さくらインターネット(株)は、NTTデータ先端技術(株)、河村電器産業(株)、日商エレクトロニクス(株)と合同し、2011年秋に竣工予定の同社石狩データセンターにて高電圧直流(HVDC)給電システムの総合的な評価検証を実施する。
HVDC(High Voltage Direct Current)とは高電圧の直流で給電する方式。HVDC12V方式では、300Vを超える高電圧直流を集中電源で12Vへと降圧した上でそのままサーバに給電する。これにより、UPSからサーバなどの機器にいたる電力経路での各種損失を取り除くことができる、受変電設備からサーバまでの経路で総合的な電力効率は90%以上となり、従来のAC(交流)による方式(効率70~80%)と比較して画期的な電力効率を実現できるという。また、AC方式での給電と比較して効率に優れているだけでなく、高価なUPS(無停電電源装置)やサーバ内部の電源ユニットが不要となるなど設備構成がシンプルにできるので、コスト面でも大きな優位性をもつ。
石狩データセンターでは、すでに低温外気を活用した外気冷房を採用することになっており、通年外気冷房のみの場合のPUE(※)は1.11を達成する見込みとのこと。外気冷房に加えてHVDCを採用することにより、センターのエネルギー効率をさらに上げ、低コストと省エネを同時に実現していくのが狙い。
HVDC 12V方式の採用により、従来型のデータセンターを100とした場合の石狩データセンターの消費電力は、外気冷房とHVDC 12V方式併用により半分の50となるという。さらにIT機器と空調の消費電力も、AC方式と比較して10~20%ほど削減される見込み。PUEの分母となるIT機器の消費電力が減少するため、PUE値こそ変化しないが、実際の消費電力は大きく削減されることになる。
今回は4社合同で、まずは5月から6月にかけてHVDC 12V方式の評価検証を実施する。同方式の効果はすでに実証実験にて検証済みだが、石狩データセンターでの実運用を視野に入れた設備構成を完成させることを目的とする。その後、同センターでの実運用テストにて、実際のデータセンターにおける安全性を実地確認するとともに、外気冷房との併用による総合的なエネルギー効率の検証を行う予定。
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