GTDとは?
前回は、ストレスを無くすためには「頭の中をからっぽにする」ことが必要というお話をしました。
では、どのようにして「頭の中をからっぽにする」のでしょうか?
答えは「やるべきこと」「気になっていること」を紙に書き出せば良いのです。
「なんだ、そんな事は当たり前じゃないか!」と思っている方の多くは、この当たり前の事がなかなか出来ていないのではないでしょうか?
手帳やグループウェアなどを使って自分のToDoを管理している人は、たくさんいると思います。しかし、このToDoにやるべきこと全てが書き出されているでしょうか? また、そのToDoの見直しをしているでしょうか?
米国のコンサルタントDavid Allen氏の著書「Getting Things Done」では、この当たり前と思っていたことを、うまくこなすための手法がまとめられています。この手法そのものを略して「GTD」と呼びます。
GTDを実践するのに、特別な知識やツールは必要としません。紙とペンだけあれば、すぐに始めることができます。
それでは、これから皆さんと一緒にGTDを体験していきましょう。
ワークフローをマスターする
GTDでは、大きな流れが次のように決められています。
- 「やるべきこと」「気になっていること」を紙に書き出す。
- 書き出した仕事について、どのように対応するか決める。
- レビューを定期的(毎週、毎月)に行う。
これらは皆さんが普段、無意識のうちに進めているやり方なのかもしれません。そしてGTDでは、さらに実践的なワークフローが考えられています。
ワークフローの中には、「収集」「処理」「整理」「レビュー」「実行」の5つのステップがあり、これらを毎週繰り返すことで、ストレスが無い状態を維持していくことができるのです。
収集
収集では、頭の中にある「やるべきこと」「気になっていること」を全て紙に書き出します。
書き出す用紙は、何でもかまいません。筆者の場合は、A4用紙を4つ折りにして書き出すようにしました。
書き出す時間は、2時間ぐらいを目処に行ってみましょう。
今まで手帳や付箋、オンラインの予定表などに書き込んでいたものも、一箇所に集めて書き込みます。全て書き出すということが大事です。
実際にやってみると途中から書き出せなくなってしまうことに気付きます。すぐに思い出せない「モヤモヤ」したものがストレスの原因となっているのですから、そんなに簡単には出てこないでしょう。
そこで、思い出しやすくするために「収集のためのヒント」を用意しました。
表1 収集のためのヒント
ヒント | 関連キーワード |
あなたのプロジェクトは? | 作業中、未着手、フォロー |
提出物は? | 調査、資料、相談 |
連絡しないといけないことは? | 電話、メール、郵送 |
会議の予定は? | 社内、プロジェクト、客先 |
参加したいイベントは? | 飲み会、セミナー |
欲しいものは? | 本、ゲーム、プレゼント |
行きたいところは? | 旅行、友人宅、週末 |
約束していることは? | 上司、友人、家族 |
勉強したいことは? | 資格、趣味、スキル |
いつもやっていることは? | 当番、定常業務、習慣 |
最近の出来事は? | 気付き、悩み |
将来の夢は? | 役職、マイホーム、貯金 |
気になる話題は? | ニュース、ネタ、キーワード |
考え事は? | アイデア、宿題 |
書き出す内容は、仕事の事だけじゃなく、プライベートの事も書き出しましょう。どうですか? いくつ書き出せましたか?
個人差はあると思いますが、最初の内はA4用紙3~5枚ぐらいを目標に書き出してみてください。
収集が終わったら、少し休憩をしましょう。すごくエネルギーを消費したのではないでしょうか?
筆者は、GTDを実践してみるまで、こんなにエネルギーを注いで「やるべきこと」を書き出したことがありませんでした。終わってみると「こんなにも、あったのか?」とビックリしました。頭の中にある「モヤモヤ」したことを書き出したお陰で、何か穏やかになった気分になります。
もちろん、これだけでは書き出しただけですから、仕事は終わっていません。次回は、この仕事をどのように処理していくか体験していきましょう。