- 「データの神様が泣いてますよ」
夕食を食べ終えた数人は、
クリック数 | 1週 | 2週 | 3週 | 4週 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|
特集 | 54. | 21. | 29. | 51. | 34. |
イベント | 23. | 61. | 51. | 29. | 46. |
ニュース | 8. | 2. | 4. | 6. | 4. |
連続インタビュー | 4. | 1. | 2. | 4. | 2. |
コラム | 4. | 1. | 2. | 3. | 2. |
編集後記 | 4. | 12. | 10. | 5. | 9. |
合計 | 100. | 100. | 100. | 100. | 100. |
- 「お父さんが実数で作った表を構成比に変更しました。察するところ、
週による記事へのアクセス傾向の違いを確認したいのですよね」
数人の手際の良さに父である様也は言葉が出ない。理解できていないのだ。
- 「第2週と第3週ではイベントページへのアクセスが最も多いですが、
第1週と第4週では特集ページへのアクセスが多い。そういうことを確認したいのですね?」
数人は、
- 「じゃあ、
ちょっとご自身でやってみていただけますか? 自分でできないといつまでたってもアシスタントのままですからね」
数人は辛辣な言葉を父に投げつけると、
様也はクチャラーのまま、
数人が淹れ立ての珈琲を手に席に戻ったころ、
- 「あの、
さっき数人が言った傾向とは違うみたいなんだけど」
少し得意そうに数人に話しかける。数人は、
クリック数 | 1週 | 2週 | 3週 | 4週 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|
特集 | 27. | 22. | 24. | 25. | 100. |
イベント | 9. | 48. | 32. | 10. | 100. |
ニュース | 31. | 20. | 25. | 22. | 100. |
連続インタビュー | 30. | 20. | 25. | 24. | 100. |
コラム | 30. | 20. | 23. | 25. | 100. |
編集後記 | 9. | 48. | 32. | 10. | 100. |
合計 | 17. | 36. | 28. | 16. | 100. |
- 「いいかい? このグラフを見れば一目瞭然だけど、
全体的に特集はそんなに多くないんだ。週ごとの変化に注目すると、 第1週では特集がちょっと多いけど、 それでもニュース、 連続インタビュー、 コラムに負けてる。第2週と第3週にイベントへのアクセスが多いのは数人が指摘した通りだけど、 実は編集後記もかなり多かったんだ」 少し興奮気味に語る父親を、
数人は冷笑を浮かべてながめる。まるで哀れな道化を見る貴族のような眼差しだ。 数人が無言で珈琲をすすっている間、
様也は説明を続けた。やがて、 様也の説明が終わると、 数人は口元に手を当て、 くすくすと笑い出した。 「え? なにか違ってたかい? おかしいな。ちゃんと表もグラフもできてるはずなんだけど」
様也は不安にかられて画面を見直す。
- 「おろかあるいは哀れと表現すべきなんでしょうか」
数人は氷のナイフのごとき言葉で父親を切り刻む。
- 「だ、
だって……」
様也がさらになにか言おうとしたとき、
- 「ナーンセンス!」
数人は叫んだ。
「僕の作った構成比の表と、 あなたの作った構成比の表は計算方法が全然違います」
数人はそういうと、
目にもとまらぬ速さでさきほど自分が作った表とグラフをもう一度作り直して見せた。 - 「さあ、
お父さん、 なにが問題なのかわかりますか?」
そして父にそれを突き出す。
読者への挑戦
様也と数人の表とグラフのなにが違っていて、
どこが問題なのでしょうか? 目的である
「週による記事ジャンルのアクセス傾向の違い」 を見るために適している構成比とグラフはどれでしょうか? 考えてみましょう。
(つづく)