Googleケータイ、世に現る

第56回次期OS「Gingerbread」姿が見えてきた?

リリースラッシュが落ち着いた

最新バージョンのAndroid 2.2がリリースされたのは、2010年の7月です。

Android 2.0のリリースが2009年末なので、Android OSは非常に早いペースで進化している言えます。矢継ぎ早に新バージョンのOSがリリースされたので、ここ最近は間が空いている印象がありますが、常識的なリリースサイクルに近づいたと言えるかもしれません。

さて、Googleからは、正式なアナウンスはありませんが、Gingerbreadのコードネームが付いた新バージョンのAndroid OSが年内に登場するとされています。それが、Android 3.0となるのか、Android 2.3となるのかはわかりませんが、筆者なりにリリース時期とその姿を邪推してみます。

こぼれ出る噂話では、10月の4週目には、先行してSDKが登場すると言われていましたが、原稿執筆中の4週目には登場していません。アメリカでは、Gingerbreadをクリスマス前後に食べられるようで、もしかすると、これがリリース時期に関する重要なヒントになるかもしれません(笑⁠⁠。

もう1つ、Gingerbreadは、甘みを付けるために糖蜜が用いられることがあり、黒みがかることがあるそうです。実は、ここにもヒントが隠されており、ユーザインターフェースの刷新を示唆している可能性があります。わかりやすいところで言えば、黒を基調したテーマに変更されるのかもしれません。

筆者の稚拙な想像はこの程度にして、今回は、得られている情報を元に、次期Android OSの姿を考えてみます。

ハイエンド端末向けのOS?

Gingerbreadは、ハイエンド端末向けのOSとされています。

Android端末には、ARMベースのCPUが採用されることが多く、そのCPUを設計・開発するARM社が2010年には、デュアルコアのCortex A9を搭載した携帯電話を目にすることになるだろうと話しています。このデュアルコアのCPUが登場すれば、スマートフォンの処理速度は、一段レベルアップすることになります。

OSもこうしたトレンドに追従して設計されているはずで、Gingerbreadがこの先数年間の基盤OSとなるならば、リリース当初は、いまよりも数段上のハードウェアを要求することは優に想像でき、それでハイエンド端末向けとしている可能性はあります。

Gingerbreadが、ハイエンド端末向けとして登場するならば、Android 2.xは、ローエンド端末向けとして残す可能性も考えられます。ただ、現状は、市場に複数のAndroid OSが存在しているツケを開発者が背負っており、追い打ちをかけるように、別バリエーションのOSを追加すると、いま以上のツケを払わされる可能性があるので、早い時期に登場するならば、導入端末を絞る可能性もあります。

ユーザインターフェースが刷新される

多く言われるのが、ユーザインターフェースの刷新です。

Android OSの弱点は、ユーザビリティですがPalm社(現:HP社)のwebOSのユーザインターフェースをデザインしたMatias Duarte氏がGoogleのAndroidチームにUser Experience Directorとして合流しているので、刷新されるのは間違いなくwebOSを超えるような魅力を得て登場して来るはずです。

Matias Duarte氏の置き土産となったwebOS。Android OSもwebOSのようなデザインになるのか?
Matias Duarte氏の置き土産となったwebOS。Android OSもwebOSのようなデザインになるのか?

関連した話になりますが、メーカ独自のユーザインターフェースは、基本的に禁止と言う話もあります。メーカ独自の要素が多いと、ユーザビリティの面では、混乱をもたらしますが、メーカに裁量が与えられているのは、Androidの魅力でもあるので残して欲しい部分でもあります。

基本禁止とする前に、GoogleからAndroid OSのユーザビリティやユーザインターフェース・デザインに関する基本的な考えや指針を提示した上で、この考えに沿わないものは、禁止とするべきではないかと思います。とくに、ユーザに対して、一定以上のエクスペリエンスを提供する目的であれば、尚更です。こうした考えは、アプリ開発者にも適用できるので、是非とも行って欲しいものです。

タブレット向けに最適化?

Androidタブレットに最適化される話も上がっています。

メインは、高解像度の画面に対応する変更となるはずですが、それに合わせて、専用のユーザインターフェースパーツが用意される可能性があります。専用パーツが用意されれば、それをどう使い分け、画面をどうデザインするのか、アプリ開発者に周知する必要があるので、先で書いたようなガイドラインが必須となるはずです。

ただ、筆者の印象では、iPadのように9.7インチもある大きな画面であれば、専用のデザインを用意する必要はありますが、Galaxy Tabのように、7インチ程度の画面であれば、画面の向きでレイアウトを変化させる以外は、専用にパーツが無くとも現行のままで上手く動作するのでは感じているので、タブレット向けには大きな変更は無い可能性も考えられます。

刀工達の成果はいかに

先日開催されたSoftBank Daysで、孫社長はiOSを他よりも切れ味鋭い刀(スマートフォン)と表現しました。使い勝手が良いと言う意味で使われていましたが、Gingerbreadは、ユーザインターフェースの刷新(ユーザビリティの改善)が含まれているので、孫社長流に言えば、さらに切れ味が増すはずで、Googleの刀工達が丹精込めて研ぎ澄ませてくるだとうGingerbreadは、いまから楽しみです。

さて、永らく続けさせて頂いた本連載ですが、次回からは心機一転、新連載となり、より広い多くの方に親しんで頂ける内容になって登場する予定です。お楽しみに。

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