新年明けましておめでとうございます。CROSS実行委員会、プログラム担当の祖山です。2014年1月17日(金)に開催される「エンジニアサポートCROSS 2014」。前編に引き続き、後編ではプログラム担当の私が注目しているセッションについて紹介します。
話題のあの技術、ぶっちゃけどうなの?
年明けに開催されるCROSSは、前年を振り返り、新しい年の技術トレンドを予測する場でもあります。2013年にWeb業界で話題となった技術はたくさんありますが、ここでは「テスト/CI/DevOps」「機械学習」「ハードウェアとソフトウェアの融合」に関わる3つのセッションを紹介します。
「現場に聞く!テスト/CI/DevOps、実際のところどうなの」
元はてなCTOで現フリーエンジニアの伊藤直也(@naoya_ito)さんにセッションオーナーになっていただきました。
テスト駆動開発やChefに代表されるDevOpsなど、興味があって個人的に触って好感触を得たものの、ツールが多すぎてどれを選べばいいか迷っている方、業務に活用していくにあたり壁にぶつかっている方は多いのではないでしょうか。
このセッションでは、アプリ開発の最前線で活躍しているエンジニアに集まっていただきます。彼らの中にはテスト/CI/DevOps等々の手法を開発に取り入れた方もいれば、何らかの理由で取り入れていない方々もいます。取り入れた方には「なぜやったのか/どういう風にやったのか/どんな課題にぶつかり、どう克服したのか」、取り入れなかった方には「なぜやらない/やれないのか」本音をぶつけてもらいます。
成功あるいは失敗の一方の立場だけではない、様々なバックグランド、意見を持つ方々によるディスカッション。日々の開発をより効率的に、楽しく進めたいと日頃から頭を悩ませている方(つまり、これを読んでいる方全員!)にとってはヒントがたくさん詰まっているセッションではないでしょうか。
「機械学習CROSS」
テレビで何度も特集が組まれ、関連書籍も多数刊行されるなど、エンジニアの中だけではなく、世間的にも大ブームとなった感のある「ビッグデータ」や「データサイエンティスト」といった言葉。「今後最もホットな職業はデータサイエンティストだ!」といったような言説も所々で耳にします。しかしながら、急激なブーム、バズワードにありがちな「胡散臭さ」を感じている人も多いのではないでしょうか。「中身が理解されずに言葉だけが先行しているのでは」という疑念も多く持たれていることも、また揺るがしがたい事実です。
こうした背景の中、純国産分散処理フレームワーク、Jubatusの開発元として注目を集めているPFI所属の比戸将平(@sla)さんが、豪華なメンバーを集めてくださいました! ヤフー、楽天、FFRI、ALBERT、産総研、Gunosyといった錚々たる企業、組織から機械学習のスペシャリストをお招きし、機械学習の現状と今後の展望について語っていただきます。
聞くところによると、ディスカッションではいくつかNGワードを設け、その一つが「データサイエンティスト」だという噂もあります。一過性のブームに惑わされない、プロフェッショナルたちの真の声が聞ける貴重な機会、逃す手はありませんね。
「ハードウェア×ソフトウェア」
近年、ハードウェアとソフトウェアの垣根が低くなってきました。私のようなインフラエンジニアの業界では、サーバ/ネットワークの仮想化が大きなトピックですが、そうではない方々にとってより身近な、目に見えるところで言うと、ArduinoやRaspberry Piに代表される「フィジカルコンピューティング」の普及が目覚ましいところです。ソフトウェアエンジニアでもガジェットが以前より簡単に作れるようになりました。
郷田まり子(@MaripoGoda)さんにセッションオーナーになっていただいた「ハードウェア×ソフトウェア」では、ハードウェアとソフトウェアの境界線で活躍するソフト屋、ハード屋双方によるディスカッションが繰り広げられます。ハードウェアとソフトウェアが融合する中、何か新しいこと、面白いことをやってみたい人には、うってつけのセッションではないでしょうか。
アセンブラ短歌からエンジニアの恋愛まで。CROSS、百花繚乱
CROSSはその名前の通り、一つの技術に焦点を絞るのではなく、異なる技術、人の交わりをコンセプトとしています。そのため開催されるセッションも多種多様であり、それがCROSSの魅力の一つではないかと感じています。続いてはCROSSの多様性の一端を皆さまにも知っていただくため、3つのセッションを紹介します。
「アセンブラ短歌×バイナリかるた」
このセッション、まずタイトルを見て「なんじゃこりゃ!?」と驚いている方も多いのではないでしょうか。私もその一人です。セッションオーナーの竹迫良範(@takesako)さんからタイトル・概要をいただいた時には腰を抜かしました。
毎年開催されているセキュリティコンテストのSECCON界隈ではにわかに盛り上がりを見せている(らしい)、アセンブラ短歌という嗜み。浅学な私では説明できないため、紹介文からそのまま引用します。
