東京大学とmercari R4D、インクルーシブ工学連携研究機構内に社会連携研究部門「価値交換工学」設置

国立大学法人東京大学インクルーシブ工学連携研究機構(以降RIISE)と株式会社メルカリ研究開発組織mercari R4Dは2020年2月19日、共同で「価値交換工学」に関する共同研究を開始することを決定した。

東京大学RIISEとは?

東京大学RIISEは、大学院工学系研究科をはじめとする6部局により、2019年10月1日に設立された連携研究機構で、民間企業との社会連携を通じ、インクルーシブな社会を実現するための教育・研究に取り組む組織。

今回、その第1弾として、mercari R4Dと共同研究契約を締結し、2020年1月1日~2024年12月31日までの5年間の計画、研究経費10億円(5年間)にて「価値交換工学」連携研究部門が設置され、本日、具体的な内容について発表された。

価値交換工学とは?

価値交換工学は、これまで人類が行ってきた「価値交換」に関する行動に注目し、実際の価値交換の方法、信用の形について研究する学問。今回の発表を機に、次の3つのビジョンに基づいた研究課題に取り組んでいく。

価値交換が実現する未来
価値交換が実現する未来

東京大学の五神真総長は「価値交換工学はまだ概念が定まっていない研究領域であるという前提の中、今、世界全体で、SDGsで言われるような持続可能性のある社会を目指す動きが見られます。今回取り組みを始める価値交換工学はそれを実現するための学問分野として考えています。今はまだ答えがない領域だからこそ、私たち東京大学やメルカリが協力することに意味があり、皆で答えを探し、これからの学問を創出することが1つの目的になります。また、若い研究者たちに研究する場を提供することも、今回の取り組みの重要な意義と考えています」と価値交換工学そのものが社会に必須な学問領域として、これから定義されていくものであると述べた。

また、具体的に求められる知識や学問分野に関しては、⁠狭義の観点では、画像処理、自然言語処理など、モノの価値を測定するの基礎情報を収集するための知識を、さらに、それを測定するためには、⁠科学の枠にとらわれず)経済学や法律学、さらに、文化や行動まで幅広い学問領域が対象となります」とRIISE機構長川原圭博氏から説明があった。

  • 価値の分析:モノやサービスの価値を希少性やコンテキストを踏まえて定量化する技術
  • 価値の生成:人々が作り出したモノやサービスの価値を生み出し、高める技術の研究
  • 価値の交換:価値交換を支えるプラットフォーム技術の研究

mercari R4Dが共同で「価値交換工学」研究に取り組む背景として、R4Dが「テクノロジの力で価値交換の在り方を変えていく」をコアコンセプトに、メルカリグループのサービス・事業のイノベーションの創出をしていること、また、同社が取り組むAIやブロックチェーンなどの注力技術との親和性の高さが挙げられる。

株式会社メルカリ代表取締役CEO山田進太郎氏は今回の発表にあたり「既存の学問の枠にとらわれず、価値交換に関してさまざまな技術的観点から取り組み、研究することで、産学共創で世界中の人々がフェアでスムーズな価値交換を行える社会の実現を目指したいです」と力強くコメントし、民間企業の立場からも基礎研究の必要性を訴え、メルカリとして実践していく考えがあることが伝わってきた。

RIISEでは、今回の発表と合わせて特任教員(特任教授、准教授、講師、助教)を幅広く募集していくとのこと。申し込み詳細については下記URLを参照(応募締め切り2020年3月31日⁠⁠。

RIISE社会連携研究部門「価値交換工学」特任教員募集について
https://www.riise.u-tokyo.ac.jp/project
写真右から、株式会社メルカリ代表取締役CEO 山田進太郎氏、東京大学総長 五神真氏、東京大学インクルーシブ工学連携研究機構長川原圭博氏
写真右から、株式会社メルカリ代表取締役CEO 山田進太郎氏、東京大学総長 五神真氏、東京大学インクルーシブ工学連携研究機構長川原圭博氏

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