様也は、
様也はあわてて計算式を確認するが、
- 「あーあー、
またきれいにしなきゃ」
一転してサングラスで森田童子を歌っていた美希がため息をつく。特異体質の様也は感情が昂る血の涙を流す。幼いころは、
- 「すまん。つい集中してしまった」
様也があわてて顔をこすると、
- 「ビーフシチューでなくてよかった」
と数人が苦笑する。
- 「わかった! 構成比の数字が違うんだ。でもなんでだ?」
ユリイカ
- 「お父さん、
ようやく気がついたようですね。正解まで、 あとちょっとです」
クリック数 | 1週 | 2週 | 3週 | 4週 | 合計 |
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特集 | 54. | 21. | 29. | 51. | 34. |
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様也がまた画面を凝視する。
- 「やめてよ。また血の涙が落ちるじゃない。どうせわかんないんだから、
さっさと数人から正解を教えてあげなさい」
妻であり、
- 「いいですか?」
数人は大きくため息をつき、
- 「この場合、
構成比の計算方法は、 主には3つです。母数に全体の合計24,174を用いたもの、 週別の小計 (4,284、 8,838、 6,946、 4,106) を用いたもの、 記事別の小計 (8,330、 11,220、 1,100、 690、 590、 2,244) を用いたものです。週ごとの変化を見たいわけですから、 週別の小計を母数に用います。お父さんは、 ここで間違えた。あなたは記事別の小計を母数に用いました」
数人の指摘に、
- 「記事別小計を母数にした場合のグラフはこうなります。記事別週別グラフです」
- 「しかし、
それなのにあなたはグラフ化にあたって、 週別記事別グラフを作ってしまった。2つ目の過ちです。その結果、 かたちだけは僕のグラフと同じなので比較できるようになりましたが、 数値は記事別小計を母数した構成比なのでまったくもってナンセンスなグラフになり、 恥の上塗りをするはめになったわけです」
数人の説明に様也は血の涙を流して己の失敗を悔やんだ。
- 「世話が焼けるったらありゃしない」
美希が様也に、
- 「最後にもうひとつ。あなたの最大の失敗は、
棒グラフを使ったことです。この3つのグラフを比べてご覧なさい」
- 「第2週と第3週ではイベントページへのアクセスが最も多いですが、
第1週と第4週では特集ページへのアクセスが多いと僕は申し上げました。グラフ2の棒グラフからそれを読み取るのは難しくはないが、 ひとめでわかるというほどではありません。しかし、 グラフ5の折れ線グラフからならそのことがいやというほどわかりやすく示されています。さらには同じ構成比を記事別週別にしたグラフ6を見れば、 特集とイベント以外の記事に限らず、 全体的に第1週+第4週と第2週+第3週は似たような傾向を示していることがわかります。アクセス傾向から2つのグループに分れています。線のカーブが似ていることからすぐにわかります」 - 「た、
確かにそうだね」
様也は呆然とグラフをながめる。
- 「常々僕が主張しているように、
折れ線グラフは最強のグラフなのです。人は時に棒グラフや円グラフを使いたくなりますが、 ほとんどの場合、 それは愚かな過ちにつながります」
数人はそこまで一気に話すと、
- 「折れ線グラフは賢者の選択。棒グラフは甘い罠。頭に刻みつけておいてください」
ギリシャ神話のアドニスのごとき美しい横顔に、 残された様也は血の涙を流しながら、