に使えます。
TwitterCalでGoogle Calendarに予定を追加
TwitterCalはGoogle Calendarに直接予定を書き込むためのサービスです。TwitterCalを使うには前準備として、ユーザーgcalをフォローし、Google Calendarにアクセス権を承認しておくことが必要です。あとはgcalにダイレクトメッセージを送るだけで、カレンダーに予定を追加することができます。例えば:
と、一行のコマンドだけで、予定が追加されます。
追加されるのはデフォルトのカレンダーで、Google Calendarが理解できる時間の記法なら何でも使えます。まずは予定だけを入力しておき、時間や場所の詳細はあとで入力するというときに重宝します。
Twitterをタスク管理に使う
Google Calendarとそうですが、タスクの追加のためにわざわざブラウザを立ち上げてRemember the Milkのページを開くよりも、Twitterから追加できた方が思いついたタスクを素早くキャプチャーすることができます。
Remember the MilkではTwitterと連携することでタスクの追加、完了、タスクの取得、延期などといった操作をTwitterのダイレクトメッセージだけで行なうことができます。
TwitterからRemember the milkを使うには、まず設定ページから自分のアカウントの情報を入力し、ユーザーrtmにセキュリティコードを送信して、お互いの連携を承認する必要があります。
この下準備がおわれば、あとはダイレクトメッセージでRemember the milkの機能にアクセスすることができます。
ここで、「!complete」や「!today」はRemember the milkに対するコマンドになっていて、全部で14種が存在します。Remember the milkのほぼ全ての機能をTwitterから使えるわけです。
しかし、残念ながら現時点では日本語のタスク追加は場合によって文字化けしてしまうようですので(いったん入力された日本語のタスクを取り出す分には大丈夫です)今後の開発が待たれるところです。
バーチャル秘書SandyをTwitterで使い倒す
「ちょっと覚えておきたいこと」、「時間がきたら知らせてほしい事」というのは日常にあふれていますが、そんなときに重宝するのがバーチャルな秘書サービスI want Sandyです。
I want Sandyは、もともと他人とのメールのやりとりのなかでccすることによってスケジュールやタスク管理をしてくれるサービスでしたが、Twitterでもこうした機能のすべてにアクセスすることができます。
I want SandyをTwitterから利用するにはユーザーsをフォローし、I want Sandy側でアカウント情報を入力しておく必要があります。あとは、ダイレクトメッセージでまるで秘書を呼びつけるように身の回りの情報を覚えてもらったり、リマインダを受けることができます。例えば:
ほとんどのコマンドはremindが「r」一文字、lookupが「l」一文字というような省略形にも対応していますので、たった数文字のメッセージで様々な機能にアクセスすることができます。
プラットホームとしてのTwitterの今後
Twitterといえば、ここ数週間は繰り返し障害でサービスが停止したり、一部の機能が制限されることが続いています。この原稿を書くために多くのサービスにダイレクトメッセージを送っていましたが、ときには半時間も返事が遅れてしまうなど、いまのところ信頼性には心配が残るところです。
しかしこれらの障害については、開発者のブログによれば順次改善されてゆく予定とのことですので、しばらくはこれからも成長を続けるTwitter関連のツールから目が離せません。また、ちょっとした質問をコミュニティの力で解決してもらったり、質の高い情報を提供してくれる人をフォローすることでリアルタイムで必要な情報を受け取ることもTwitterのメリットの一つです。
時間の無駄のように思えるTwitterですが、利用の仕方によっては生産性を生み出すペースメーカーとして利用する事も可能です。上記のツールを使いつつ、ゆったりとした会話を楽しみつつ、中毒にならない程度のちょうどいい付き合いを見つけてみてください。
ツールの話題が続きましたが、次回は整理術と夢のペーパーレスオフィスについて最近の話題を紹介したいと思います。
それでは次回まで、Happy Lifehacking!
便利なTwitterのbotについての情報はRetweetブログで紹介されています。またこの記事の一部はWeb Worker Dailyの"Twitter as a productivity tool"を参考にして書きました。
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