第3のスマートフォンの追撃やいかに―HTC Trophyレビュ―

第3回HTC Trophyに迫る「OS編」

いかがだったでしょうか?

前回は、ハードウェアのレビューでしたが、いかがだったでしょうか?

HTC Trophyのハードウェアは、シンプルで飽きのこないデザインで、サイズ感も良くスペックもイマドキですが、手堅い作りで、奇をてらったような部分がないので、ハードウェアに拘りのある方は少々物足りなく平凡な端末です。ソフトウェアのほうは、意欲的な造りで、iPhoneコンプレックスを感じさせることもなく、独創的なデザインです。

今回は、そのソフトウェア部分、とくにOSに関してレビューします。

ヌルサクの動作速度

動作速度は、イマドキのスマートフォンらしくヌルヌル・サクサクです。

そのヌルヌルの部分は、非常に凝った動きします。

たとえば、電源ボタンを押した時に表示される待ち受け画面は、上にフリックすることで、待ち受けが解除され、スタート画面が表示されるのですが、移動量が足りないとボールがバウンドするように、待ち受け画面がトン・トン・トンとバウンドする演出があります。


また、画面上部のステータスバーには、電波強度やバッテリ残量を示すアイコンが表示されるのですが、普段は表示されておらず画面上部をタップすると、1つずつの表示がトン・トン・トンと1つずつ画面の上から落ちてくるように表示されます。そして、しばらくすると、また画面の上に移動して1つずつ消えて行きます。


他にも、スタート画面からタイルをタッチしてアプリを起動すると、他のタイルがパラパラと画面左側にめくれて行き、タッチしたアプリが最後に残りアプリが起動します。

こうした演出は、随所にちりばめられており、また、何か操作するたびに、必ずと言っても良いくらい、なんらかのエフェクトが実行されるようになっています。

これがもっさりしていれば、ストレスが溜まりますがサクサクと動作するので、心地良い印象を受けます。これまでのWindows Mobileでは、こうしたユーザ体験は控えめだったので、Windows Phone 7は別の考えで開発されてきたことを感じ取れる一面です。

タイルのユーザインターフェース

スタート画面は、正方形や長方形の四角がいくつか表示されています。

これは、アイコンのような物で「タイル」と呼びます。アイコン同様、タッチするとアプリが起動しますが、それと違うのはタイルの中に表示されるアイコンや文字を状況に合わせて変えることができます。たとえば、メールのタイルに7と数字が表示されていれば、未読メールが7通あると通知しており、タップするとメールを読むことができます。


対応するアプリが増えれば、このタイルはWindows Mobileで言うToday画面のような役割を持てるので、これまでWindows Mobileを使ってきたユーザーも満足いくはずです。

端末にインストールされたアプリは、画面右上に表示されている矢印をタップすると一覧表示されます。スタート画面にタイルとして表示するには、一覧表示されているアイコンを長押しして[pin to start]を選択します。

残念な2点

Windows Phone 7は、サードパーティのアプリはマルチタスク非対応です。

標準で添付されているInternet Explorerは、ページをロードしてい最中に別のアプリに切り替えて戻るとロードが完了しているので、バッグラウンド通信は可能になっています。メールの受信も同様です。ただし、サードパーティのアプリは、通信中に別アプリに切り切り替えると、通信は中断されてアプリが終了されているので、再度起動することになります。音楽もバックグランドで再生できるので、iPhone OS 3.x時代のタスク管理をイメージしていただければわかりやすいと思います。

ベースのOSがマルチタスクに対応しているのに、シェルでマルチタスクを許さないのは残念です。せめて、アプリの状態を保存するタスクスイッチくらいは許容していただければ、使い勝手が格段に良くなるはずです。

もう1つ残念なのは、コピーペーストができないことです。

大騒ぎするほど多用するか?と聞かれれば、ないと答えますが、できないよりはできる方が幸せですし、先行するiOSやAndroidでは実装されているのに、なぜに?といった印象です。後発ならではで言えば、iOSはテキスト編集エリアを長押ししていると、Iポインタの移動がしやすくなるように、拡大表示されますが、Windows Phone 7では、長押ししているとIポインタ挿入モードになり、入力エリア付近から指を外しても、挿入モードは続くので、テキストを指で覆い隠してしまうようなことはなく、Iポインタの挿入位置を決めることができる凝ったユーザインターフェースを備えています。

心地良い操作感

たとえば、音楽を聴いている最中に、別のアプリを操作していたとします。

別の楽曲を聴きたいと思った場合、音楽プレイヤーを一発で呼び出す方法がなく、スタート画面を経由して音楽プレイヤーアプリを起動して操作する必要があり、まわりくどい部分があります。

このように、荒削りな部分はありますが、ほとんどの操作が心地良いと感じ、また使いたくなる印象です。この操作感は、Windows Mobileとは異なり、過去の互換性を切り捨てたことで実現されているのであれば、Windows Phone 7は期待のモバイルOSの1つと言えます。

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