実りが多かったIFA 2010
雨後のタケノコのようと表すのがぴったりだと感じているのですが、IFA(国際コンシューマエレクトロニクス展)2010では、関が切られたように、数多くのAndroidケータイ、Androidタブレットが発表されました。数多くの選択肢は、Androidの魅力の1つでもあるので、歓迎すべきです。ケータイやタブレットだけではなく、今年、5月のGoogle I/Oで発表されて話題になった、Android OSベースのGoogle TVもデモされました。
姿が見えてきたGoogle TV
Google TVのデモは、ソニーが行い年内の発売とされています。
GoogleのシュミットCEOもGoogle TVのサービスは、今年秋に米国内で開始し、来年以降に米国外でもサービスを開始する予定としているので、年内には新たなAndroid OSプラットホームが登場することになります。
ソニーは、実機ではなくムービーでデモを行いましたが、そのムービーでは、サッカーの試合を観ている最中に検索を行い、目的のWebページへ移動すると、スーパーインポーズのように画面右下に、テレビ画面とWebページを重ね合わせて表示しています。
検索を続けると、テレビ画面はそのままで、表示しているWebページの輝度だけが落ち、検索に集中できるユーザーインタフェースを見ることができます。その後は、Twitterへ移動して、テレビ画面を観ながらつぶやく様子などを観ることができます。
筆者は、インターネットブラウザが内蔵された東芝の液晶テレビ「REGZA」を所有していますが、ブラウザはほとんど使ったことがありません。Google TVのように両方が高い次元で統合されていれば、積極的に使う機会が増えるかもしれませんが、REGZAは、テレビモードとインターネットモードに分かれており、テレビを観ながらインターネットにアクセスすると言った使い方ができません。Google TVの利用イメージのように、テレビ番組を観ながら気になったことを検索したい場合は、ノートPCを使っています。
テレビとインターネットの融合は、古くから取り組まれていますが、成功と言える商品は登場していません。その理由は様々あると思いますが、テレビは受動的、インターネットは能動的なコンテンツで性格が異なるので、どのような切り口で融合するのか難しい課題が残っているからだと考えています。
その点では、Google TVは、お得意の検索という切り口で融合を行っています。
その検索の範囲は、Webはもちろんのこと、録画番組から放送中の番組、有料テレビ、オンライン・ビデオクリップなど多岐に渡ります。また、注目すべきは、ながらで使えるようなユーザーインタフェースが備えていることです。デモムービーで、すべての手の内を見せているとは思えないので、鑑賞中のコンテンツを中断することなく、他の操作を実行するために、テレビ画面と他画面をオーバーラップさせたり、ズームイン・ズームアウトして表示する等の工夫がされると予想しています。
そもそも論ですが
そもそも論にはなりますが、筆者の場合、テレビを観ている最中に、インターネットで気になることを検索したかったり、関連番組やコンテンツを観たいと思う機会が少ないので、本当にデモムービーのような利用シーンがあり、需要があるのか疑問に感じています。また、テレビの前に座る時は、受け身でコンテンツを楽しみたい時なので、自らキーパットを操作して積極的に使うのだろうか?とも疑問に感じます。
いくつか疑問に感じるところはありますが、Google TVが積極的に使われなくても、テレビの鑑賞時間中の10%でもそれに割かれ、視聴者をWebサービスなどへ導くことができれば、Google TVは成功なのかもしれないと考えると、先の疑問は薄れていきます。
Google TVは、しばらくお預け
新たなAndroidプラットホームとなる、Google TVは、日本での登場は少し先になりそうで、クリスマス商戦には登場しそうにありません。
となれば、気になるのは、日本のキャリアの動向です。筆者は、NTTドコモはGalaxy Sの発売をアナウンスしているので、続いてGalaxy Tabも発売してくれないかと期待しています。
また、国内のメーカーからは、おサイフ機能が搭載された端末などが登場してくるのはないかと予想しています。我々が工夫して育て上げて来た仕組みを、我々が開発した物ではないプラットホームへ移植しないといけないのは、皮肉な感じはしますが、Androidでおサイフ機能が使えるのであれば利便性は上がります。
そのおサイフ機能ですが、それを内蔵したケータイを販売している国は少ないと思うので、内々でと閉じるのではなく、サードベンダーがアプリを開発できるよう、APIを公開して頂きたいと考えています。ハードが伴う必要はありますが、日本から仕組みを発信して、世界で使われるようになれば、日本から世界への新たな足がかりとなるのではないでしょうか。