「いまここ」から鏡対称
ログと予定について、考えを深めてみようと思います。
予定については第10回でもすこし触れましたが、ライフログと予定表とは、現在を始点にして鏡対称に広がる情報だ、と考えることができます。これをどうマネジメントするかが重要になるわけです。
ライフログには過去の情報があり、予定表には未来の情報があります。しばしばかなり高い頻度でライフログの情報は、未来を確定させるのに役立っています。
筆者にとってのメインの予定表は、 以下の要素を羅列したファイルになっています。
これは短中長期的な予定で、いちばん未来の予定は、2058/06/06となっています。その日にすることをすでに予定表に書いてあります。
ごく短期的な予定は「今日」のファイル(日記)です。今日すべきことと、今日していること、今日したことを1日1ファイルで書いています。したことにはコンピュータの操作も含まれ、ログと日記は渾然一体化しています。日記に書くだけでコンピュータを操作できるようにしているためです。
このほか、日付をともなわないか、ある程度日付に幅のある予定を「ToDo」として、別ファイルにしています。
単純な書式は強い
予定も日記もToDoのいずれもごく単純な書式で、マルチウィンドウで開いているため、互いにドラッグ&ドロップで移動したり、カット&ペーストして移動し、自由に追記していくことができます。ウィジェット(ガジェット)感覚です。変更なども容易です。変更時に、仰々しいパネルなどを見なくてよいのも自然だと考えています。
このような書式のログ形式を、ワードプロセッサ専用機の時代からあわせると、かれこれ四半世紀近くもつづけてきました。
長期にわたって使い続けるには、特別なアプリケーションやサービスを使うのではなく、いちばんベーシックな書式がいいと筆者は感じているようです。アプリケーションやサービスは、なくなってしまうことがあるためです。xmlでの記述は、人間が読むものではないので、必要に応じてxml化すればよいと考えます。
このメインの予定表のデメリットは、列挙形式であるため、曜日感覚に乏しい点です。毎週定期で入ってくるような予定の記述には不向きです。
そこで、カレンダー型の予定表を併用することもあります。
カレンダー形式
月曜起こしの7日×6週を記述できるカレンダー型の予定表は、これまた紙のシステム手帳(や単なる手帖)を使っていたころからずっとなじんできて、システム手帳の専門誌を編集していたころには自分でデザインしたものを付録につけたり、それの延長にあるソフトを開発したりもしました。SmartCalendarです。SmartCalendarを写真を見るソフトと思っている方もいらっしゃるかと思いますが、じつは予定表としても使えるのです。
カレンダー型の予定表は、列挙型の予定表よりも以前から使ってきたので心理的には近しいのですが、現時点ではこれらをうまく統合できておらず、両方を併用しています。
(不)定期実行リスト
予定とは別に、定期的な項目を抜き出した「(不)定期実行リスト」(C 美崎薫)を作っています。これは、リマインダーのようなもので、定期的に見たいWebページなどから、年に数回実行する予定までを、一括して管理しています。それらは、明示的な予定とは異なり、ToDoとも違い、ベストエフォート型とでもいったらよいか、できたら実行する、みたいな位置づけのものです。
「(不)定期実行リスト」は、そもそも予定じたいが不定期であることや、外的要因の強い事柄をまとめたものです。
たとえば、好きな作家の新刊を買うとか、好きなアーティストの新譜を買うとか、というような、予定できるのかどうかにわかには判断しがたいものまでリストにして運用しています。リストにしているだけでなく、それが定期的にリマインダーになるようにしているところが、筆者の特徴的な使い方かもしれません。いわば「LivingToDo」(©美崎薫)とか、「ActiveToDo」(©美崎薫)あるいは、「AutoToDo」とでもいうようなものです。
「(不)定期実行リスト」は、つねに過去のログを参照しつつ常時動いていて、必要なことがあればウィンドウを開いてリマインドする、というように設定しています。
Webページなら更新があったときにWebページを見る、というものです。新刊や新譜の場合には、アマゾンの該当ページを開いてくれます。これだとRSSとおなじに聞こえるかもしれませんが、RSSが100%受動的なのに対し、「(不)定期実行リスト」は別名を「ActiveToDo」というだけあって、能動的に受動的に動くところが違います。主体性があるわけです。
「(不)定期実行リスト」の効果は研究中
「(不)定期実行リスト」は、普通なら忘れてしまうようなことを定期的にリマインドしてくれる点で効果を発揮しています。ただし、それがどの程度うまくいくのかは未知数で、かれこれ1年くらいは運用してきたと思いますが、まだ1年程度では、期間が短すぎて、テスト状態を抜け切れないのです。
作家やアーティストの新作の出るタイミングは、ひょっとすると3年ぶりとかいうこともあるわけで、1年程度でテストが成功するはずがありません。
定期的な予定なら、ある程度かたちができてしまえば、運用だけでよいかもしれませんが、「(不)定期実行リスト」の場合は事情が異なります。不定期の発生するタイミングがランダムであるため、その調整をする必要があり、「(不)定期実行リスト」は、かなり高い頻度で見直しをしながら運用をしています。
「(不)定期実行リスト」のインターフェースは必要かも?
「(不)定期実行リスト」への登録や削除、変更などの作業の頻度は、思っていた以上に高くて、自動化できている部分がうまく生きていない感じもしています。ぜんぶ手作業でしているのと、感覚的にはあまり違わない気がするのです。もっとも、ほんとうにぜんぶ手作業だったとしたら、自動化した部分もぜんぶ手間になってくるわけですから、自動化した恩恵は少なからずあるし、今後もっと楽になることは間違いないと期待するのではあります。見直しの頻度が高いということは、見直すときのインターフェースをデザインするべきなのかもしれません。
現時点では、「(不)定期実行リスト」での検索のエンジンに、Googleとアマゾンを使っていますが、ひょっとしてもっと別のサーチエンジンを使った方がよいのかもしれないとも思っているところです。エンジンの精度はリマインドの精度に直結するためです。
シンクロとxml
表示が異なったり、プライベートとビジネスなどのように、複数の予定表を使い分ける場合に課題となるのが、それぞれのシンクロです。
おなじことを、二度も三度も書いたり、書き写したりするのはぞっとしない話ですし、書いているうちに間違えたりする可能性もあるから、できるだけスマートにシンクロしたいものです。
列挙型にしてもカレンダー型にしても、ローカルで動いているだけでなく、Webで見たり修正できたりというのもほしい機能です。携帯端末などとのシンクロも現代的な課題です。
さらにいうと、予定のうちのかなりの部分をメールで調整しているとすれば、メールと予定表とのあいだのシンクロもできればなおグッドです。ToDoともですね。
予定表、ToDo、メール、ログというのは、それぞれが別のシステムというわけではなく、互いに関係しあって動くものだからです。互いに関係しあって動くものを、うまく連携して使えたら、それはとても使いやすいだろうと思います。
多くの方が抱いていると思いますが、ゴールとしては、複数のソフトがインテリジェントでゆるやかに連携する、というイメージはあります。
イメージはイメージですが、筆者の場合、列挙型とカレンダー型の統合/シンクロも充分ではないですから、なかなかその理想を実現するのは困難でもあります。
2009年4月現在でのシンクロ状況は、図のようになります。シンクロ時にはテキスト形式からxml形式に書き換えもしています。