「エンジニアサポート新年会2012 CROSS」開催報告

「Tech 10 CROSS」で、クロスしないと生きていけないことを実感!

1月27日、新宿で開催されたWebエンジニア1,000人によるエンジニアサポート新年会2012 CROSSを開催しました。本稿では2回に渡り、本イベントを報告させていただきます。

一つの技術要素だけを習得してもWebサービスは作れない

現代のWebエンジニアには複数の技術要素の習得し、組み合わせて活用する=クロスする=ことが求められています。エンジニアサポート新年会2012 CROSS(以下、CROSS2012)では、多くの技術団体・IT企業、様々な年齢の参加者が集まり、クロスセッションを行いました。

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12のCROSSセッションと総勢80名に登るスピーカー陣

CROSS2012では、スマートフォンやクラウド、次世代のLAMP、JavaScriptなどの技術セッション、データマイニング、フロントエンドなどの技術だけでなく、もう一つ上の経営やユーザ体験などのセッションの他、エンジニアの働き方について語る人事セッション、そして、他のイベントでは決して見ることができない「企業の中の人」ではなく「企業同士」のクロスセッションまで、幅広いセッションが行われました。

すべてのセッションは、技術や企業・年代をまたぐ=クロスしたセッションになっており、それを体現するかのように総勢80名に登るスピーカー陣が登壇してくださいました。

当日のセッションの様子は、Ustreamにより配信され、アーカイブされていますのでぜひ御覧ください。ただし、複数トラックのマルチセッションということもあり、すべてを見るには20時間もの時間が必要です。ご覧になる際には、気合を入れてから見ていただければと思います。

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その中でも、今回は「Tech 10 CROSS」セッションを取り上げてレポートさせていただきます。

勉強会の本論の後の「懇親会」を体現したTech 10 CROSS

私がこのイベントを企画したきっかけは、⁠勉強会後の懇親会」でした。懇親会では勉強会本論の技術についてはもちろんですが、それを軸として必要になる、周辺技術や、思いもよらない使い方、失敗談等の話を聞くことができます。勉強会本論ももちろん「為になる」⁠身になる」のですが、懇親会で聞くことができる話は点と点、技術と技術、技術とそれ以外、例えば企画や実際に使う場を結ぶ、つまりCROSSする線について知ることができる価値がある場だと思っています。このような「懇親会で聞けるCROSSした話」を表舞台に持ってきて、みなさんにも聞いていただきたい、と思い考えたのが今回のイベントCROSS2012でした。

様々なCROSSセッションを用意したのですが、その中で最もCROSSを体現したのが、このTech 10 CROSSです。このセッションは、⁠2011年キタ技術・2012年クル技術」を事前にアンケートを取り、それをランキング形式で発表して、それを肴にオープンクラウドキャンパス伊勢さんのモデレートの中、各技術団体主催者の方々が語り合うといった趣向のものです。

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前半は「MongoDB JP」の井上さん@doryokujin⁠、⁠Yokohama iPhone Developers」の吉田さん@sonson_twit⁠、⁠hbstudy」の馬場さん@netmarkjp⁠、⁠html5j.org」の吉川さんが、後半は「Node.jsユーザグループ」の清水さん@meso⁠、⁠Androidユーザ会」の安生さん@makoto_anjo⁠、⁠CUPA」の荒井さん@kimotukiが、⁠nwstudy」の板谷さん@H_Shinonomeが登壇くださいました。

伊勢さんの幅広くかつ深い知識と、ビールも入った饒舌なトークに、登壇者の方々もリラックスした雰囲気で技術ランキングを眺め、語り合っておられました。なお、ランキング以下のとおりでした。

2011年キタ技術・2012年クル技術
順位2011年キタ技術2012年クル技術
1HTML5HTML5
2AndroidNode.js
3Node.jsDataMining
4HadoopAndroid
5iOSHadoop
6AWSOpenFlow
7MongoDBMongoDB
8IT擬人化&ScalaIPv6
9DataMiningIT擬人化&Scala
10TitaniumlOpenSocial

2011年、2012年の比較を元に以下のような総括をされていました。

  1. データマイニングがJump Upし、Node・HTML5が上位であること
    • テクノロジーでビジネスに直結するマイニングやリコメンドなどのバックエンド処理系とそれを効率的にユーザに見せるという観点で見れば、2012年のトレンド、関心の高まりが見て取れるのではないでしょうか(伊勢さん)
  2. IPv6とOpenFlowとネットワークが2つランクイン
    • 仮想化という面で物理的なものから解放されなければならず、これまでのネットワークエンジニアの幅からは広がっていかなければならない。この2つは、ネットワークエンジニア泣かせの状態になるかもしれない(板谷さん)
    • ビジネス面においても、ネットワークの仮想化・プログラマブルなネットワークを作ることは、データセンターやIaaSの事業界に与えるインパクトは大きい。OSの仮想化などはコスト安く実現できてきたが、ネットワークだけは仮想化も簡単な移動もできないので、クラウド事業者にとっては難しい課題をつきつけられることになりそうだ(伊勢さん)
  3. データマイニングを行うHadoopのOSやディスクなどは解決できているが、それを結ぶネットワークの問題は残されており、これを解決することが課題になるのではないでしょうか(伊勢さん)

上記のような考察は、単一の技術の勉強会だけでは得られない、⁠懇親会の話を公の場に」と銘打ちCROSSしたからこそ得られた知見ではないでしょうか。

CROSSは必要か?

  • 「ユーザがいかに使いやすくできるか、ユーザのニーズに答える、という意味で、IaaSだけではなく、Nodeやその他の技術にとらわれず、技術の横断的な交流は必要である」⁠荒井さん)

  • 「Nodeをどこで動かすか、DataBaseをNodeで作るのか、UIをHTMLを吐き出すのか、などを考えるとCROSSをすることは当然必要である」⁠清水さん)

  • 「ユーザさんも目がこえてきているので、エンジニアがちょろっと作りました、というアプリよりも、デザイナさんの協力が必要で、エンジニアに限らずCROSSしていく必要性は感じている」⁠安生さん)

  • 「ネットワークは結局、道でしか無く、車とかが必要になってくるので、デザイン・フロントエンドなどすべてがあってこそ(サービスは)受け入れられるんじゃないかと思う。CROSSが必要、ではなく、CROSSせざるを得ないという状況だと思う」⁠板谷さん)

と、皆さん、CROSSは不可欠だと感じられているようです。

私達が掲げた「CROSS」というテーマは、まさに皆さんがおっしゃってくださったように、複数の技術を身につけ、ユーザの方々に利便性を提供し、ビジネスを成立させるためには「クロスしないと生きていけない」のではないでしょうか。このことは、まさに私が一番やりたかったことです、これからも日本のwebエンジニアリングを元気にするために、このテーマをもっと掘り下げて頑張っていきたいと思います!

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