Googleケータイ、世に現る

第47回大躍進の陰には開発者の努力アリ

選択肢が多いこのと陰

利用者にとって、選択肢が多いのは良いとされることが多くあると思います。その選択肢がどんくりの背比べのような状態の中では、意味はありませんが、適切な競争が行われている中での選択肢ならば、ユーザにとっては歓迎すべき状況です。

大躍進が伝えられるAndroidが、正にこの状態で、各社、独自ホーム画面など独自機能を実装したり、キーボード付き・無し、用途に最適化した端末デザインなど、様々な方法で特徴付けを行い差別化を図ろうとしています。スクリーンの解像度1つとっても、本連載でご紹介したXperia Mini proのQVGAから、今秋NTTドコモから発売予定されているSamsungのGALAXY SのWVGAまで、さまざまなバリエーションが存在しています。

購入検討しているユーザは、こうした選択肢の中から自分のニーズあった端末を選択することになります。

このように、現状はユーザにとって、楽しく悩ましい状況ですが、開発者にとっては悩ましい状況です。筆者もAndroid向けのアプリを開発するサンデープログラマーの一人なので、今回は、快進撃を続けるAndroidの陰で、開発者の悩みのタネを取り上げます。

共感して頂けるのであれば…

これを読んで頂いて、共感できる方がいたら、Android Marketからダウンロードしたアプリがうまく動作しなくても、寛大な気持ちを持って頂いて、開発者に対して動作状況を報告してみてください。開発者は、手塩にかけて作り上げたアプリを多くの方に使ってほしいはずで、状況報告の連絡がもらえれば、より高いモチベーションで開発を行い修正版をリリースするはずです。時間はかかるかもしれません。また、結果は期待にそぐわぬ内容かもしれません。それでも、多くの選択肢がある喜ばしいことです。そのアプリが存在することで、それを超えるアプリが登場してくる可能性も考えられます。

端末を作るのはメーカですが、アプリを作り・育て上げるのは、開発者だけではなく、ユーザである皆さんも含まれていると考えています。よいコミュニティには、良いアプリが登場するはずなので、少しだけ寛大な気持ちを持って、アプリと付き合ってみて下さい。

複数バージョンが存在する市場

Googleが公表している2010年8月のAndroid OSのバージョンシェアでは、Android 2.1(59.7%), Android 2.2(4.5%)の両方で64.2%、Android 1.5(15.5%)とAndroid 1.6(20.3%)でも35.6%となっています。

Android 1.6がリリースされたのが、昨年の9月なのにも関わらず、既に、Android 2.x系が六割以上なっているのは驚きの結果ですが、Android 1.x系がまだ3割残っているのも無視できない結果です。

Android 2.0がリリースされてから、一年足らずで64.2%のシェア。驚きの数字ではあるが、新しい技術に興味を持つユーザが多いと読み取ることもできる
Android 2.0がリリースされてから、一年足らずで64.2%のシェア。驚きの数字ではあるが、新しい技術に興味を持つユーザが多いと読み取ることもできる

このように、市場には、複数のOSが存在しており、アプリの対応OSをどのバージョンからとするか、開発者の頭を悩ませます。

分かり易く、Android 2.0以上の対応としたいところですが、64.2%の端末しカバーできないのは少し心許ない数字です。それではと、全ての端末をカーバーできれば良いのですが、Android 1.5とAndroid 1.6以上では、画面のレイアウトアルゴリズムが異なり、両方に対応させるのは骨の折れる作業となります。Android 1.5を対応OSから除外し、Android 1.6以上対応とすれば、84.5%の端末カバー率となります。できれば、90%程度のカバー率としたいところですが、まずまずの結果です。

これで対応OSは決着が付いたしても、バージョンごとの機能差が、また頭を悩まします。

下位互換は保たれているといえ、Android OSはバージョンアップを重ねるために、機能追加が行われて来たので、バージョン番号が大きいOS程、魅力的な機能を備えています。

例えば、Android 2.0以上では、登録されたGoogleアカウントを管理できるAPIを備えていますが、Android 1.6では、そうしたAPIが備わっていません。

たとえば、Googleアカウントを使うような、Googleリーダークライアントの場合、Android 2.0では、OSの機能を使ってアカウント管理ができますが、Android 1.6では、アカウント管理機能を独自に実装する必要があります。

Androidの場合は、Android 2.2に対応したSDKを使ってアプリを開発しても、新しいAPIを使わないか、バージョンチェックして場合分けさえしていれば、正しく動作しますが、同じアプリでも、バージョンごとに実装方法を変更しないといけないのは、開発からテストのフェーズで二重の負担となり、楽な話ではありません。

筆者の印象ですが、バージョン間での互換性は高いので、開発段階で気を配って行儀の良いアプリを開発しておけば問題なく動作しますが、新機能を使おうとした場合は、開発者は、工夫と苦労をしながらアプリを開発する必要があります。

今回は、Android OSのバージョン差による陰をご紹介しました。次回も同じテーマで、現在の状況を紹介します。

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