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第4回Amazon Kindle Paperwhiteの実力はいかに(2)

持ち歩ける本屋さん

筆者が購入したKindle Paperwhiteは、3G回線付きです。

このモデルを選択した理由は、これまで使っていたSony Reader(PRS-T1)がWi-Fiのみのモデルだったためです。

3G回線付きのKindleに期待したのは「持ち歩ける本屋さん」です。

Sony Readerを使っていた時は、電車の吊り広告で気になる本を見つけても、自宅に帰るまでは我慢と自分に言い聞かせるか、どうしても気になる場合は、その足で書店に向かうなどしていました。これが、時々ではなく、度々だったので、Kindleの3G回線には大いに期待していました。

そのKindle入手後は、気になる本を見つけたら、まずは、Kindleストアを検索して電子版が購入できるのか確認します。Kindleストアにあれば、購入者のレビューを確認して、価格に納得できれば購入するといった使い方をしています(Kindleストアになければ、Amazonから購入します⁠⁠。

欲しい本があれば、手元でチェックして購入できるようになり、目論見通り『持ち歩ける本屋さん』が実現できました。しかし、振り返ると書店から足が遠のいており、知らない本との出会いが少なくなったのは、残念なことかもしれません。

参考までに、この3G回線は、Kindleに内蔵されている体験版のWebブラウザを使ってホームページが閲覧できるわけではなく、Kindleストアへアクセスするための専用回線です。Wi-Fi接続であれば、体験版のWebブラウザーでホームページが閲覧できますが、電子ペーパーののんびりした描画に、すぐ嫌気がさすはずです。

すぐに買えるのは便利だが

Kindleは、筆者の生活スタイルの一部に変化をもたらしました。Kindleを通して見るKindleストアのエクスペリエンスは、必要にして十分ですが、もうひと工夫してほしい部分もあります。

Kindleストアにアクセスしている様子
Kindleストアにアクセスしている様子

たとえば、本の購入についてです。Kindleを使って購入できるのは電子版のみです。当面は、すべての新書に電子版が用意され、発売済みの本もすべて電子化されるとは思ってもいません。少なくとも筆者は、電子版がなければ、紙の本を購入すれば良いと考えています。ですから、Kindleストアに電子版がなければ、Amazonにある紙の本を購入するための導線があっても不自然ではありません。抜け目のないAmazonが、フォローしていないのには何か理由がありそうですが、問題がないのであれば、誰も損をしないはずで、ぜひとも始めてほしいものです。

Kindleストアとの統合不足を感じる

Kindleで、クラウドサービスといえば「Whispersync」機能です。

この機能は、本をどこまで読んだかだけではなく、ブックマーク、ハイライト、メモを同期できる機能です。たとえば、Kindle Paperwhiteで読んだ本の続きを、端末を変えても読めるというワケです。Kindle Paperwhiteを持っていない時に、手持ちのスマホで続きが読めるので非常に便利です。

しかし、便利なのはここまでです。これも書籍の購入と同じで、もう一歩踏み込んでほしいと感じる部分があります。

たとえば、検索機能です。最近は、ローカルかクラウドかを意識することなく検索できる場合がほとんどです。Kindleでは、なぜか明確に区別されています。

ホーム画面の虫眼鏡をタップして検索できるのは、端末内に留まっています。Kindleストアの書籍を検索する場合は、ホーム画面のカートのアイコンをタップして、Kindleストアにアクセスした後、画面上部の検索ボックスにキーワードを入力して検索します。虫眼鏡を使って検索を行い、ヒットしなければ、Kindleストアまで検索範囲を広げる機能があっても良さそうなものですが、そうした気の利いたオプションはありません。

もうひと工夫ほしい検索機能
もうひと工夫ほしい検索機能

端末検索とKindleストア検索、それぞれ単独で見れば、なにも問題はありませんが、端末からKindleストアへ継ぎ目なく検索できると、利便性はさらに高まるはずです。いまのKindleのソフトウェアは、古くささを感じるデザインです。

Kindle Paperwhiteのような専用端末は、一巡したためか、需要に陰りが出ているとされています。こうした状況で、Kindle Paperwhiteに、いま以上の改良は期待できないかもしれませんが、最高のKindle体験、最高のAmazon体験ができる端末として、もう一歩踏み込んでほしいものです。

次回も続きます

次回は、本を読む道具としてのKindle Paperwhiteを見ていきます。

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