VOCALOID(初音ミク、鏡音リン・レン)の上手な歌わせ方教えます!

第4回調整の具体例

こんにちは、OSTER projectです。今回は、前回までの内容を活かした実際の調整例についてのお話になります。ここではあえてvsqファイル(ボーカロイド用の歌唱ファイル)の公開は控えようと思います。手順どおりに自分の手で調整し、どのように音が変化していくのかを体感してみてください。

実用的調整例

以下、私が実際に普段調整で使っているパラメータ操作例です。これを組み合わせるだけでも、無調整状態に比べてかなり個性が出ます。

無調整の状態
※以下、シンガー:リン、PBS:10固定

1. 実用的PIT調整例

a. PITによるポルタメント

PITによるポルタメント

前回もご紹介したとおり、PITでポルタメントを再現するとかなり幅広く自由に調整できます。

b. 瞬間的PIT上げ

瞬間的PIT上げ

元気で弾ける感じが出ます。例ではノートの最初と最後だけPITを上げてみました。

c. 瞬間的PIT下げ

瞬間的PIT下げ

ルーズな感じが出ます。例では最初と最後だけPITを下げました。

d1. 民謡風のこぶし

民謡風のこぶし

基本的に発音中のパラメータ値は連続的が基本ですが、あえて離散的に変化させることによって、民謡風のこぶしを再現してみました。

d2. Auto Tuneの再現

Auto Tuneの再現

d1の応用編です。パラメータを離散的に変化させることによって、Auto Tune独特の効果を再現してみました。

2. 実用的DYN調整例

e. DYNによるアクセント

DYNによるアクセント

瞬間的に発音時のDYNを上げることでアクセントを再現しました。

f1. DYNによるクレッシェンド

DYNによるクレッシェンド

DYNを徐々に上げていくことによってクレッシェンドを再現しました。

f2. DYNによるデクレッシェンド

DYNによるデクレッシェンド

DYNを徐々に下げていくことによってデクレッシェンドを再現しました。

3. ○○と○○の合わせ技例

g. フォルテピアノからクレッシェンド

フォルテピアノからクレッシェンド

e、f1の組み合わせです。例ではさらにビブラートを付加しました。

h. f2の応用

f2の応用

f2にビブラートを付加、さらに音が最後に向かうにつれ、BREを上げていきました。

i. gの応用例

gの応用例

gにbとcを組み合わせてみました。音の最初で瞬間的にPIT上げ、音の最後で瞬間的PIT下げを使っています。

j. 情けない声

情けない声

aとビブラートの合わせ技です。ビブラートの種類はExtremeのType3で、周期を少し速めてみました。実用的かどうかは別問題ですが……。

k. 演歌風

演歌風

今までの総まとめ的な調整例です。a、b、g、hの組み合わせ技です。DYNはフォルテピアノからクレッシェンド→デクレッシェンドの流れです。BREは発音の最初だけ瞬間的に上げて音が最後に向かうにつれ、上げています。PITは発音の最初だけを瞬間的に上げ、そのあとはすぐにデフォルトよりも下に下げ、そこから徐々に上げていってポルタメントを再現します。

演歌風のビブラートプロパティ

ビブラートについては、FastのType3を少しいじって、演歌独特の時間変化と共に振幅が大きくなるビブラートを再現しました。

おわりに

いかがだったでしょうか。ただ一音伸ばすだけのシンプルなデータでも、このように多用な調整を施すことによって様々なニュアンスが出せるということがお分かりいただけたでしょうか。もちろんこれらの例は私が今までVOCALOIDを調整してきた中で考え付いたものに過ぎません。人によって何千、何万パターンもの調整ができるのもVOCALOIDの醍醐味です。皆さんも是非ユニークな調整にチャレンジしてみてください。

次回は今回に引き続き実際の調整例や、さらにちょっと変わった歌わせ方についてご説明しようと思います。それでは次回からもよろしくお願いします。

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