祝・叫訓Vol.69
叫訓も気づけば69回目。いや、こんなに長く続くとは思わなかった。そもそも、オイラなんか人に訓示をたれることのできる立場の人間なんかじゃない。
ま、そんなまともなこと言ってないんだけど。でも、教訓チックな話をせずに69回って大したもんだ。オイラじゃなくて、技術評論社がね。感謝しています。
さて、連載69回目ということで今回はロックの話から。69(ロック)ね。
ロックバンドっていうのも、ふざけているように見えて実はシビアだったりする。酒飲んで、おねーちゃんと遊んで、楽器持って、ぶんちゃかぶんちゃか♪ やっているだけではない。
だって、それだけだったら続かないからね。お金がかかるだけだ。スタジオ代だったり、ライブ費用だったり、レコーディングにかかるお金とか……思った以上に経費は出るものである。
そう、バンドを続けるのもラクじゃない。雑誌『バンドやろうぜ!』<宝島社>も休刊になるわけだ。って、ずいぶん昔の話だけど。オイラ、連載コラム持ってたのになあ。また、復活してほしい(熱烈希望)。
今年15周年を迎えたオイラのバンド。なんで、年末のワンマンライブでアルバムを限定発売しようと考えている(あくまでも予定!)。
レコーディングは9月かしらん。なので、それまでに新曲を作らないといけない。ぶっちゃけアイデアは0状態。でも、決めたのだからやるしかない。
ということで、ここ最近は常に曲のことばかり考えている。ICレコーダーを持ち歩き、メロディが浮かぶのを待つ。
う~~ん、まったく出てこない(涙)。
ま、待つしかない。
KAKUSAN?
最近、新しい仕事の関係でTwitterを始めた。ホントに今更なんだけど。新しい仕事を成立させるためにはフォロワーを増やさないといけないらしい。
まったく意味がわからない。「イノマーさん、拡散が必要条件なんですよ」と担当者。
拡散? むーーん。
それ以来、ずっと「かくさん、カクサン」と街を歩きながらもつぶやいているオイラ。でも、意味がわからないのでどうしたらいいかさっぱり思いつかない。
いつの間にかオイラも年齢を重ね、今年で48歳だ。Twitterに乗り遅れたばかりに、拡散の意味がわからず、こうやって悩みに悩んでいる。情けのない話だ。
こういうのってインターネット用語っていうのかしらん? 気になったので調べてみると、“拡がり散ること”とのこと。
まったくもって意味不明。でも、その拡散とやらがオイラには必用なわけで、避けては通れない。
あまりに難しい顔をしているからだろうか、事務所のスタッフに「何かあったんですか?」と心配される。「いや、拡散が……」とオイラ。スタッフはキョトーンとしてた。ま、そりゃそうだ。
回転寿司はライブ(人生)である!
先日、久しぶりに回転寿司へと行った。何を食べようか? と午前中から楽しみで仕方なかった。ワクワク。
オイラは一度に多くを食べられないため、回転寿司では3皿と決めている。それ以上食べると、眠くなり動けなくなる。
寿司屋というのはライブである。定食屋とは違う。定食屋ならテーブルにつけば店員さんが注文を取りに来てくれる。そこで、自分が食べたいものを伝えれば、数分後にはそれを運んできてくれる。
ところがだ、寿司屋はそうではない。店員さんとのこっそりとした会話ができない。つーか、大声を出さないとオーダーが通らなかったりする。あれにはちょっとした勇気が必要だ。ハートの弱い人間には難しい。
張り切って回転寿司に入って来たものの、自分の食べたいネタを板前さんに伝えることが出来ずに、結局、目の前で回り続ける新鮮ではない皿を手にするしかない女のコを見たりする。あれは不憫だ。
うん、気が弱い人間には回転寿司はハードルが高いかもしれない。板前さんも人によっては気難しそうな人も多い(いや、あくまでもイメージ論だけれども)。
椅子に座り、周りを気にせず自分の食べたいネタをシャウトするシステム。まさに、ロックンロールライブだ。
オイラのマーケティングによると、思った以上にひとりで回転寿司に入れないという人間が多い。話を聞くと、やはり注文するのが苦痛とのこと。わからないでもない。
でも、声を発しないと自分の食べたいネタを食べることはできない。
これが拡散かーーーっ!
オイラは回転寿司で躊躇することはない。かなりゆっくりとチョイスして、オーダーをする。回っている皿には絶対に手を出さない。1回の注文は1皿とも決めている。
1回の注文で3~4皿するお客さんを見ると粋じゃないなあ、と残念な気になる。
あと、気になるのは隣席のチョイスね。あ、この人は1皿目からそれを頼むんだ? とか。次はそれいくか!? みたいな。そこは人それぞれのセンスだから深いものを感じる。その人のこれまでの人生すら考えてしまう。
ま、自分の好きなネタから食べるのがベストなんだけど。回転寿司の楽しみは自分以外だったりもする。
先日の回転寿司ライブでは、ずっとイカばかりを注文している人がいた。6皿くらいずっとイカ。会場(店内)もざわつきはじめた。
そりゃそうだ。だって、ひたすらイカを注文して食べ続けてるんだもの。
オイラは1皿目は赤貝を注文した。入店してから10分は経過していた。オイラが1皿食べている間に注目アーティストはイカの10皿目を完食(ちゃんと確認した)。とんでもないことになってきた。
さて、次は何を食べようか? と、オイラ。う~~ん、と考え……「すいません、イカください」と板前さんに言う。すると、あちらこちらから「イカください」のコール。
なんだか感動的だった。そして、ハッと思う。こ、これが拡散か! と。
自分の“好き”が世界を変える?
回転寿司の帰り道、ふと思った。オイラ、間違ってたなと。新曲ができないと落ち込んでいたけど、そりゃ上手くいかないはずだ。
アルバムを買ってくれる、聴いてくれるお客さんのことばかり考えていた。それがスランプにつながった。
大事なことを忘れていた。
オイラは自分の文章も音楽も全国に3人、本当に好きだと言ってくれる人がいれば幸せだと思いスタートさせた。
自分が好きなものやことは絶対に他の人も好きなはずだという裏づけのない自信があった。若かったからかもしれないけど。
ヤング時代にはそれくらいの図々しさが必用だ。オイラは大学生時代、好きな女のコには必ず自分が作ったベストテープをプレゼントしていた。
好きなバンドの好きな曲ばかりを集めたカセットテープ。しかも120分。ある意味、嫌がらせだ。でも、当時は気づかなかった。
相手のことばかり考えていたら伝わらないこともある。好きなことを追求すれば、拡散して成立する可能性もある。
口コミなんて、実はそういったちょっとしたことなのだろう。
ということで今回の叫訓↓
叫訓69
自分が好きなもの&ことを信じる力
それがビジネスにつながる(はず)