アドビ、Adobe AIR 1.1を6月17日から提供開始─次なる構想とは

2008年6月19日、アドビシステムズ⁠株⁠は都内で「Adobe AIR 1.1」についての説明会を開いた。

Adobe AIRはデスクトップ向けRIA(Rich Internet Application)を開発・配布するためのアプリケーション開発技術。2008年2月のAIR 1.0リリースから約4ヵ月で新バージョンの登場となった。説明会で、同社マーケティング本部デベロッパマーケティングスペシャリストの轟啓介氏はAIRを「脱ブラウザをしたFlash」と表現する。

AIRについて説明する轟啓介氏
AIRについて説明する轟啓介氏

AIRの特徴として、以下の3点が挙げられる。

  • ワンクリックでインストールできる手軽さ
  • 既存のWebメディア技術(Flash Player、Adobe Readerなど)を統合しているため、開発者が新たに勉強する必要がなく、今までの技術で開発可能で効率的であること
  • 1つのAIRファイルを作成するだけで、クロスプラットフォームに配布できること

2月にAIR 1.0がリリースされて以降、日本語が正式にサポートされていない状況にもかかわらず、その注目度は高く、AIR Runtimeのダウンロード数は数百万/月。関連記事、書籍なども多数発表されている。そのような中で今回のバージョン1.1は発表された。

AIR 1.1の主な改良点は以下のとおり。

  • 日本語にフル対応
  • 日本語だけでなくフランス語、ドイツ語など多言語対応
  • サーバとの連携(SQLiteとの連携強化)によりさらに強力なアプリケーション作成が可能

これらにより、AIRの商用価値はさらに高まるとアドビシステムズは期待している。

また、説明会では次バージョンのAIRの構想についても言及された。次のAIRではFlash Player 10を搭載予定(ベータ版をAdobe Labsで公開中)で、さらに表現力が豊かになるという。また、AIRをあらゆるスクリーン上で閲覧可能にするOpen Screen Projectという計画も進行中。

AdobeAIR OpenScreenProjectの概要
AdobeAIR OpenScreenProjectの概要

AIR 1.1の発表にあたり、AIRコンテストの審査員を務めるクラスメソッド⁠株⁠代表取締役 横田聡氏は、⁠AIRはクリエイターだけのものではない。開発者から見ても、日本語環境が整い、AME制御ができ、日本語コミュニティがあり、複数言語に対応しているという魅力がある。またAIRを使うことで、今までは別々にもの作りをしていたデザイナーとデベロッパーが一緒にチームとして仕事でき、ユーザの使い勝手、ニーズなどについて早い段階から話ができ、お客様が早い段階で完成イメージを見ることができる」と開発者の立場からAIRの魅力を語った。Adobe AIRは今後もさらなる展開を見せていくであろう。

AIRの製品詳細、ダウンロードについてはAdobe AIRのトップページを、すでに発表されているアプリケーションの事例については「Adobe AIR:アプリケーションの事例」を参照。

アドビシステムズ
URL:http://www.adobe.com/jp/

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