まだチャンスはあるのか?Firefox OSレビュー

第5回Firefox OSの「App permissions」とは

1.0.0-prereleaseを試す

Mozilla Japan様のご厚意で、その時点での最新ビルドとなるFirefox OSを試す機会をいただきました。このバージョンは、⁠Settings][Device Information]にある「Software」で確認すると、⁠Boot2Gecko 1.0.0-prerelease」と表記されており、リリース間近のバージョンと思われます。

これまで評価に使っていたものは、xda developersで配布されたもので、2012/10/06の日付が付いていました。このバージョンは、のんびりした速度でしか動作せず辛抱が必要でしたが、⁠Boot2Gecko 1.0.0-prerelease」は、辛抱なしに使える速度にチューニングされています。ただ、複数のアプリを起動して使っていると、操作に対する反応が鈍くなる現象が見られました。これ以外は、終始安定して動作しており、開発段階のソフトによく見られる「ぎこちなさ」「頼りなさ」を感じることはありません。

日本語関連では、日本語入力アプリが削除されています。表示関連は、問題ありません。日本語入力アプリが無くなったのは惜しいので、Marketplaceからダウンロードできるようにしていただけると良いのですが……。

Device InformationでSoftwareのバージョンが確認できる
Device InformationでSoftwareのバージョンが確認できる

今回からは、Boot2Gecko 1.0.0-prereleaseを使って、Firefox OSをご紹介してきます。

今どきのスマホOSには必須の「App permissions」

今回は、Firefox OSの特徴的な機能でもある「App permissions」をご紹介します。

この機能は、インストール済みのアプリが、OSのどの機能やユーザデータにアクセスしているか確認できて、必要なら、アクセス権限を変更できる仕組みです。他のプラットホームに目を移すと、iOSにも似た仕組みがあります。視点は、OSが持つ機能やデータからですが、それにアクセスするアプリの一覧が表示されて、オン・オフができるようになっています。Android OSには、こうした仕組みがなく、アプリのインストール時に、アクセスする機能やデータをユーザに対して周知するのみとなっています。これが、トラブルを引き起こす原因ともなっているワケですが、本題とは関係ないので深掘りしません。

「App permissions」のアクセス権限の設定は、Ask、Deny、Grantの3種類があります。⁠Ask」を設定すると、アプリの初回起動時にアクセスしようとする機能やデータに対して許可を与える・与えないかを確認するダイアログが表示されます。⁠Deny」を設定すると、アプリに対しては一切アクセス許可を与えません。⁠Grant」を設定すると、すべての許可を与えたことになり、ユーザーに対して、なんらかの確認を行うといったことはありません。

「App permissions」では、アプリの開発元が確認できたり、必要であれば、アンインストールできるので、アクセス権限を確認して意図しない内容であれば、即座に削除するといった使い方も可能になっています。

App permissionsの一覧画面。インストールしているアプリは、すべてリストアップされる
App permissionsの一覧画面。インストールしているアプリは、すべてリストアップされる

ユーザから見たメリットは?

「App permissions」は、アプリのインストール時に行うのではなく、アプリの初回起動時に、Askの権限が設定された機能やユーザデータへのアクセスに対して確認が行われます。

多くのアプリは、このステップで必要な権限を与えられることを期待した作りになっているはずで、許可しないとアプリがうまく動作しないケースもあります。たとえば、たくさんの確認事項が表示されたので、怖じ気づいてしまい許可を与えず、結果アプリが動作しなかったということが考えられます。Firefox OSは、ローエンドケータイから導入されるとの話もあるので、詳しい知識を持たないユーザーが使うことを想定すると、リストアップされた権限の意味を理解して管理していくのは、少し骨の折れる作業になるかもしれません。

Mailの権限設定画面
Mailの権限設定画面

利便性との天秤になりますが、ユーザにとってわかりやすいものにするために、セキュリティポリシーを強・中・弱・詳細といったように、あらかじめ決められたメニューから選択させる方法も考えられます。ただし、あまり抽象的な表現になりすぎると、何に対して許可を求められているのか理解ができなくなる可能性があるので、この辺りのさじ加減は難しいところです。セキュリティに関しては、ユーザインターフェースと同じレベルで、わかりやすさ、管理のしやすさにこだわって追求するべきだと考えています。Mozillaがどのような回答を出してくるのか楽しみです。

もうひと工夫欲しいかも

「App permissions」は、多くの個人情報が保存されているスマホには必須機能です。しかし、もうひと工夫欲しいと感じる部分もあります。まずは、アプリ個別に権限の設定・確認が面倒なので、OSの機能やユーザデータからの視点で管理できる切り口があると、少しは優しくなるのではないでしょうか。

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