Closing Windows ―北米時間12月3日に行われた「AWS re:Invent 2019」のキーノートで、アンディ・ジャシー(Andy Jassy)CEOはWindows ServerをはじめとするMicrosoft製品に対し、強烈なアンチメッセージを突きつけました。アンディは毎年、re:InventのキーノートでOracleやIBMなど、オンプレミスやライセンスビジネスの主戦場にしてきたIT企業を「Old Guard」「Cloud Washers」などと槍玉に挙げる一幕が恒例となっていますが、今年のre:InventではそのターゲットがMicrosoft、それも同社のライセンスビジネスに集中していたように感じました。
あまり知られていないかもしれませんが、AWSにとってWindows ServerやSQL Server、さらにはWindowsクライアントの仮想デスクトップサービスなども含めたMicrosoft製品のホストは非常に大きなビジネスです。たとえばAWS上で稼働するWindows Serverのワークロードは、パブリッククラウド全体で50%以上を占めると言われており、これはMicrosoft Azureの約2倍に相当します(2017年の調査結果)。また、re:Inventでもほぼ毎年、Microsoft製品がらみの大きめのアップデートが発表されており、今回もグループ管理サービスアカウント(gMSA)を使うことでパスワード認証なしにECSのWindowsコンテナにアクセスできる「ECS Support for Windows gMSA」がリリースされました。また、Windows ServerやSQL Serverのマイグレーションに関連するセッションも非常に多く見られました。
数年に一度、多くの企業が上へ下への大騒ぎとなるWindowsのライセンス問題ですが、現在、クライアント(Windows 7 → Windows 10)以上に深刻なのがWindows Server 2003 / 2008への対応でしょう。大企業はもちろんのこと、はるか昔に導入したWindows Server 2003への手の付け方がわからず、途方に暮れている中堅中小企業も少なくありません。そうした企業や組織に対し、AWSはどういう具体策を提示するのか。その答えのひとつが、12月4日に行われたパブリックセクターを対象にした「The World Wide Public Sector Keynote」で示されました(パブリックセクターだけを対象にしたオプションではなく、すべてのAWSユーザが対象)。
フリーダムなAWSデータベースへの世界へ
SQL ServerからAmazon Auroraへの移行支援
AWS re:Think
Windows ServerやSQL Serverのクラウド移行で発生するライセンス費用の一部をAWSが負担
なお、オプションの2つ目にある「AWS re:Think」はかなり以前からAWSが提供しているプログラムですが、稼働中のWindowsワークロードの数や移行の規模、ライセンス数など顧客ごとによってサポートできる内容が大きく異るため、これまであまり前面に出てくることがなかったようです。Windows Server 2003/2008に悩む企業にとって"再考"のチャンスとなるのか、Windows Server 2008のサポートが2020年1月に終了することもあり、AWSの攻めはさらに強化されることはまちがいないでしょう。