今回から数回に渡り、SONYの電子書籍端末「Reader」のレビューを行わせていただくことになりました。よろしくお願いします。
いま購入した理由
2011年の12月に、シャープが自虐的と思われるネーミングをつけて「GALAPAGOS」をデビューさせました。ちょうど同じタイミングで、SONYも「Reader」をデビューさせたのと、電子書籍市場が立ち上がる期待感が重なり、この2機種で多くのメディアを賑わせました。
1年経って市場を見てみると、GALAPAGOSは、売上げ不振でハードウェア事業から撤退しました。また、電子書籍の普及のペースは遅く、ネットからダウンロードして購入するスタイルが定着しているとは言えず、これまで通り書店で購入しています。
こうした状況で、SONYは二代目の「Reader」をデビューさせました。
正直、後継機種はないだろうと予想していたので、買おうか悩んでいた筆者にとっては嬉しい誤算です。また、初代は、いまひとつ垢抜けないデザインでしたが、二代目は、すっきりと男前になり、持ち歩きたいという気持ちをくすぐります。というワケで、機は熟したと言いづらい状況ですが、SONYの気概に賛同すべく、二代目「Reader」の購入となったワケです。
軽くて薄い本体
筆者が購入したのは、WiFiが搭載されたモデルの「PRS-T1」です。
画面は、6インチの16階調で、800ドット×600ドットの解像度を持つ電子ペーパーが搭載されています。今どきらしく、タッチ操作にも対応しており、左右のフリック操作でページめくりができたり、ピンチイン・ピンチアウトでページの拡大・縮小が行えます。
本体のサイズは110mm×173.3mm×9.6mmで、重さは168gです。同じ、6インチの画面でタッチ操作ができる「kindle touch」は213gなので、PRS-T1の方が20%程度軽量です。こうした作り込みは、さすが、SONYと言うべきで世界に誇れる部分でもあるはずです。
本体前面の画面フレームは、光沢のある仕上げになっています。背面は、別素材が使われており、手触りが良く滑り止めの役割も持っています。開発陣がどれだけ狙ったのかわかりませんが、本屋でつけてもらえるブックカバーのような手触りです。
ページめくりはタッチ操作で行いますが、ハードボタンも用意されています。ボタンのデザインは、AndroidケータイのXperiaとそれと似た形で、左右のページめくりボタン、ホーム画面へ移動するホームボタン、前の画面に戻るバックボタン、メニューの表示・非表示を行うメニューボタンが備わります。実際、6インチの画面を左から右へフリックしてページめくりをするのは面倒なので、ハードボタンは大変重宝します。
画面とハードボタンの間には、アルミ素材のベゼルがあり、デザイン上のアクセントになっています。片手で持った時に、ここを親指の置き場所として使うと、誤って画面を触るのを防ぐことができます。一見すると、アクセントにしか見えないベゼルですが意外な役割を持っています。
本体下には、電源ボタン、ヘッドホンジャック、マイクロUSB端子、リセットボタンが並びます。バッテリーの充電はマイクロUSB端子を使い、パソコンのUSBポートを使うと2.5時間で満充電になります。充電中は、電源ボタンについたバッテリーランプが赤く点灯し、残量が少なくなると赤く点滅します。電源ボタンを押すとスリープモードに移行して、読書中の書籍のカバーイラストが壁紙として表示されます。スリープモードからの復帰は、同じような電源ボタンを押します。この電源ボタンには、物に当たってオンにならないように、電源ボタンと同じ高さの突起が左右についています。こうした配慮は、さすが国産メーカという印象です。
作り込みの良さが光る本体
最近は、身の回りに海外メーカーのガジェットが増え、国産メーカーのガジェットを所有する機会が少なくなりました。たとえば、筆者の場合、メインのスマートフォンは、iPhoneでApple製、サブのAndroidケータイはサムソン製です。また、パソコンもApple製で、すべて海外のメーカーです。これらには、唯一の特徴があるので使っているワケですが、PRS-T1を手にしてみると、切り詰めた作り込みや細やかな配慮がされた作り込みなど、忘れかけていたとも言える日本の物作りに対する懐の深さを改めて感じます。PRS-T1のように用途が決まった端末では、細やかなな作り込みがその物の良さにも繋がるので、良い印象を持っています。
軽さは最大のメリット
長時間見ていても、目が疲れず読みやすい電子インクの画面さることながら、PRS-T1を使って最もメリットに感じるのは、本体を片手で長時間持っていても苦にならない軽さです。筆者は、iPadも所有しているのですが、iPadでの読書は、15分もすれば手が疲れてきて、読むことに集中できなったのですが、PRS-T1は「読める端末」として活躍します。
しかし、電子書籍の場合は、コンテンツありきでハードウェアの魅力だけでは成立しません。今回は、ハードウェアを取り上げましたが、次回以降から、本体のソフトウェアやReader Storeの仕上がりにも触れていきます。