2016年9月5日、LINE株式会社はすでに参入を表明していたMVNO事業として「LINEモバイル」を正式に発表した。
今回の発表にあたり、同社取締役CSMO舛田淳氏は「日本におけるスマートフォン普及率の伸び悩み、その要因の1つとして通信費の料金体系とユーザニーズとのミスマッチがある」とし、一方で今後の日本のスマートフォン市場では、
- ゲーム、動画などのリッチコンテンツが増加
- その結果として、月間トラフィックが年々上昇
という状況の中、ますますスマホに対する通信環境の改善が求められていくことを指摘した。こうした背景から発表されたのが今回の「LINEモバイル」である。
LINEモバイルは、LINEの100%子会社であるLINEモバイル株式会社が提供するサービスで、本日14:00から20,000台契約限定で先行販売が開始した。
- LINEモバイル
- https://mobile.line.me/
モバイルとの付き合い方を変えたい
舛田氏によるMVNO事業参入の経緯説明に続き、LINEモバイル株式会社代表取締役 嘉戸彩乃氏が登壇した。
嘉戸氏は「LINEモバイルが目指しているのは、モバイルとユーザとの付き合い方の変化、より良い関係です」とし、「その(モバイルの)核となるのがコミュニケーションである」という理念から、今回2つのプランが発表された。
1つが「LINEフリー」、もう1つが「コミュニケーションフリー」である。
LINEフリー
「LINEフリー」は、その名のとおり、LINEの通話・トークが使い放題となるプランで、その他データ容量も1Gバイト付いている。月額500円~の料金体系となる。
表 LINEフリー料金体系(価格は月額)
容量 | データ通信のみ | データ通信+SMS | データ通信+音声通話 |
1Gバイト | 500円 | 620円 | 1,200円 |
※音声通話:20円/30秒
コミュニケーションフリー
「コミュニケーションフリー」は、LINEに加えて、その他のコミュニケーションツールであるTwitterおよびFacebookが使い放題となるプランで、3Gバイト~10Gバイトまでのデータ容量を選択できる。料金体系は月額1,110円~。
表 コミュニケーションフリー料金体系(価格は月額)
容量 | データ通信+SMS | データ通信+音声通話 |
3Gバイト | 1,110円 | 1,690円 |
5Gバイト | 1,640円 | 2,220円 |
7Gバイト | 2,300円 | 2,880円 |
10Gバイト | 2,640円 | 3,220円 |
※音声通話:20円/30秒
全プランとも支払いはクレジットカードまたはLINEペイを利用して行える。また、今回発表されるプランのMNO(Mobile Network Operator)はNTTドコモ、MVNE(Mobile Virtual Network Enabler)はNTTコミュニケーションズとなっている。
LINEモバイルが持つ特徴
プランの発表に続き、嘉戸氏はLINEモバイルの特徴を5つ紹介した。
- LINEにおける年齢認証・ID検索可能
- データ通信でもLINEにアカウントを簡単に新規作成可能
- LINEポイントとの連携
- データプレゼント可能(500Mバイト単位、期限はプレゼントした当月内)
- フィルタリングサービス無償提供
とくに興味深いのが4番目のデータプレゼントだ。これは、LINEモバイルユーザ同士であれば余ったデータ容量を、ほかのユーザにプレゼントできるというもの(単位は500Mバイトごと)。仮に月内にすべて使い切れなかった場合、友人・知人にデータ付与することができ、これもまた1つのスマホコミュニケーションと言えるだろう。
さらに嘉戸氏はLINEモバイル、そして、LINE自体がコミュニケーションインフラであるという自覚のもと、社会的責務があると考えた結果として、フィルタリングサービスの無償提供を実装していると、サービスが持つ影響力をふまえた機能・特徴であることを強調している。
その他、最近注目を集めるbotコミュニケーションと同じく、LINEトークを利用したカスタマーサポートが用意されるとのこと。発表会で紹介されたのは、LINE公式アカウントを利用した、データ残量のリアルタイム確認だ。このように、MVNOとしてのサービスに加えて、LINEを軸としたさまざまなサービスが付与されているのがLINEモバイルの特徴と言える。
LINEモバイルが実現するカウントフリー
今回発表された2つのプランでは、LINE、Twitter、Facebookという特定のサービスを対象にした使い放題が提供される。これに伴い、ユーザからのカウントフリー(特定のサービスのデータ量をカウントしない)に対するデータの扱いへの懸念については、
- IPアドレス
- ポート番号
- パケット内容のうちヘッダの一部
といったテキストや動画、画像などのデータ内容を含まない部分のみを、MVNE保有設備にて、機械的および自動的に識別することになっている。さらに、ユーザとの契約については、利用規約への包括的同意ではなく、利用申込時の明確な、個別同意を取ることにより、ユーザ自身にも確認してもらう形となる。
こうした技術的な仕組みの公開や契約手続きは、断片的な情報や誤った認識から起こりうるユーザの誤解を減らすことにもつながるだろう。
SIMのみ、SIM+端末セットでの販売
今回発表されるLINEモバイルは、SIMのみでの契約に加えて、全8機種19モデルのスマートフォン・スマートタブレットとセットにしたものが端末セットが用意されている。
本日9月5日、14:00~、20,000台契約分が先行で販売される。購入はLINEモバイルサイトからのオンライン販売のみ。本格販売は10月1日から予定されている。