ドイツ生まれのホームページ作成サービスJimdoが日本に登場して、
Jimdo Best Pages 2018を振り返って
- Q:まず、
昨年11月に開催されたJimdo Best Pages 2018の様子についてお伺いします。今回で5回目を迎えたJimdo Best Pagesを振り返っていかがでしたでしょうか? - Jimdo Best Pages 2018
- https://
www. jimdo-bestpages. com/ M:例年レベルは上がっていると思いますが、
印象的なのは時代ごとに最もマッチした作品がグランプリを取っているように見受けられます。 たとえば一番最初のノミネートを見ると、
受賞者の大半がWebデザイナーが関わっていたものですが、 主にまず見た目のデザインが優れたものが多かったように思います。このような傾向は、 市場がWebサイトに求めていた部分の多数をデザインが占めていたからではないでしょうか。技術的な部分も含め 「日本的なデザイン」 をいかにJimdo で再現できていたかもキーになっていたようにも思います。 それと対照的に今回の受賞作品を振り返って見ると、
この2年間でJimdoのデザイン性が向上したことも関係していると思いますが、 コードに頼らない、 でもデザイン面でも素晴らしい作品が増えたと思います。デザインにもこだわりは見せるが、 そこに長くの時間を割かない。訪問者が見るコンテンツの作成や、 オンラインビジネスで成功するために時間を使っているように見受けられました。 過去もそうですが、
とくに第5回では、 そういった事業主の情熱や思いがサイトから読み取れたように思えます。
Jimdo登場の前と後
- Q:Jimdoが日本にやってきてから10年が経過しました。この間、
たとえばスマートフォンの爆発的普及など、 いわゆるWeb制作・ Webデザインの間で大きいトピックがいくつかありました。こうした環境の変化に対して、 Jimdoはどのように進化・ 変化してきましたか? M: Jimdoとして大事にしてきたことは、
いかにユーザが簡単にWebサイトを作れるか。そしてオンラインビジネスで成功できるかです。 おっしゃる通り、
この10年でマーケットはかなり変わりましたし、 現在も変わり続けています。その中で大事だと思っていることは、 変化に対して一般の人が変化への順応が必要だと感じたときには、 その変化にJimdoはすでに対応していることです。スマホが普及すると見れば一般的に普及する前にスマホ対応が実装されている。デバイスが多岐にわたると予想したときにはレスポンシブを実装しておく。観光客の増加とスマホの普及に対し、 フリーWifiの解放が増えることによって、 アクセスするWebサイトに対する信頼性を問われるようになる、 その前には常時SSLにもなっているようにする。 Jimdoのこれまでを振り返ってみると、
つねに一般的に理解も意識もされだしたころには、 すでに実装されているようなスピードで進化してきた自負はあります。
Jimdoから見る日独の共通点・相違点
- Q:上記と関連して、
日本のユーザの印象、 たとえば、 ドイツのユーザと比較して同じところ、 違うところなどを教えてください。またフィードバックにはどのようなものが多かったですか?
Web制作の観点で感じた日独の国力としての共通点
M:日本のユーザとドイツの状況を比較した際、
まず同じと感じるのはユーザ層です。 これは経済的な部分でもドイツと日本が似ていることが理由にあると思います。ドイツにも多くの大企業があり安定した企業に勤めたいと思っている人が多いですが、
その一方で新しく起業するスタートアップも、 フリーランスや個人事業主が多いのも特徴です。
顕著に異なるWebサイト上の情報量の差
M:Webサイトに対する違いは、
まずデザインです。 ヨーロッパは比較的、
色も配置もシンプルなものが好まれますが、 日本はテキストを含めより多くの情報が記載されていると思います。ただ情報が多くても色使いや空間の使い方で見やすい構成を作っているように見受けられます。 個人的な話ですが日本食は素晴らしいです。まずその美しさに毎回驚きます。食器の並び方と選び方、
さらに一品ごとにこだわりがあって、 それが美しく配置される。料理や食器の全体を考えた色使いも素晴らしいです。また特定の食品が目立つわけではなく、 でもしっかり主張してくるような。そんな美意識が根付いた文化がWebサイトにも反映されているのではないでしょうか。
変化に過敏に反応する日本のユーザ
M:サービスに対する違いもあります。ドイツを含めヨーロッパでは、
何か新しい機能が追加されたときにユーザからはポジティブな意見が多く見受けられますが、 日本は逆のリアクションが起きることもあります。変化に対してネガティブな意見があがることが他の国と比べると多いと感じます。 そのようなフィードバックから感じることは、
事前に変化に対して変化を受け入れてもらう必要性も大事だと気付かされます。その面で日本での経験が豊富なKDDIウェブコミュニケーションズと一緒にサービスを提供できていることはすごくプラスです。
日本ならではの強み――JimdoCafe
M:また国民性に関しても素晴らしく感じています。たとえばJimdoCafeですが、
基本的に同じようなことは他の国では起こりにくいです。人の意見を聞ける場所があることで日本は気持ちの部分でも安心してサービスを支えているのではないかと思います。その他にもガイドブックなどをここまで多くの方に執筆してもらえている国は他にはありません。
ジンドゥーAI ビルダー誕生の背景
- Q:新しいサービス
「ジンドゥーAI ビルダー」 をリリースに至った経緯について教えてください。 M: 簡単にWebサイトが作れるサービスとしてジンドゥークリエイターを10年間提供してきました。
おかげさまで世界で2,000万以上のWebサイトがジンドゥークリエイターで作られてきたと思うと、
