トレジャーデータ(株)は、同社が中心となって開発しているオープンソースのデータ収集ミドルウェア「Fluentd」の機能を強化し、エンタープライズ向けに商用化した新製品「Fluentd Enterprise」の販売を7月11日より開始した。
Fluentdはもともと共同創業者である古橋貞之氏がオープンソースソフトウェアとして開発し、企業等にも広く使われているデータ収集ソフトウェアの定番の1つ。2016年11月にはCNCF(Cloud Native Computing Foundation)の管理するプロジェクトに認定、トレジャーデータ在籍のコミッターが80%を占めるコミュニティで開発が進んでいる。
今回販売開始となった「Fluentd Enterprise」は、Fluentdのコア部分はそのままに、転送するデータの欠損を防ぐバッファリング機能を備え、バッファ内のデータはAES-256bitで暗号化され、エンタープライズレベルのセキュリティを実現している。また、同社のCDP(後述)をはじめとする主要なクラウドプラットフォームやユーザのもつデータセンター内のデータ分析プラットフォームと、同社エンジニアが認証したプラグインを用いて接続し、大量のデータを短時間で分析することができる。
さらにサポートサービスとして、同社の「Fluentd」専門エンジニアが導入コンサルティングやトレーニングを提供するほか、24時間365日体制でSLA(サービス品質保証契約)に基づくサポートが提供される。
開発については、オープンソース版とは別の開発者が担当しており、暗号化機能等のバイナリは新しく作成され、OSS版Fluentdとは異なる。提供されるプラグインもFluentdコミュニティで提供されているものが元になっているが、セキュリティ等が強化され、同社によるサポートがつくことになる。
「Fluentd Enterprise」は、米国ではすでに5月から提供が始まっている。日本国内では各種事業者のほか、SIerやデータセンター事業者等を対象に販売を行う。これまでFluentd Enterpriseサポートサービスのパートナーであった(株)エヌ・ティ・ティ・データ、JBアドバンスト・テクノロジー(株)、三菱電機インフォメーションシステムズ(株)、SRA OSS, Inc.日本支社の4社との協業は継続される。
新たにCDP提供サービスも始動
合わせて、あらたに顧客一人一人のあらゆる情報を統合管理するCDP(Customer Data Platform)サービス「TREASURE CDP」の開始も発表された。これはマーケティングやCRM(Customer Relationship Management)データをはじめ、行動データや属性データなどのデータ等、オンライン、オフライン等を問わないあらゆるデータをまとめ、容量、期間に制限無く大量保管し、分析に最適な形で提供していくというもの。
このCDPサービスのデータ収集段階でも、「Fluentd Enterprise」が重要な役割を果たしている。
また、「TREASURE CDP」は同社が従来行ってきた顧客データを収集し、広告システム等との連携を行うサービス「TREASURE DMP」を一歩推し進めたもので、これまで同社が扱ってこなかった個人を特定するデータ(カスタマーID、氏名、メールアドレス、住所等)を紐つけて扱うことになる。このため、米国、欧州をはじめとする国際的な内部統制やセキュリティレベルの取得の必要性が生まれ、米国海兵隊等でセキュリティ部門の担当経験を持つPaul Kip James氏をCISO(チーフ情報セキュリティオフィサー)として採用、こうした働きでISO27001等の認証を取得している。
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