曇天にまみれた太陽が仄暗い街を支配する夜、
──現象学的還元など、
冴え冴えとした心はゆらぎなく、
──私は負けない。
知らずつぶやくと、
平坦主義が標榜しているのは
問題なのは、
平坦主義がその脅威を世間に知らしめ、
アニメ声で、
もっとも篠田は世間に迎合するような女子高生革命家を使ったプロモーションを、
どこかから新しい総理の国威高揚の声が聞こえてきて、
ポストスノーデン時代に生きる革命家としての自覚と自信が、
そのころ、
放心状態だった歪莉を連れ帰った水野は、
- 「特別なことじゃないんです。大丈夫です」
歪莉はうわごとのように何度もつぶやいた。水野は、
- 「仕方がない。とりあえず、
落ち着くまで待つしかないかな」
水野はため息をつき、
- 「私もそう思ってたところなんです」
とすぐさま応えた。
- 「あのですね。以前からちょくちょく歩けなくなったり、
離れたところにいる人が私の悪口を言っているのが聞こえたり、 神様の声みたいなものが頭に響いたりすることがあったんです。今日の実験では、 変身して得たいのしれない怪物と戦いましたけど、 そんなに珍しいことでもないんですよ」
安心したのか、
- 「あのね。それは……」
充分危険な徴候だし、
- 「ある種の超常能力があると思うんです」
歪莉はほがらかに言い、
- 「えいっ! えいっ!」
歪莉が可愛らしい声で小さく叫びだした。なにかを試みているようだが、
- 「なにしてるの?」
水野は意を決して尋ねてみた。
- 「空中浮遊できないかと思って念じているの」
歪莉は童女のような笑みを水野に向けた。空中浮遊といえば、
- 「いやだなあ。冗談ですよ、
水野さん」
歪莉は青ざめた水野を見て笑った。
今回登場したキーワード 気になったらネットで調べて報告しよう!
- 『アマルコルド』
- 冥府魔道
- 日本秘湯を守る会
- 日常ハカイ系
- アナーキスト
- 現代の”
貧者の核兵器” であるサイバーテロ - NRJ47
- 日常系革命女子高生
- クエンティン・
タランティーノ - 『投擲少女』
- 絶対領域
- ご神体
- 『日本の黒い霧』
- ポストスノーデン時代
- マルティン・
ブーバー
- 和田安里香
(わだありか) - 網界辞典準備室長代行 ネット系不思議ちゃん
年齢26歳、身長162センチ、 体重46キロ。グラマー眼鏡美人。
社長室。頭はきれるし、カンもいいが、 どこかが天然。宮内から好き勝手にやっていいと言われたので、 自分の趣味のプロジェクトを開始した。
- 倉橋歪莉
(くらはしわいり) - 法則担当
広報室。表向き人当たりがよく愛されるキャラクターだが、人から嫌われることを極端に恐れており、 誰かが自分の悪口を言っていないか常に気にしている。だが、 フラストレーションがたまりすぎると、 爆発暴走し呪いの言葉をかくつらねた文書を社内掲示板やブログにアップする。最近では 『裸の王様成田くん繁盛記』 というでっちあげの告発文書を顔見知りの雑誌記者に送りつける問題を起こした。
口癖は「私もそう思ってたところなんです」。
- 水野ヒロ
(みずのひろ) - 網界辞典準備室 寓話担当
年齢28歳、身長178センチ、 体重65キロ。イケメン。
受託開発部のシステムエンジニアだった。子供の頃からあたりさわりのない、優等生人生を送ってきた。だが、 最近自分の人生に疑問を持つようになり、 奇妙な言動が目立つようになってきた。優等生的な回答を話した後に 「そんなことは誰でも思いつきますけどね」 などと口走るようになり、 打ち合わせに出席できなくなった。
- 内山計算
(うちやまけいさん) - 網界辞典準備室 処理系担当
年齢32歳、身長167センチ、 体重73キロ。大福のように白いもち肌が特徴。
ブログ事業部の異端児で、なにかというと新しい言語を開発しようとするので扱いに困っていたのを宮内が連れてきた。
コンピュータ言語オタク。趣味は新しい言語のインタプリタ開発。
- 篠田宰
(しのだつかさ) - 実例担当
年齢44歳、身長165センチ、 体重48キロ。薄い毛髪が悲哀を感じさせる。
社長室。影が非常に薄く、やる気もない。幽霊のよう人物。ただし脅威の記憶力を持っている。温泉とコーヒーに異常な執着がある。
- 古里舞夢
(ふるさとまいむ) - 年齢36歳。身長165センチ、
体重80キロ。
受託開発部のエンジニア。極端な無口で人見知り。
和田のファン。何かというと和田に近づき、パントマイムを始める。どうやら彼なりの好意の表現らしいが、 和田を含め周囲の全員がどんな反応をすべきかわからなくなる。
- 綴喜堕姫縷
(つづきだきる) - 容姿は女性、
性別は男性。身長172センチ、 体重52キロ。
年齢不詳。カナダ、UBC大学卒業。文化人類学専攻。英語とロシア語が堪能。宮内専務の秘書。その前は、 バンクーバー支店長の秘書をしていた。
妖艶な美女。独特の雰囲気で見る者を魅了する。サブカル、特に昔のマンガにくわしい。バンクーバー支店で採用したため、 本社には詳細な人事情報がない。