2010年度実績
2011年2月22日、アドビ システムズは2011年度事業戦略記者説明会を開催した。
冒頭に、アドビ システムズ株式会社代表取締役社長Craig Tegel氏より、2010年の実績についての報告が行われた。同社のワールドワイドでの2010年度の売上は38億USドル、2009年度比で29%増になっている。
この業績に関し、Graig氏は「2010年は、売上に繋がるたくさんの製品をリリースした年でした」と話し、昨年リリースされた各製品を紹介した。2010年に発表したおもな製品や技術は以下のとおり。
Adobe Creative Suite 5
Adobe Digital Publishing Suite
Adobe AIR 2.5
Adobe Flash Player 10.2
Adobe Acrobat Xファミリー
Adobe LiveCycle Enterprise Suite 2.5
「たくさんの製品をリリースし、とても忙しい年でした。日本は、AcrobatとCreative Suiteに関して世界第2位にの市場であり、また、多くのFlashデベロッパー、世界最大のFlexコミュニティを抱ている、Adobeにとって非常に重要な地域です」と話す、アドビ システムズ株式会社代表取締役社長Craig Tegel氏
2011年度、市場での3つのフォーカス分野
2010年の振り返り後、Craig氏は「2011年、アドビ システムズは新しいビジョンとして“ 世界を動かすデジタル体験を” を掲げ、コンテンツを創り、誕生したコンテンツから生まれるさまざまデジタル体験を提供できるソリューションを提供します」と発表した。これに伴い、デジタル体験の提供に必要な分野として、次の3つにフォーカスしていくと述べた。
コンテンツオーサリング
カスタマーエクスペリエンスマネジメント
オンラインマーケティングの最適化
マルチデバイス時代に向けたオーサリング
まず、コンテンツオーサリングに関しては、現在、世界にいる670万人ものプロのクリエイター、さらにクリエイターを目指す学生やクリエイティブ指向の個人ユーザに向けて、「 マルチスクリーンでのデジタルエクスペリエンスの構築、管理、配信、課金」のサポートをしていくそうだ。その手段となるのが、Creative Suite 5であり、Acrobat X、そして、電子出版に向けたDigital Publishing Suiteという製品群。
Craig氏は、今後ますますスマートフォンやタブレットが普及し、さらにiOSからAndroidへの展開を予想した上で、こうした新しいメディア環境がコンテンツ制作と配信の経済的側面に変化を及ぼしていくことを指摘した。
こうした環境変化の中、アドビ システムズはCreative Suite 5を通じて、
デジタルコンテンツの制作
コンテンツの配信と課金
配信後の分析とターゲットの高度化
が実現できると、Creative Suite 5が持つ強みを紹介した。さらに、Creative Suite 5だけではなく、Digital Publishing Suiteを使用することで、iPhone/iPadの他、Android端末にも対応したコンテンツオーサリングが実現でき、これからのマルチデバイス時代に対応できるツールとして完成度が高まっていることをアピールした。
Digital Publishing Suiteのデモを行う、アドビ システムズ岩本崇氏。今回は、iPadおよびAndroid端末(Galaxy Tab)上で、ワンコンテンツマルチデバイスを実現するデモが行われた
デジタル体験をする顧客との接点を管理する
次に、カスタマーエクスペリエンスマネジメントに関してCraig氏は、「 現在の紙ベースのワークフローで課題となっている顧客のコンテキストと体験の管理をデジタル化し、エンタープライズソリューションを提供することで、顧客が持っているデータを最大限に活用し、カスタマーエクスペリエンスマネジメントをサポートします」と説明し、同社が考えるカスタマーエクスペリエンスマネジメントのプラットフォームを紹介した。
アドビ システムズが考える「The Adobe Customer Management Platform」
ここでいうカスタマーエクスペリエンスマネジメントとは、顧客獲得・顧客維持を行うための考え方で、ユーザ体験をサポートし、満足度を向上するための概念のこと。同社では、Adobe LiveCycle Enterprise SuiteやAIRなどを組み合わせることで、ソリューションとして実現し提供している。
オンラインマーケティングの最適化
最後のオンラインマーケティングの最適化に関しては、Adobe Online Marketing Suite, powered by Omnitureを軸に、デジタル広告とマーケティングの測定、実行、最適化に関する基準を構築し、顧客のビジネスをサポートしていくそうだ。
「アドビ オムニチュア ビジネスの概要」について発表するオムニチュア事業本部本部長 尾辻マーカス氏。「 コンバージョンの成功は、関連性と効率性。キーワードにするとパーソナライゼーションになる」
Adobe Onine Marketing Suite, powered by Omnitureの構造
Adobe Recoomendations, powered by Omniture
オンラインマーケティングの最適化に関する説明に続き、新製品「Adobe Recoomendations, powered by Omniture」の発表が行われた。
同製品は、Adobe Online Marketing Suite, powered by Omnitureの最新アプリケーションで、Webサイトやディスプレイ広告、電子メール、モバイルなどの各種メディアを横断して、商品やコンテンツに関する自動レコメンドを行う機能を有している。
レコメンドの自動化やパーソナライゼーションの実現、それらをユーザ自身が管理できる他、組込みテストやターゲティング、レポーティングといった機能を実装している。
Adobe Recoomendations, powered by Omnitureには、レコメンドを算出するために40ものアルゴリズムが用意されている。表は、それらのアルゴリズムをセグメント分けしたもの。左から、レコメンド戦略、使用する場所、使用する理由となっている
顧客のデジタル体験の変革に向けて
説明会の最後に、改めてCraig氏が登場し、2011年度の日本でのビジネス戦略について語った。大きく、
エンタープライズソリューションズ
クリエイティブソリューションズ
モバイルソリューションズ
オンラインマーケティングソリューションズ
にフォーカスし、同社から複数のソリューションの導入を行い、各種チャネルおよびISパートナーとの協力により、ビジネスを推進しながら「顧客のデジタル体験の変革、成功をサポートしていきます」と締め括った。