システムエンジニアの離職
日本的経営「三種の神器」(※1)のひとつに「終身雇用」がありますが、みなさんは転職の経験はお持ちでしょうか?
筆者に転職の経験はありませんが、最近では新卒で会社に入社しても平均で3割以上の人が会社を辞めてしまうそうです。会社を辞める理由は、キャリア志向の方が増えたと同時に、社会人になって「こんなはずではなかった」というケースも多いようです。
とりわけ、システムエンジニアは幅広い仕事内容があり、「自分が思い描いていた仕事と違っていた」という人が多く、筆者と同じ年に入社した同期生も、「こんなはずではなかった」と何人も会社を去っていきました。
今回は、筆者がシステムエンジニアのキャリアパスについて悩んだ経験をもとに、仕事内容とエンジニアのキャリアについて考えてみたいと思います。
終わりのない道
筆者は、会社に入社してからの2年間、先輩から与えられたプログラム開発をひたすら行う毎日でしたが、「BASIC」「FORTRAN」「COBOL」「C言語」といった開発言語を習得し、仕事が忙しくても、少なからず「開発する仕事」は楽しいものでした。
そんな日々を過ごしていましたが、ある時、お客様担当のシステムエンジニア(以下、アカウントSEといいます、※2)に変わりました。
アカウントSEの仕事は、スケジュールがない上に、お客様から問い合わせは緊急性の高いものばかりです。おまけに、やっと残件が少なくなってきたと思ったら、また残件が増える。「終わりの無い道」を歩いているような感覚で、明日する仕事の準備を前の夜にするような日々が続きました。
隣の芝生
アカウントSEを始めて数年、色々なお客様と会話する機会が大幅に増え、エンジニアとしての幅も広がりましたが、一時も気持ちが休まることがありませんでした。また、色々経験できる変わりに、浅く広くという感覚でした。
そんな時、プロジェクトに専念している同僚や先輩を見ると、「大きな仕事に参画してみたい」「開発のスペシャリストになりたい」「それだけやっていればいいのは、精神的に楽だよなぁ」…など、とても羨ましくなりました。
隣の芝は青く見えるものです。恥ずかしながら、そんな風に思っていました。
その後、様々なプロジェクトに参画したり、プロジェクトリーダを行う機会を持ちましたが、芝生が青かったかどうかは説明するまでもないでしょう。
ひとつ言える事は、さまざまな経験できたことで、それぞれの仕事の良さが分かりました。特に「お客様思考」が身に付いたのは、アカウントSEを経験したからだと感謝しています。
良くある悩み
筆者の周りでも同じような悩みを良く聞きます。開発中心の方からは「プログラム開発だけでなく、上流の設計工程をやりたい」、特定業務中心の方からは「新しい業務知識をつけたい」、アカウントSEの方からは「大規模なインフラ構築や新しい技術がやりたい」といった声を聞きます。
なかには、営業職をやってみたいという方もいるでしょう。また、他の仕事をしてみたいが、今更、他の仕事はできない(考えられない)という方もいるかもしれません。上司においても、「部下に色々な経験をさせたい」という想いと、「タイミング良くある仕事」「納期、品質、コスト」の制約で、少なからず部下のキャリアパスについて悩んでいるのではないでしょうか。
なりたい自分を語る
ずっと、同じ仕事を続けていると楽な面もあるでしょう。しかし、これから先のエンジニア人生が終るまで、同じ仕事があるかどうかの不安を覚えるものです。筆者も、これからのエンジニア人生で経験してみたい仕事、身につけたいスキルが沢山あります。そこで、筆者がお奨めするのは、キャリアについて悩んだ時、「自分のやりたい事」をまわりの人に話しをする事です。
それは叶わないかもしれません。しかし、言わなければ、誰も分からないものです。話しをする事で、決意も固くなるでしょう。「周りのせい」「環境のせい」「組織のせい」にせず、今を受け入れ、なりたい自分を考えたとき、未来は変わってくるはずです。
筆者は、エンジニアのキャリアパスついて、本当に何度か悩みました。いつか変わる、誰かが変えてくれると思わず、明日からの自分の言動を変えてみることをおすすめします。