株式会社きずなは2011年2月28日、豚組しゃぶ庵にて、同社が開発するソーシャルメディアクライアント「kizna」に関して、パブリックベータに向けた説明会を開催した。
ソーシャルメディアでの“対話”を支援する
説明会の開始にあたり、株式会社きずなの代表取締役中村仁氏(@hitoshi)はkizna開発の経緯について説明を行った。最初のきっかけは、中村氏自身が体験しているTwitterの特徴である、
- 顧客の言動が“お行儀良い”
- 企業への評価が高まりやすい
- 顧客同士でサポート対応してくれる
- 対応内容を共有しやすい
という4つのポイント。
一方で、現状のTwitterおよびソーシャルメディアクライアントの多くには、
現在のソーシャルメディアは“ログ”を重視していない
ユーザとの会話が複数のソーシャルメディアに断片化される
という課題があり、それを解決することを目的に「ソーシャルCRM」を目指して、kiznaという形で開発が進んでいる。
パブリックベータ版が持つ6つの機能
今回発表されたパブリックベータには、クローズドベータでも実装されていた機能を含め、次の6つの機能が実装される。
- History
- 検索
- タグ
- アドレス帳
- ソーシャル統合
- Universal Inbox
Historyとは、特定のユーザとのやりとりを、mentions(リプライ)やDirect Message(DM)を横断的に網羅して、時系列で閲覧できる機能。この他、自分のTLに表示される1つ1つのTweetにタグを付けたり、特定のフォロワーに対して、kizna上のプロフィールを付けるといったことが可能となっている。
Universal Inbox
新機能の中、とくに特徴的なのが「Universal Inbox」。
これは、kiznaに用意されている「Watch」と呼ばれる特定のハッシュタグが付いたTweetの閲覧を含め、mentionsやDMなど、すべてを1つのカラムで閲覧できるようになるもの。この点について、中村氏は「これまで多くのTwitterクライアントでは、特定のハッシュタグやキーワードに関するTweetリストを追いかける場合、個別のカラムが必要でした。カラムが2、3個程度であれば使用できるレベルですが、それ以上になってくるとユーザ自身にマルチカラムのストレスがかかります。Universal Inboxは、そのストレスを解消しながらもマルチカラムと同等の利便性を用意しています」と、Universal Inboxについて説明した。
他にも、ワンクリックで自分自身のTweetを確認できる機能や、自分の過去のTweet一覧を対象とした検索機能が用意されている。
また、近いうちにFacebookをはじめとしたTwitter以外のソーシャルメディアまでを対象に、一元管理が行えるようになるとのこと。
ビジネスモデルはフリーミアムで
kiznaの提供方法は、フリーミアムのスタイルを採用している。まず、制限機能付きのFREE版(Twitterアカウント2個、Tweet保存数1万5,000個、Watchキーワード1個、タグ数20個)の他、FREE版の制限を解除したUnlimited版、Unlimited版に自動タグ付けや炎上警告、予約投稿などの機能を追加したPro版、複数ユーザによるコラボレーション機能を追加したfor Business版が用意される予定。
複数のレイヤに分けたアーキテクチャ
新機能の説明の後、バックエンド技術を担当する増井雄一郎氏から、kiznaのアーキテクチャに関する説明が行われた。
先に説明したとおり、kiznaは独自の検索方法を採用するため、kizna上でユーザのTweetを保存する。これを実現するために、
- フロントエンド(HTML/JavaScript対応、iPhone向け)
- High Level API(Twitter関連の対応)
- Low Level API(Twitter以外のサービスへの対応)
の3層構造を実現し、インフラとして、MySQL+Amazon RDSによるクラウド環境を用意している。現状、テキストデータのみの対応だが、将来的には、画像をはじめとしたデータ形式への対応も予定されている。
ソーシャルがコモディティ化した世界で欠かすことのできないツールに
最後に、中村氏は「これからソーシャルメディアが、電話と同じようにすべての人があたりまえのように使う、コミュニケーションツールとなる時代が来るでしょう。その、ソーシャルがコモディティ化した世界では、電話と同じように、顧客サポートやマーケティングが(ソーシャル上で)行われるはずです。kiznaは、その世界で欠かすことのできないツールになると信じています」と、kiznaの未来像と可能性を述べ、説明会を締めくくった。