すごく革新的なプロダクトを提供し続けて来れたと思います。その一方で私たちが目をそらしてはいけないのは、 それはWebサイトをジンドゥークリエイターでも 「完成できなかった」 ユーザもたくさんいたということです。 ジンドゥークリエイターにはWebサイトを作成する上で必要な機能はほぼ揃ったと感じています。時代に合わせて機能は変化していきますが、
ほとんどの人はその機能をうまく使いこなせているとも思っています。ただ自分のWebサイトに対して何をやりたいか 「目的」 がはっきりしている人とそうではない人がいます。目的に向かってWebサイトを作ろうとすれば作成も早くなります。
目指すのは「オンラインビジネスで成功するサービスを提供すること」
M:私たちのミッションはWebサイトが作れるプロダクトを提供することではなく、
オンラインビジネスで成功するサービスを提供することです。その中でWebサイトは持った方が良い、 持ちたい、 むしろ持たなければいけないと変化してきている市場の中で 「何の目的で持つのか」 が明確ではないままWebサイトを作る人も多いです。この考え方自体は悪いことではありません。ただ作るのが難しくなることも多く 「完成」 しないままの諦めてしまう原因にもなりかねません。 私たちは2,000万以上のWebサイトを提供してきた経験から、
何をどう変えたり追加すれば良いWebサイトが出来上がるかわかっているつもりです。それは直接目で見る以外にも、 莫大なデータからも読み取れます。そうであれば、 この経験が自動的に反映されたサービスを提供できればと考えたのが始まりです。 今は昔と違ってオンライン上にデータを提供することが簡単になりました。更に言えば自分の会社やお店の情報をあげることは自分自身で行ってもいいし、
SNSや投稿ができるサービスを通じて他の人でもできるようになりました。 サイトオーナーのプロフィールに私たちの経験と世の中にある情報の両面を掛け合わせば自動的にWebサイトが完成する。しかも3分で美しく設計されたデザインとAIで自動的に画像が選定され、
完全にオリジナルのサイトが完成する。 ジンドゥーAI ビルダーはそれを実現したサービスだと自負しています。
開発者からの、ジンドゥーAI ビルダーおすすめポイント
- Q:ジンドゥーAI ビルダーはどういったユーザに使ってもらいたいですか?
M: とにかく簡単に早く美しいWebサイトを完成させたい人にはジンドゥーAI ビルダーを使ってもらいたいです。
Webサイトで何をやりたいかが明確な人は機能的に豊富なジンドゥークリエイターを使ってもらうのが良いと思います。
- Q:ジンドゥークリエイターとジンドゥーAI ビルダーの関係性
(ユーザの棲み分けなど) を教えてください。 M:先ほどの答えと同じになりますが明確な目的を持った人にはジンドゥークリエイター、
とにかく簡単に早く美しいWebサイトが欲しいと思う人にはジンドゥーAI ビルダーをおすすめしますが、 棲み分けるというよりも単純にWebサイト作成の幅を広げたつもりです。今後はわかりませんが、 現段階では棲み分けを明確に持たずユーザの利用状況をみて変化を加えて行こうとしています。 特定の業種業態ではジンドゥーAI ビルダーよりもジンドゥークリエイターの方が使いやすいと感じられるものもデータから出ていますし、
極端にジンドゥーAI ビルダーの方が良い結果が出ているものもあります。これから今よりも登録数が増えていくことでこのデータの信憑性も上がりますので、 それまでは明確な棲み分けは行わないつもりです。 - Q:ジンドゥーAI ビルダーには、
かなり自動化を意識したUIが実装されている印象です。画像の自動判別をはじめ、 いわゆるAI的な要素が取り込まれています。このあたり、 今の技術トレンドについて、 開発チームで意識している部分、 積極的に取り入れたい技術があれば具体的に教えてください。 M:具体的には機械学習の技術をもっとあらゆる面で追加していきたいです。それによってジンドゥーAI ビルダーが自動的に導き出す答えの精度も上がりますし、
精度が上がった状態で作られたWebサイトをユーザが触ることでもっと学習の精度も上がると思っています。コンテンツ作成、 追加するページなど多岐にわたって導入したいと思います。ただ我々が大事に思っているのは何が技術の裏で動いているかを知ってもらって 「すごい」 と感じてもらうより、 触った直感的な感想が 「魔法みたい」 と思ってもらえるようなものを作り上げたいです。
AI時代のWeb制作に向けて
- Q:日本では、
ここ数年、 Web受託ビジネスの在り方に変化があるように感じています。1つは、 これまではたとえばCMS導入やWebページ制作といった内容が中心だったのが、 今は、 そういった部分はある程度一段落し、 たとえば、 ビジネスそのもののコンサルティングやリリース後の運用・ 保守といった割合が増えている印象です。Jimdoが、 こういった状況の中でどのような価値を生み出していくか、 あるいは、 狙っているかを教えてください。 M: おっしゃる通り、
Webデザイナーは作るだけの時代からコンサルティングや運用を含めもっとクライアントのビジネスに関わる機会が多くなってきました。そのため、 よりWebのエキスパートになるスキルが必要になってきたと思います。 ジンドゥークリエイターやジンドゥーAI ビルダーがその状況で生み出す価値は、
シンプルにより多くのWebサイトを市場に提供することです。市場のWebサイトを保有率が上がれば、 それだけ多くのWebサイトに対してコンサルティングや運用を行う機会が増えます。 そしてWebエキスパートが増えれば、
その中でも競争が生まれてより良いWebエキスパートが育つはずです。その循環が起きることを狙っています。 - Q:最後に、
日本のWeb制作者に向けてメッセージをお願いします。 M:I LOVE YOU!
- ――ありがとうございました。
すでに170万人のユーザを抱えるジンドゥーが、
その中で進化し続けるAIは、
マティアス氏が述べているように、