Oracleが目指すこれからの開発環境――Oracle、Database Tools Software Development VP、Michael HICHWA氏に訊く

2010年11月9、10日の2日間、東京にて「Oracle DBA & Developer Days 2010」が開催された。その際、Oracle、Database Tools Software Development VP、Michael HICHWA氏が来日し、Oracleが考えるこれからの開発環境、そして、開発者に向けたメッセージを伺うことができた。

Oracle、Database Tools Software Development VP、Michael HICHWA氏
Oracle、Database Tools Software Development VP、Michael HICHWA氏

3つのIDE

Q:まずはじめに、Oracleが取り組んでいる開発者向けの展開について教えてください。

OracleはSunの買収後、3つのJava向けIDEをサポートすることになりました。1つはEclipse、2つ目はNetBeans、3つ目はOracle JDeveloper 11gR1です。このうち、EclipseはEnterprise pack for eclipseを提供する形で、あとの2つは実際の開発にコミットまたはサポートを行っています。

Enterprise pack for eclipse

1つ目はEnterprise pack for eclipseです。Eclipseコア+動作検証済みのプラグインという形で提供されます。Javaのコーディングにフォーカスしており、EJB/JPA、SpringなどのAPIやフレームワーク、各種Webサービス、WebLogicに対応させています。

NetBeans

2つ目はNetBeansです。これはSun買収以前からコミュニティ主導で開発されており、現在もコミュニティにフォーカスした開発ツールとして位置付けています。機能面では、JavaFX向けの最適な開発ツールとして位置付けており、その他、Java EE 6の開発などにも適したツールと言えるでしょう。

Oracle JDeveloper 11gR1

最後はOracle JDeveloper 11gR1です。これは名前のとおり、Oracleが開発し提供するJava開発ツールです。とくに、OracleのFusion Middleware開発者のためのIDEとして位置付けており、Oracle ADF(Application Development Framework)の開発プラットフォームとしてとても重要な製品です。Drag&Dropによる操作、宣言的構造、WYSIWYGといった特徴を持っています。

また、最近のWebアプリケーションの主流にもなっているJavaScriptのコードを、コーディングせずに開発できるのも特徴です。

APEXの魅力

Q:Javaに特定せず、アプリケーション開発という視点ではどのような展開をしていますか?

アプリケーション開発の中心的な技術となるのが、APEX(Oracle Application Express)です。これは、データベースセントリックなWebアプリケーション開発ツールであり、Oracle Databaseの無償オプションとして提供しています。現在、Oracle Database 10gR2、11gR1、11gR2/XEと同時に提供しています。

APEX:Oracle Application Express
http://www.oracle.com/technology/global/jp/products/database/application_express/

以下、いくつかの特徴を紹介しましょう。

APEXの実行画面
APEXの実行画面

SQLサポート、ノーコーディング

まず、SQLをサポートしています。これにより、従来のデータベースエンジニアが、既存のSQLスキルを活かしながら開発を行うことができます。さらに、開発ツール上では、コーディングをせず、ビジュアル的な開発が行えるのも大きな特徴です。

OracleのECサイトでもあるOracle Storeは、このAPEXを利用して開発しました。5人の開発者で約6ヵ月で開発を終えています。

その他、多言語対応をしているため、グローバルな展開を目指す企業にとって、コストパフォーマンスの高いアプリケーション開発環境と言えるでしょう。

企業内での活用

APEXは、外部向けのサービスだけではなく、企業内での活用にも向いています。たとえば、特定のパートナー向けのシステムを構築する際、既存のDBとの連携が図りやすくなっています。その理由の1つが、あらかじめDatabaseをサポートしているからです。つまり、既存のデータ資産をそのまま統合して開発できるメリットがあります。

また、開発者の立場からすると、たとえばJava開発者であればJava言語を、データベースエンジニアであればSQLを、というようにそれぞれの領域がある中で、APEXはその2つの間をつなぐ役割も果たすのです。

詳細についてはOracle Application Expressも参照してみてください。

HICHWA氏はデモンストレーションとともにAPEXについて紹介してくれた
HICHWA氏はデモンストレーションとともにAPEXについて紹介してくれた

Javaエンジニアに向けて

Q:最後に、日本のJavaエンジニアに向けてメッセージをお願いします。

Oracleは、Javaというプログラミング言語にコミットしている企業です。今後、新しいアプリケーションを開発するときにはJavaを使っていくことにコミットしていく予定です。オープンかつスタンダードであるJavaをサポートすることが、お客様のニーズを満たすと考えています。

ぜひ日本のJavaエンジニアの方には、Javaを利用したたくさんのアプリケーションを、Oracleのツールを使って開発してもらいたいです。

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