「アセンブラ短歌」は五・七・五・七・七の三十一バイト(みそひとバイト)から成る機械語コードでプログラムを書いてみるという近未来の文化的趣味です。 本セッションでは、坂井弘亮氏(アセンブラ短歌創始者)をお招きし、新時代の短歌を追求する新現実主義の愛甲健二氏(新思潮派)と、古来の因習にとらわれず芸術性を追求した浪漫主義の松田和樹氏(新思潮派)と、命令をありのままに駆使する写実主義の竹迫良範氏(アララギ派)による作品紹介と、各種アセンブラを読み解くコツについて解説します。
軽量言語しかまともに扱えない軟弱エンジニアの私には想像もつかない世界ですが、なんだかものすごい気配が伝わってきます。
さらにセッションの後半では「バイナリかるた」なる競技の体験会も開催されます。機械語と雅の融合、まさに新年にふさわしいセッションです。
「技術書の未来はどっちだ!」
さて、ここまで様々に技術要素に関わるセッションをご紹介してきましたが、CROSSの幅広さは、まだまだとどまるところを知りません。
皆さん、ここまで挙げてきたような技術知識をどこから得ているでしょうか。CROSSのようなカンファレンスや勉強会、あるいは知り合いから直接聞くなど、様々なチャネルがあります。しかしながら、自宅の本棚にオライリー本が並んでいると不思議な満足感があるように、やはりメディアとして技術書の存在は大きいのではないでしょうか。
「技術書の未来はどっちだ!」はタイトルの通り、技術書について語り合うセッションです。アスキー・メディアワークス、オライリー、技術評論社、達人出版会という、技術書を発行している4社の編集者が集い、また著者代表として伊藤直也さんにもお越しいただき、電子書籍の登場等により大きく変わりつつある環境の中、技術書の未来についてそれぞれの立場から大いに語っていただきます。
技術書に関わる人として、編集者、著者と並んで大きな役割を果たすのは、他ならぬ読者です。そしてこのセッションでの読者代表は、ご来場いただいた皆様一人ひとりです。読者としての立場から技術書に一言ある方、「技術書のここが好き/ここがダメ」「こんな本を読みたい!」という想いをぶつけるチャンスですよ!
「エンジニアの恋・愛・セックスのDevOps、ホントのところどうしたらいいの」
セッション紹介はこれで最後ですが、最後に忘れてはならない大切なことがあります。エンジニアだって人間です。技術の世界は広いですが、技術以外の世界はもっと広いです。エンジニアである前に、一人の人間としてどうあるべきか、そんなことを日々悩んでいる方も(私を含め)多いかと思います。
そのような方にとってヒントになるかもしれないセッションがCROSSにはあります! それは小室文(@ayakomuro)さんによる「エンジニアの恋・愛・セックスのDevOps、ホントのところどうしたらいいの」です。なかなか衝撃的なタイトルですが、中身はもっと刺激的です。人生をGitレポジトリになぞらえて、エンジニアの恋と愛とセックスについて語るという、なんとも斜め上なセッション。詳細はあえてここで多くは語りません(というか、生々しすぎて書けないです)。何が起こるのかは、是非あなた自身の目で確かめてください。
最後に
ここまで、6つのセッションについて紹介しました。「CROSS」の名の通り、多種多様なセッションが揃っていることを実感していただけたかと思います。他にも魅力的なセッションはたくさんあるのですが、残念ながら紙幅の都合ですべてを紹介することはできませんでした。セッション内容、当日のプログラムについてはWebサイトに掲載していますので、そちらもあわせてご覧ください。
私自身、プログラム担当としてセッションオーナーと調整を重ねてきましたが、できあがったタイムテーブルを見て、改めて「よくぞここまで盛り沢山なセッションが集まったなあ」と感じます。恐らくこれを読んでいる皆様も、ご自身の専門を深められるセッション、あるいは今年新たに取り組みたいことに関連するセッションがあるのではないでしょうか。
また、昨年同様、後半は「コミュニケートセッション」と題しまして、サントリー様のご協賛によりプレミアムモルツをご提供いただいてのアンカンファレンスを開催します。
最後になりますが、今年のCROSSのテーマは「クロスでススム、クロスで変わる」です。こうした様々なプログラムを通じて、皆様の中で何かが変わったり、一歩踏み出すきっかけとなるのが私共の一番の願いです。
開催まで残り一週間と迫ってきましたが、チケットはまだまだ販売中です。前売り券、ペア券、団体券等各種取り揃えていますので、是非お誘い合わせの上お越しください。それでは、会場でお待ちしています!
- エンジニアサポートCROSS 2014 公式サイト
http://www.cross-party.com/
- チケット販売ページ
http://cross2014.peatix.com/