ケータイで24時間Life Hacks! ~今こそ使い倒したいツール・サービス活用術

第10回トラベルハック[後編]

トラベルハック[前編]では、海外でケータイを利用する方法と、利用時の注意点について紹介しました。

3.SIMロックフリー端末 + 現地キャリアのSIMカード

SIMロックフリー端末と現地SIMカードの組み合わせの最大の特徴は、前編で紹介したローミングサービスの利用と違い、⁠現地のネットワークのみを利用する』点にあります。そのため、ローミングと比較して非常に安価に電話・通信を行う事が出来ます。

「国内ではパケット定額サービスに加入していて、暇さえあれば常にネットワークに接続している」という方や、⁠必要な情報は全て必要になったタイミングで現地で調べる」という方は、海外でも料金を心配する事無くケータイを使えるのでとてもオススメです。

実際、筆者は最近の海外旅行で初めてSIMロックフリー端末(イー・モバイルのEMONSTER⁠⁠ を携行し、現地でプリペイドSIMカードを購入しましたが、プリペイド方式なので帰国してからビックリするような請求が来てしまうような心配がありませんでした。SIMロックフリーのスマートフォンを使ったWebブラウジング、地図の確認、現地でのレストランの電話予約など、必要となった情報の入手や連絡をこなすことが出来たので、⁠通信環境が無かったりして不便で困った」という事が全くありませんでした。

SIMロックフリー端末 + 現地キャリアのSIMカードに必要なもの

SIMロックフリー端末 + 現地キャリアのSIMカードの組み合わせには、4つのステップが必要になります。

  • (1)SIMロックフリー端末の入手
  • (2)現地キャリアのSIMカードの入手
  • (3)契約の開通(アクティベーション)
  • (4)端末のAPN(接続先)設定
(1)SIMロックフリー端末の入手

日本国内で販売されるケータイのほとんどは、特定の通信キャリアのネットワークしか利用が出来ない、⁠SIMロック』が施された状態で販売されているため、先ずはSIMロックフリーの端末を入手する必要があります。

SIMロックフリー端末入手時の注意すべきなのは、国によって利用される周波数が違う点です。予め渡航先の国で使われている電波の周波数を調べておく必要があります。 ⁠実際には多くの端末が、複数の周波数帯に対応している事が多いのですが)

これまで日本では、通信キャリアから出される端末にはSIMロックフリー端末が無く、SIMロックフリー端末は海外で販売されるモデルを入手して使うか、日本向けにSIMロックフリー端末を提供していたNOKIA Storeで入手するほかありませんでしたが、イー・モバイルから発売されたHTC製のスマートフォン、EMONSTERを皮切りに、徐々に国内でパケット定額制に対応したSIMロックフリーの端末が増加しています。

海外で販売されるケータイはSIMロックフリー端末が多く、それらの端末に日本のdocomoやSoftBankのSIMカードを挿して利用する事も可能ですが、日本で常用するためには日本語入力環境を自らセットアップする必要があるなど、敷居が高い状況です。そのため、インターネットで公開されている様々なな情報を元に、自分で環境をセットアップする労を惜しまずに、セットアップ自体を楽しめる方以外にはオススメできません。

通話と、英語のSMSのみの送受信でokであれば、低機能な端末を数千円程度で入手する事が可能ですが、⁠海外でも十分な情報を得たい」という場合は、SIMロックフリーのスマートフォンが便利です。

海外のSIMロックフリー端末の購入は、オークションなどの他、以下のようなサイトで可能です。

SIMロックフリーかつ、日本国内でもパケット定額が利用できる端末は、現状イー・モバイルから発売されているEMONSTER(S11HT)やTouch Diamond ⁠S21HT)の他、MVNOで参入している日本通信が法人向けに販売する『Ultimate 8502』など、一部のスマートフォンのみとなっており、現在は端末の選択肢が極端に少ない点が残念です。ただ、今後SIMロックフリーの端末が増加する事で、選択の幅が広がることが期待できます。

(2)現地キャリアのSIMカードの入手

現地キャリアのSIMカードは、現地で調達する方法と、日本国内で調達する方法の二つがあります。

現地での会話に言語の問題が無い方は、現地の人に聞いてみて購入するという方法もあります。ただし、それぞれの国によって購入方法が異なりますので、購入のために必要な書類などは、出発前に調べておくのが無難でしょう。

私の場合は、渡航前にどのオペレータ(通信事業者)のSIMカードを購入するか決めておき、購入したいプリペイドSIMのパッケージが印刷された写真を店頭で見せる事で、すぐに目的のSIMカードを入手する事が出来ました。渡航先の物価が安かったため、プリペイドSIMの購入にかかった費用は日本円にしてわずか200円ほどでした。

現地での購入の煩わしさを回避できたり、予めプリペイドSIMを入手する事が出来るので現地での滞在時間を有効に使える。というメリットがあります。

また、現地で入手するほかに一部のショップなどでは、日本国内で、海外のプリペイドSIMカードの販売も行われています。

前述の現地で購入するよりも割高な価格の場合もありますが、カタコトの英語でも現地語でも、現地の人とコミュニケーションを交わしながらSIMカードを入手するほうが、無事に入手できた時の喜びも大きいのではと思います。⁠もちろん、手間がかかりますので万人にオススメできるわけではありませんが・・)

(3)契約の開通(アクティベーション)

多くの場合は、予め定められた電話番号にSMSを送信する事で、アクティベーションを実施する事が可能です。SMS送信のほかには、電話によるアクティベーションなどが存在します。

実際の手続き方法は各オペレータによって異なるので、予め調べておくかプリペイドSIMの購入時に添付される説明書などで確認する必要があります。どの国でも実施しているかは確証が無いのですが、プリペイドSIMの購入時に店頭で手続きしてもらう事も可能なので、手続きに自信が無ければ店頭で頼んでみるのも良いでしょう。

(4)端末のAPN(接続先)設定

ケータイがパケット通信を行うためのAPN(Access Point Name)の設定が必要です。SIMカード挿入後、自動的に設定してくれる場合もありますが、手動で設定が必要な場合も多いので、APN設定方法も事前に調べておいた方が無難です。

APNの設定方法はインターネットで公開されているほか、アクティベーションのSMSの返送で設定ファイルが送られてくるなど、各オペレータによってさまざまです。こちらも事前に確認しておくと無難です。

以上のように、SIMロックフリー端末 + 現地キャリアのSIMカードを使うためには多くの準備が必要になり、ローミングと比べると設定や準備に手間がかかります。しかし、ローミングによる利用と比較して格段に安い料金で通信手段を入手する事が出来るため、旅行中も思う存分ケータイを使いたい!という方は是非ともチャレンジして頂き、日本では当たり前になっている必要な情報を必要な時に入手する。という利便性を海外でも体験して欲しいと思います。

また、日本国内でパケット定額制に対応したSIMロックフリーな端末が少ない点については、今後各キャリア・メーカーからSIMロックフリーの端末が販売される事で徐々に解決される事を期待しています。

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